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映画『007』シリーズのレビューまとめ

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スパイ映画シリーズの草分けとも言える007シリーズ。当ブログでも、本シリーズ作品のレビュー記事(解説&感想)を多数アップしてきました。

 

そこで、今回は007シリーズの映画のレビューをまとめたいと思います(本ページではネタバレなしで記載します。ネタバレありの解説&感想はリンク先の個別記事をご覧ください)。

 

007シリーズについて

007シリーズは、イギリスの諜報機関MI6のエージェントであるジェームズ・ボンドを主人公とした、イアン・フレミングの小説群を原作とした映画シリーズです(ただし、後期の作品の多くは小説に基づかないオリジナル脚本)。


1962年の第1作『ドクター・ノオ』でショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じたのを皮切りに、ダニエル・クレイグまで6人の俳優がジェームズ・ボンドを演じてきました。冷戦の終結に代表される国際情勢や社会的変化を踏まえて、作風やボンドのキャラクターも変化しながら、長年にわたって人々を魅了しています。


個性的な悪役、その悪役達による国際的な陰謀、ボンドガールと呼ばれるヒロイン、多彩なアクション、ユニークなガジェット、胸踊るテーマ曲など、シリーズに共通する魅力的な要素によって、独自のスタイルを確立しています。

 

作品レビュー

本ページでは、007の映画作品を対象とします。したがって、1954年のテレビドラマ『カジノ・ロワイヤル』は除外します。また、1967年の映画『カジノ・ロワイヤル』は、パロディ的な位置付けのコメディ映画のため除外します。

 

(1) 007/ドクター・ノオ(1962)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

アメリカのロケット発射を失敗させようとするドクター・ノオの陰謀にボンドが挑む第1作。今となってはストーリー構成もアクションも平凡。見ていて退屈するわけではないのですが、ワクワクもしません。本作の唯一の価値は、大人気シリーズの第1作である点と言わざるを得ません。

 

(2) 007/ロシアより愛をこめて(1963)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆★★★

ボンドへの復讐を謀る犯罪組織スペクターにボンドが対峙する第2作。スペクターからの刺客の存在がもたらす緊張感、ボンドガールの魅力、Qの提供するガジェット、クライマックスの畳みかけと、あらゆる点で前作を大きく上回る満足度の作品。

 

(3) 007/ゴールドフィンガー(1964)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

大富豪ゴールドフィンガーの陰謀にボンドが立ち向かう第3作。登場人物、ガジェット、演出など、全体的に奇想天外。ある意味ではエンターテインメント性を高めたとも言えますが、リアリティは無視してネタに走った印象の強い作品。

 

(4) 007/サンダーボール作戦(1965)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

再び犯罪組織スペクターを敵に据えた第4作。奇想天外な前作とは違って現実路線に戻りボンドの安定した活躍を楽しめます。何よりボンドガールのクローディーヌ・オージェの魅力が強い印象を残す作品。

 

(5) 007は二度死ぬ(1967)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

日本を舞台に、ボンドがスペクターの陰謀と戦う第5作。トンデモな日本描写や、シリーズ中でも抜きんでて荒唐無稽な内容を受け入れられるかどうかで評価の分かれる作品。シリーズ中、唯一イギリス本土のシーンがない異色作です。

 

(6) 女王陛下の007(1969)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

ボンドが犯罪組織スペクターの首領ブロフェルドと対峙する第6作。ジョージ・レーゼンビーがジェームズ・ボンドを演じた唯一の作品にして、ロマンス要素が強めの異色の作品。現実路線には好感を持ちつつも、個人的にはドラマもアクションも物足りない一作です。

 

(7) 007/ダイヤモンドは永遠に(1971)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

ダイヤモンドの密輸事件を捜査するボンドが、その背後に潜む陰謀に対峙する第7作。ボンド役に復帰したショーン・コネリーを始めとして、舞台設定やキーアイテムなど、シリーズにおいて非常に華やかな作品。ストーリーも見どころ十分で、シリーズ初期の作品の中では個人的にそこそこ好きな作品です。

 

(8) 007/死ぬのは奴らだ(1973)

My評価: ☆☆☆☆★★★★★★

イギリスの諜報部員が3人殺害された事件を追うボンドがブードゥー教の闇と対峙する第8作。3代目ジェームズ・ボンドに就任したロジャー・ムーアが就任し、コミカルな要素が高められています。見どころはそれなりにあるものの、冗長なシーンも少なくない作品です。

 

(9) 007/黄金銃を持つ男(1974)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

 ボンドが黄金銃を持つ殺し屋スカラマンガと対決する第9作。ロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じた作品の中でも際立ってコミカルな要素やツッコミどころが満載の本作。その辺を好意的に受け止められるかで評価が分かれるところでしょう。

 

(10) 007/私を愛したスパイ(1977)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

英ソ両国の原潜が消息を断ち、ボンドがソ連の女スパイと競り合いながら、そしてやがては協力しながら真相を追う第10作。これまでにないくらいに派手になったアクションシーンが楽しい作品。ルイス・ギルバート監督にしては荒唐無稽さが抑えられているのも好感。

 

(11) 007/ムーンレイカー(1979)

My評価: ☆☆☆☆★★★★★★

宇宙船ムーンレイカーがハイジャックされた事件を追って、ボンドが宇宙に飛び出す第11作。オープニングは傑出した出来栄えながら、脚本のご都合主義と荒唐無稽なところが目立つ作品。コメディ映画と割り切って見れば、結構面白い?

 

(12) 007/ユア・アイズ・オンリー(1981)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

英国のミサイル誘導装置を奪わんとするソ連の企みにボンドが挑む第12作。荒唐無稽だった前作とは打って変わっての現実路線で、アクションの見せ場もそれなり。ただ、尻すぼみな印象があるのが残念なところです。

 

(13) 007/オクトパシー(1983)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

オクトパシー率いる宝石窃盗団と、その背後に隠された陰謀にボンドが挑む第13作。いくらかの興奮と、いくらかの荒唐無稽さと、いくらかの笑い。007としてはある意味で平均的な作品と言えるかもしれません。

 

(14) 007/美しき獲物たち(1985)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆★★★

ボンドが半導体メーカーの社長ゾリンの陰謀に立ち向かう第14作。シリアス路線のストーリーで、アクションも見どころ十分。ロジャー・ムーアによるジェームズ・ボンドの集大成として、有終の美を飾ったと言える作品。

 

(15) 007/リビング・デイライツ(1987)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

ボンドがKGBや武器商人が絡む陰謀に立ち向かう第15作。ティモシー・ダルトンが4代目ジェームズ・ボンドに就任。シリアス路線の比較的真面目なボンド像は肯定的に捉えているものの、ストーリーが弱く、あまり満足度は高くない作品。

 

(16) 007/消されたライセンス(1989)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆★★★

友の復讐のため、ボンドが本来の任務を放棄して敵を追う異色の第16作。あまり評価された作品ではないものの、個人的にはなかなか出来のいい作品だと思っています。そろそろ見直されてもいいと思う作品です。

 

(17) 007/ゴールデンアイ(1995)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

ボンドがロシアの犯罪組織ヤヌスの陰謀に立ち向かう第17作。俳優陣や演出に大きな変化が見られ、シリーズの大きな転換点となった作品。ストーリーやアクションは平凡ですが、5代目ジェームズ・ボンドに就任したピアース・ブロスナンの魅力は十分に感じられます。

 

(18) 007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆★★★

ボンドがメディア王の巨大な陰謀に立ち向かう第18作。これまでの007らしさをしっかり演出しつつ、ミシェル・ヨー演じる戦うボンドガールのこれまでにない魅力が際立った作品。個人的には、シリーズの中でもなかなか好きな一本です。

 

(19) 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)

My評価: ☆☆☆☆☆★★★★★

ボンドが元KGBのテロリストと対峙する第19作。全体的に、退屈こそしませんが、特筆するような素晴らしい点はあまり見られない作品。オープニングは素晴らしいですが、それがピークです。

 

(20) 007/ダイ・アナザー・デイ(2002)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

ボンドがダイヤモンド王の恐るべき陰謀に立ち向かう第20作。シリーズとしては久々に荒唐無稽な方に振れた作品になっている印象。そこを許容できるかどうかで評価が分かれそうな作品です。

 

(21) 007/カジノ・ロワイヤル(2006)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

殺しのライセンスを得て007となったボンドが、爆破テロ計画とその背後にあるテロ組織に迫るリブート第1作。独自のボンド像を作り上げ、前評判を実力で覆した6代目ボンドのダニエル・クレイグのカッコ良さ、多様なアクション、サスペンス、ドラマ性と、非常に見どころの多い作品。

 

(22) 007/慰めの報酬(2008)

My評価: ☆☆☆☆☆☆★★★★

復讐心にかられたボンドが、前作に続いて組織を探るリブート第2作。アクションシーンやドラマ性にはそれなりの見どころがあるものの、全体としては脚本のぎこちなさに不満の残る作品。リブートされた新シリーズとしては最もクオリティの低い作品という印象です。

 

(23) 007/スカイフォール(2012)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

ボンドが、Mへの恨みを持ったMI6の元エージェントのシルヴァと対峙するリブート第3作。"古き者"としてのジェームズ・ボンドを軸として描き込まれた脚本を始め、サム・メンデス監督の演出も冴え渡った名作。個人的に最も好きな作品です。

 

(24) 007/スペクター(2015)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆★★★

ボンドが犯罪組織スペクターとその首領ブロフェルドに対峙するリブート第4作。リブートされた新シリーズのシリアスな作風はそのままに、旧シリーズの要素をうまく融合させています。新旧のファンが楽しめる作品です。

 

(25) 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)

My評価: ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

ダニエル・クレイグを迎えてリブートされた新シリーズ第5作にして最終章。前作同様、新シリーズのリアルなトーンとクラシックなエッセンスが絶妙に調和していて、新旧のファンが楽しめる作品です。後半はやや失速も、傑出したオープニングを始めとして見どころ十分。

 

(番外) ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)

My評価: ☆☆☆☆★★★★★★

シリーズを製作しているイーオン・プロダクションズが関与しておらず、本家007シリーズとは無関係の番外編的な作品(本家の第4作『サンダーボール作戦』と同じ原案)。本家の初代ボンドであるショーン・コネリーのボンドが再び楽しめるのはいいものの、クオリティは本家に大きく水をあけられた印象。全体の作風も本家とあまり変わらない劣化版007。

 

Myランキング

1. 007/スカイフォール
2. 007/カジノ・ロワイヤル
3. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
4. 007/スペクター
5. 007/トゥモロー・ネバー・ダイ
6. 007/消されたライセンス
7. 007/ロシアより愛をこめて
8. 007/美しき獲物たち
9. 007/慰めの報酬
10. 007/ダイヤモンドは永遠に

 

最後に

今回は007シリーズのレビューをまとめさせていただきました。「My評価」が全体的に低めであることからも分かるように、私自身は、007シリーズが特別好きというわけではありません。ただ、今回改めてシリーズ通して作品を鑑賞してみると、やはりシリーズとしての魅力は多分に感じます。


6人のボンド俳優にはそれぞれの魅力がありますし、シリーズ通してのお約束の数々も毎度楽しませてくれます。今回はどんな悪役だろう、どんなボンドガールだろう、どんなガジェットが登場するだろう、と言った楽しみもあります。作品自体は今ひとつであっても、「時間を無駄にした」とは感じないのは、シリーズとして楽しめているからでしょう。ぜひ今後も続いて欲しいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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