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映画『007/美しき獲物たち』解説&感想 ロジャー・ムーアの集大成の第14作

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どうも、たきじです。

 

今回は1985年公開の英米合作映画『007/美しき獲物たち』の解説&感想です。007シリーズとしては、前作『007/オクトパシー』に続く第14作です。

 

 

↓ 前作の解説&感想はこちら

↓ その他のシリーズ作品の解説&感想はこちらから(各作品へのリンクあり)

 

作品情報

タイトル:007/美しき獲物たち

原題  :A View to a Kill

製作年 :1985年

製作国 :イギリス、アメリカ

監督  :ジョン・グレン

出演  :ロジャー・ムーア
     タニア・ロバーツ
     グレース・ジョーンズ
     アリソン・ドゥーディ
     パトリック・マクニー
     クリストファー・ウォーケン
     パトリック・ボーショー
     デヴィッド・イップ
     ロバート・ブラウン
     デスモンド・リュウェリン
     ロイス・マクスウェル

上映時間:131分

 

解説&感想(ネタバレあり)

映画を盛り上げるアクション

本作は特別素晴らしい作品というわけではないものの、個人的にはロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じた作品の中で1番好きな作品です。


本作のプレタイトル・シークエンスはスキーアクション。007シリーズにおけるスキーアクションとしては、第6作『女王陛下の007』が最初ですが、その後も何度か登場し、この頃には定番にと言っていいくらいになっていますね。


ボンドは片方のスキー板を銃撃で壊され(これは『女王陛下の007』でもやっていました)、ロープを使って敵のスノーモービルを奪い、スノーモービルが破壊されるとその残骸を使ってスノーボードのように滑ります。そして、最後は照明弾を敵のヘリに撃ち込んで墜落させます。雪山の環境をたっぷり使ったアクションはなかなか迫力があり、見どころ十分でした。


スノーボードのように滑るシーンでは、唐突にザ・ビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」が流れます(エイドリアン・ベイカーがギデア・パーク名義でカバーしたバージョン)。ムードをぶち壊して笑いに走ったこの演出は好きになれないのですが、今見るととても興味深いですね。


というのも、今でこそこのシーンでは誰もがスノーボードを連想する(というかスノーボードそのもの)わけですが、この演出は「ボンドが雪の上でサーフィンしてるよ笑」というもの。つまりこの頃はスノーボードというものが一般的ではなかったということが想像できます。実際、本作のこのシーンがスノーボードが一般人にも認知されるきっかけになったようです。ちなみにこのシーンでスタントマンを務めたのはSIMSスノーボードの創設者でスノーボードのパイオニアであるトム・シムスです。

 


少し話が逸れましたが、このプレタイトル・シークエンスをはじめとして、本作は要所要所のアクション・シーンが映画を盛り上げます。


まあ、エッフェル塔からパラシュート降下した敵の女殺し屋メイ・デイを追うカーチェイスはちょっと演出過剰でしょうか。ボンドの車が大ジャンプを決めたり、ルーフが吹っ飛んでオープンカーになったり、クラッシュで車体の後ろ半分がなくなったり…。いや、そもそもパラシュートの滞空時間長すぎ?とか、野暮なツッコミは良くないですね(笑)。


中盤では乗馬アクションがあったり、エレベーターでの緊迫感溢れるアクションがあったり。エレベーターのシーンに続く、ハシゴ車でのカーチェイスはなかなかのスタントを見ることができます。


クライマックスは飛行船とゴールデン・ゲート・ブリッジのメインケーブルの上でのアクション。高所恐怖症の人だと目が回ってしまいそうなスタントで、こちらもなかなか見応えがあります。飛行船にぶら下がるというモチーフは『魔女の宅急便』を思い出しますね(本作の方が4年早い)。

 

シリアス路線のストーリー

本作のストーリーはシリーズの他の作品に比べると荒唐無稽さを抑えたシリアス路線。そこに適度なユーモアもあり、私の好みとしてはいいバランスです。


また、本作は競馬がストーリーに絡んできます。近代競馬の発祥の地であるイギリスの競馬場の描写も含め、競馬好きとしてもなかなか興味深いところでした。ただ、ゾリンが競走馬に遠隔制御でステロイドを注入していたという前半の話が後半に一切つながらないのは残念なところでした(ゾリンがステロイド実験で生まれた天才であったということにつながるだけ)。


ゾリンの陰謀は、人工的に大地震を起こしてシリコンバレーを水の底に沈めて壊滅させ、IC市場を独占しようというもの。劇中では、世界のICの8割がシリコンバレーで生産されていると言及されます。シリコンバレーがそんなにシェアを占めていた時代か、と興味深く見ていましたが、調べてみると半導体の世界シェアは当時すでに日本がアメリカを抜いていたようですね。現在ではそれがまた様変わりしていますが…。


さて、本作は全体的にシリアス路線で悪くないストーリーでしたが、やはりちょっとしたツッコミどころはいろいろありますね。例えば唐突に登場するソ連の女性エージェントとかね。しかもなぜかボンドと日本風のスパでお楽しみ。ちょっと笑っちゃいました。


敵の詰めが甘いのも相変わらず。せっかくボンドを追い詰めたのに、回りくどい殺し方をしようとして取り逃がすというのはもはやシリーズのお約束ですね。本作ではボンドを車に閉じ込めて湖に沈めたり、エレベーターに閉じ込めて炎上させたりしますが、無事にボンドに脱出されています(笑)。

 

見どころ十分の俳優陣

歴代最多の7作にわたってボンドを演じたロジャー・ムーア(イーオン・プロダクションズが関わっていない、番外編的な作品である『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を入れればショーン・コネリーも7作)。本作は彼がボンドを演じた最後の作品となったわけですが、有終の美と言ってよい作品ではないでしょうか。

 

本作公開時、ムーアは58歳。なかなか高齢ですが、彼が築き上げたエレガントかつユーモラスなボンドを最後まで変わらず演じています。


また、マネーペニーを演じたロイス・マクスウェルも本作で降板。シリーズ第1作から、ボンドの俳優が変わってもマネーペニーを演じ続けたマクスウェル。第1作公開時は35歳でしたが、本作公開当時はムーアと同じ58歳でした。


マネーペニーは、ボンドに好意を持ちつつも、ボンドからはリップサービスで交わされるとい役柄。ボンド役のムーアが降板して次作からティモシー・ダルトンに若返るのに合わせての降板はいいタイミングでしょう。


本作では最後ということもあってか、ドレスアップしてオフィスを飛び出します。毎度ほぼワンシーンの出演ながら、シリーズのお約束でしたから寂しくなりますね。

 


本作のキャストで一番の注目は、悪役のゾリンを演じたクリストファー・ウォーケンでしょう。彼のような実力派の俳優が出演すると、それだけで作品に箔が付きます(オスカー受賞済み俳優の007への出演はウォーケンが初めて)。


やはりウォーケンは微妙な表情の芝居が素晴らしいですね(その究極はオスカー受賞の『ディア・ハンター』ですが)。含みを持った笑顔が最高でした。


ボンドガールの方はどうでしょう。メインのボンドガールのタニア・ロバーツは青い瞳とブロンド(天然ではない)が印象的ではありますが、そこまで強い印象は残らず。


ロバーツよりも強い印象を残すのは、敵のメイ・デイを演じたグレイス・ジョーンズでしょう。モデルや歌手を主として活躍していた彼女ですが、堂々たる演技でしたね。ゾリンに裏切られ、やがてボンドにすべてを託して爆死するという最期も壮絶でした。


また、端役ではありますが、敵のジェニー・フレックスを演じたアリソン・ドゥーディも印象に残ります。本作のボンドガールでは1番美しいでしょう。彼女は後に『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』で、初代ボンドのショーン・コネリーと共演しています。


インディ・ジョーンズと言えば、本作でボンドに協力するCIAのエージェントを演じたデヴィッド・イップは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に出演しています。そう言えば、同作でも主人公の味方キャラとして登場しますが、あっさり殺されてしまう役柄でしたね。

 

最後に

今回は映画『007/美しき獲物たち』の解説&感想でした。シリアス路線のストーリーや、見どころ十分のアクションと俳優陣が私好みの作品でした。ロジャー・ムーアによるジェームズ・ボンドの集大成として、有終の美を飾ったと言って良い作品でしょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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