どうも、たきじです。
今回は2021年公開の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の解説&感想です。007シリーズとしては、前作『007/スペクター』に続く第25作。また、6代目ジェームズ・ボンドとしてダニエル・クレイグを迎えてリブートされた新シリーズ第5作にして最終章となります。
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作品情報
タイトル:007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
原題 :No Time to Die
製作年 :2021年
製作国 :イギリス、アメリカ
監督 :キャリー・ジョージ・フクナガ
出演 :ダニエル・クレイグ
ラミ・マレック
レア・セドゥ
ラシャーナ・リンチ
ベン・ウィショー
ナオミ・ハリス
ビリー・マグヌッセン
アナ・デ・アルマス
デヴィッド・デンシック
ロリー・キニア
ダリ・ベンサーラ
ジェフリー・ライト
クリストフ・ヴァルツ
レイフ・ファインズ
上映時間:163分
解説&感想(ネタバレあり)
傑出したオープニング
007シリーズはプレタイトル・シークエンスに気合の入った作品が少なくないですが、本作も例に漏れません。
冒頭から観客を引き込むプレタイトル・シークエンスは、息をのむ出来映えです。ホラー映画を思わせる恐怖演出、「過去を燃やす」儀式を織り交ぜたボンド(ダニエル・クレイグ)とマドレーヌ(レア・セドゥ)のやりとり、激しいカーアクション、そして2人の切ない別れ。このシークエンスだけでも一本の映画を観たかのような満足感があります。
さらに、それに続くタイトルバックは、個人的に過去最高ではないかと思うほど気に入っています。本編の内容を示唆するアーティスティックな映像は毎度恒例。二重螺旋状に並んだ銃それぞれが発砲され、二重螺旋の2本の線どうしが結ばれたその形状はまるでDNA。DNAは本編でも鍵となる要素ですからね。他にも、一斉に放たれる銃弾の軌道に、主要キャラの顔が浮かぶという表現など、細部に至るまで緻密に作り込まれています。
そして、プレタイトルの余韻そのままにボンドの心情を炙り出すかのようなビリー・アイリッシュの歌声。映画と同タイトルのこの曲は、アカデミー賞の歌曲賞を受賞しています。
勢いの前半、失速の後半
オープニングの勢いそのままに、映画前半は見どころの連続。
特筆すべきは、アナ・デ・アルマス演じるCIAエージェント。初の実戦で緊張しているとはいえ、ちょっと馬鹿っぽいキャラ付けは疑問もありますが、ドレス姿で見せる華麗なアクションはインパクト抜群でした。アクション途中でボンドと乾杯して、再び戦いに向かうシーンなんか、痺れましたね。
また、ラミ・マレック演じるサフィンがマドレーヌの前に姿を現すシーンも見逃せません。肌の特殊メイクとマレックの演技によって不気味な存在感を醸し出していますね。前々作『スカイフォール』のハビエル・バルデム、前作『スペクター』のクリストフ・ヴァルツに続き、オスカー俳優がヴィランを演じるという贅沢さです。
『羊たちの沈黙』的なパターンでブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)と面会するという展開もいいですね。ヴィランが作品を跨いで登場するというのも贅沢です。
しかしながら、映画が後半に差し掛かると、やや失速感がありました。前半の盛り上がりに比べて、前のめりになるようなシーンが少ない印象です。例えば、ボンドが再び"007"に復帰するシーンなんか、もっとキャッチーな演出で盛り上げても良かったのではないかと感じました。
旧シリーズとの融合
本作は前作に続き、ダニエル・クレイグ主演でリブートされた新シリーズの現代的なアプローチと、旧シリーズの伝統的演出を見事に融合させた作品になっています。リアルで重厚な空気感はそのままに、旧来の007のエッセンスがうまく調和しているのです。
本作で舞台の一つになるジャマイカは、007の記念すべき第1作『ドクター・ノオ』の冒頭の舞台。MI6とCIAが共通の目的で小競り合いするのは、ボンドがソ連のスパイと小競り合いする第10作『私を愛したスパイ』を想起させます。
また、前作に続いて描かれる、ボンドのマドレーヌに対する"本気の恋"。これは前作の記事でも言及したように、『女王陛下の007』を彷彿とさせます。同作で挿入歌として印象的に使われた「愛はすべてを越えて("We Have All the Time in the World")」(ルイ・アームストロング)が、本作でも劇中音楽(インストゥルメンタル)及びエンディング曲として使われています。
その他、お馴染みのギミックを搭載したボンドカー、定番の腕時計型のガジェット、敵の壮大な陰謀、島にある敵のアジトとその多様な仕掛けなど、お馴染みの要素が満載です。
映画冒頭のガンバレル・シークエンスも毎度恒例。本作でユニークなのは、映画終盤、本編中でもガンバレル・シークエンスと同じ構図のショットがあること。これには思わずニヤリとしてしまいました。
主要キャラクターの死
本作は新シリーズの最終作ということもあり、主要キャラクターの死が描かれます。フィリックス、ブロフェルド、そしてボンドまでも、命を落とすのです。ヴィランであるブロフェルドは別として、フィリックスとボンドは旧シリーズでも死ぬことはなかったので、これは悲しかったですね。
しかし残されたマドレーヌによる最後の台詞が最高です。マドレーヌが、ボンドとの間に生まれた娘に語りかける台詞です。
I'm going to tell you a story about a man. His name was Bond, James Bond.
ある人の話をしましょう。名前はボンド、ジェームズ・ボンド。
いつもはボンドの口から発せられる「ボンド、ジェームズ・ボンド」というお決まりのフレーズ。"最終回"のラストラインとしてこれ以上ない台詞ですね。思えば、ダニエル・クレイグをボンド役に迎えたリブート第1作『カジノ・ロワイヤル』の最後もこの台詞でした。
最後に
今回は映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の解説&感想でした。前作に引き続き、新シリーズのリアルなトーンとクラシックなエッセンスが絶妙に調和していて、新旧のファンが楽しめる作品でした。後半の失速はやや残念ではありましたが、傑出したオープニングを始めとして見どころ十分。クレイグボンドの完結編として納得の出来栄えでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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