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映画『007/慰めの報酬』解説&感想 クレイグ版では最も不満の残る第22作

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どうも、たきじです。

 

今回は2008年公開の映画『007/慰めの報酬』の解説&感想です。007シリーズとしては、前作『007/カジノ・ロワイヤル』に続く第22作。また、6代目ジェームズ・ボンドとしてダニエル・クレイグを迎えてリブートされた新シリーズ第2作となります。

 

 

↓ 前作の解説&感想はこちら

↓ その他のシリーズ作品の解説&感想はこちらから(各作品へのリンクあり)

 

作品情報

タイトル:007/慰めの報酬

原題  :Quantum of Solace

製作年 :2008年

製作国 :イギリス、アメリカ

監督  :マーク・フォースター

出演  :ダニエル・クレイグ
     オルガ・キュリレンコ
     マチュー・アマルリック
     ジャンカルロ・ジャンニーニ
     ジェマ・アータートン
     アナトール・トーブマン
     イェスパー・クリステンセン
     デヴィッド・ハーバー
     ロリー・キニア
     ティム・ピゴット=スミス
     ホアキン・コシオ
     ジェフリー・ライト
     ジュディ・デンチ
上映時間:106分

 

解説&感想(ネタバレあり)

007シリーズは、第1作から第20作までのシリーズでは、5人の俳優がジェームズ・ボンドを演じてきました。この旧シリーズでは、基本的に一作完結の映画になっていました。


悪の組織スペクターや、その首領ブロフェルドが度々登場したり、第6作『女王陛下の007』でボンドが妻を殺されたことが後の作品でも言及されたりと、一部の要素が作品を跨ぐことはありましたが、ストーリーとしては一作一作に大きなつながりはありませんでした。


一方、前作でリブートされた新シリーズにおいては、作品間で明確にストーリーが繋がっています。本作のストーリーは、前作のラストシーンの直後から始まります。そして、前作でボンドが愛し、命を落としたヴェスパーをめぐるエピソードも本作に引き継がれています。


前作において、ヴェスパーは恋人を人質に取られており、恋人を守るためにボンドを利用していたことが明らかになりました。本作では、ヴェスパーの恋人は敵の組織の人間であり、ヴェスパーは利用されていたことが明らかになります。


ヴェスパーのことで心に傷を負い、復讐心にかられていたボンドでしたが、真実と対峙し、ヴェスパーの恋人を殺すことなくMI6に引き渡すことで、ボンドとヴェスパーの物語は一旦の結末を迎えたわけです。


前作の流れを汲んだこうしたドラマ性は本作の魅力の一つですし、前作以上にボンドの内面を炙り出すようなダニエル・クレイグの演技も光っていました。

 


一方で、本作を手放しで賞賛できないのは、ぎこちない脚本のためです。描くべきことを描いていないので分かりづらいシーンがすごく多いんですよね(日本語字幕が悪いだけの可能性も?)。


ボンドがカミーユと出会うシーンあたりは、特に分かりづらくて混乱してしまいました。

 

  • あのケースの中身は何を意味しているか?
  • スレイトは何者なのか?
  • カミーユは何者なのか?
  • バイクの男は何者なのか?
  • なぜスレイトはカミーユを殺そうとしていたのか?
  • そもそも何の取引をしようとしていたのか?


もちろん、よく考えれば分かること、後になれば分かることもあるのですが、ほんの数分のうちに、疑問が噴出しすぎで頭で処理しきれなくなってしまいます(笑)。序盤は観客に疑問を抱かせつつ、後のシーンでその解が与えられる、というのはクリストファー・ノーラン監督の作品でよく見られる構成ですが、ノーラン作品の場合は観客に適度に引っかかりを与えつつ、ストーリーにぐいぐいと引き込んでいきます。


本作の場合は、ただただ散らかっていて分かりづらいという感じです。上記のシーンはほんの一例に過ぎず、全編通してこうした分かりづらさがあって、少々辟易してしまいました。秀逸な脚本を数々手掛けてきたポール・ハギスが(共同で)脚本を務めているのにこうなってしまったのは意外なところではあります。

 


このように、脚本には微妙なところが多かったですが、アクションはなかなか見どころがありました。


冒頭から、迫力のカーチェイス、シエーナでの裏切り者の追跡劇、スレイトとの格闘、ボートでのチェイス、歌劇場での銃撃戦、飛行機アクション、そして砂漠のホテルでのクライマックスと、ノンストップアクションと言っていいほど盛りだくさんです。


カーチェイスや格闘のシーンを始めとして、本作はポール・グリーングラス監督の『ボーン・スプレマシー』や『ボーン・アルティメイタム』の影響が感じられました。目まぐるしいカッティングや手ブレを効果的に使った映像は、ボーン・シリーズと同様、アクションに臨場感を与えています。


シエーナの追跡劇ではアクションと街の喧騒をカットバックで描き、歌劇場での銃撃戦ではアクションとオペラ『トスカ』をカットバックで描くなどといった編集も特徴的でしたが、こちらはいまひとつカッコよく決まってはいない印象です。ボンドvsグリーン、カミーユvsメドラーノ将軍をカットバックで描いたクライマックスはそれなりに決まっていましたが。


さて、最後に触れておきたいのは、過去作へのオマージュ。過去の作品を観てきた方なら誰もがハッとするのは、フィールズが真っ黒なオイルまみれで殺されているシーンでしょう。これは明らかに第3作『ゴールドフィンガー』へのオマージュですね。同作では全身金粉まみれで殺された女性が登場します。皮膚呼吸ができなくなって死ぬという、よく分からない話でしたね(笑)。


また、オマージュかどうかは別として本作のストーリーは、第16作『消されたライセンス』を思わせるところがありました。同作では、ボンドは殺しのライセンスを取り消されながらも、復讐のために私情で敵を殺します。本作で、ボンドが復讐心を胸に冷徹に殺しを重ねる姿は、同作のボンドと印象が重なりました。

 

最後に

今回は映画『007/慰めの報酬』の解説&感想でした。アクションシーンやドラマ性にはそれなりの見どころがあったものの、全体としては脚本のぎこちなさに不満の残る作品でした。シリーズ随一の完成度だった前作とは打って変わって、ダニエル・クレイグの007としては最もクオリティの低い作品という印象です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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