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映画『デッドプール』解説&感想 見どころの多い破天荒なヒーロー映画

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どうも、たきじです。

 

今回は2016年公開のアメリカ映画『デッドプール』の解説&感想です。デッドプール・シリーズの第1作、X-MEN映画としては『X-MEN:フューチャー&パスト』に続く第8作です。

 

 

↓ X-MEN映画の前作の解説&感想はこちら

 

作品情報

タイトル:デッドプール

原題  :Deadpool

製作年 :2016年

製作国 :アメリカ

監督  :ティム・ミラー

出演  :ライアン・レイノルズ
     モリーナ・バッカリン
     エド・スクライン
     T・J・ミラー
     ジーナ・カラーノ
     レスリー・アガムズ
     ブリアナ・ヒルデブランド
     ステファン・カピチッチ
     カラン・ソーニ

上映時間:108分

 

解説&感想(ネタバレあり)

デッドプールの実質的なリブート作品

『デッドプール』は、主人公デッドプールの破天荒なヒーロー像や、メタフィクションやポップカルチャーネタ満載のユーモアが、多くの観客を魅了しました。まさに、これまでのアメコミ映画とは一線を画す内容で、R指定作品ながら世界的な大ヒットを記録しています。

 

デッドプールは2009年公開の映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にも登場し、本作と同様にライアン・レイノルズが演じていました。同作では原作とは大きくかけ離れたイメージで描かれ、ファンからも不評でした。

 

一方、本作では、原作に忠実なキャラクター性——毒舌、ユーモア、第四の壁を破る語り口など——がしっかりと再現されており、実質的なリブート作品としてファンの心をつかんでいます。

 

オリジンストーリーの新たな語り口

多くのスーパーヒーロー映画のオリジンストーリーでは、主人公がヒーローになるまでの描写に時間がかかり、前半が退屈になりがち。一方、本作は物語の構成の工夫によって、それを巧みに回避しています。

 

映画は冒頭からすでにウェイド・ウィルソン=デッドプールとしてアクション全開。デッドプールの活躍を描きながら、デッドプール誕生までの経緯を、回想として所々に挿入するという構成です。

 

毒舌で破天荒でユーモア溢れるデッドプールの魅力的なキャラクターを存分に見せながら過去の回想を挟むことで、「なぜウェイドはこうなった?」と観客に自然に興味を抱かせ、オリジンストーリーの課題を解決。さらには、回想シーン自体も単なる説明にとどめず、映画全体をリズミカルに展開させる構成の一部としてうまく機能しています。

 

演出冴える前半、失速の後半

本作の冒頭は、観客の度肝を抜くユニークなタイトルバックから始まります。「主演:愚かなる神の申し子」、「製作:間抜けども」、「監督:ギャラ高すぎの役立たず」など、スタッフやキャストのクレジットを一切出さないのです。さらに、派手なアクションシーンの"ある瞬間"で静止した空間をカメラが自在に動き回る映像のかっこよさ。ふざけたクレジットとのギャップも絶妙です。

 

本編が始まってからのタクシー内での軽妙なトーク、第四の壁を破るジョーク、そしてハイウェイでのスピード感あふれるアクション。やがてタイトルバックで切り取られた瞬間に繋がる快感。観客を一気に物語の世界へ引き込む素晴らしいオープニングです。

 

アメコミ映画の中でも屈指のバイオレンスなアクションは見どころたっぷり。残りの弾数が12発であることを強調し、一発一発の弾丸に数字を入れてカウントダウンする演出も、かっこよさとユーモアが混在する見事な演出です。

 

ただ、物語の中盤からは、病気に拷問にと暗いトーン。それはまあいいとしても、演出やストーリーの勢いが失速する印象も否めません。クライマックスも平凡で、序盤のクオリティを維持できていない点は惜しまれます。

 

X-MENシリーズの一作

本作はX-MENシリーズの一作と位置付けられており、本作にもコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド の2人のX-MENが登場します。ただ、ちょっとX-MENを代表して登場するには魅力が弱い気がします。デッドプールのキャラが濃いのでなおさら影が薄くなってしまいますね。

 

そして気になるのは、"恵まれし子らの学園"が登場するのに、子供たちや他のX-MENの影も形もないこと。デッドプールが製作費に絡めてネタにしていましたが、これで片付けてしまうのは違和感が残ります。個人的には、ストーリー上でも何かしら理由づけしてほしかったところです。

 

豊富な映画ネタ

本作の大きな魅力の一つは、デッドプールの台詞にある映画ネタの数々です。代表的なものをいくつか挙げましょう。

 

ウルヴァリン

本作がX-MENシリーズ作品の一つであるだけあって、ウルヴァリンとの関わりが深いデッドプール。やたらとウルヴァリンをネタにします。

 

主演映画を撮ってもらうために誰にごますったかって?大きな声じゃ言えないけど、"Polverine"みたいな名前のやつ

 

第四の壁を破って観客に語りかける台詞です。ウルヴァリンを演じているヒュー・ジャックマンがオーストラリア人であることを意識して、オーストラリア訛りまで入れています。

 

ラストシーンでは、デッドプールがマスクを取るとヒュー・ジャックマンの顔写真を顔に貼っているというギャグまでかましてくれます。これは本当に笑いました。

 

上述の通り、デッドプールは本作とは別人として『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に出演済みです(口を縫い合わされて喋れない殺人兵器)。原作とかけ離れていてファンから不評だったこちらのデッドプール。本作においても、こちらのデッドプールのフィギュアが登場したり、エイジャックスがウェイドに「口を縫い合わせるぞ」と言ったりと、ネタにされています。

 

『96時間』

夢でリーアムニーソンが、娘を誘拐した俺を追ってきて…

 

夜中に思い詰めているところでヴァネッサに声をかけられた時の台詞。シリアスな状況の中、『96時間』の犯人側の視点の夢を見たという冗談に笑わされます。 

 

X-MENシリーズ

マカヴォイ?スチュワート?時系列が混乱して…

 

コロッサスから「プロフェッサーXのところに行こう」と言われた時の台詞。『Xメン』を始め数々の作品でプロフェッサーXを演じたパトリック・スチュワートと、『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』に始まる新シリーズでプロフェッサーXを演じたジェームズ・マカヴォイ。俳優に言及したメタな台詞です。

 

『127時間』

『127時間』って映画見た?これネタバレ

 

こちらも第四の壁を破って観客に語りかける台詞。この台詞のあと、デッドプールは2010年公開の映画『127時間』のあるシーンと同じ行動を取ります。極めて重要なネタバレなのでここでの言及は控えます(笑)。

 

『グリーン・ランタン』

グリーンのコスチュームは嫌だよ。CG合成もね

 

人体実験を受ける前のウェイドの台詞。ライアン・レイノルズが主演した2011年公開のヒーロー映画『グリーン・ランタン』をネタにする台詞です。批評家・観客の双方から酷評された同作では、CG合成のコスチュームが話題でした。

 

レイノルズが自分をネタにするのは、他にこんな台詞も。「顔が全てじゃない」という言葉に対する台詞です。

 

顔が全てだ。ライアン・レイノルズも顔だけ。演技はひどい。

 

『ゴッドファーザー』

断れない提案がある

 

"恵まれし子らの学園"を訪れたデッドプールのコロッサスへの台詞。映画『ゴッドファーザー』の有名な言い回しです。英語圏ではかなり浸透した言い回しだと思われますが、同作の日本語字幕ではこの言い回しが訳されないことが多いので、日本ではあまり浸透していないかも。

 

『フェリスはある朝突然に』

まだいたの?もう終わったよ。帰りな。

 

ポストクレジットシーンでの台詞です。これは『フェリスはある朝突然に』のポストクレジットシーンの再現。セットもバスローブもそっくりです。

 

このシーンでは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)もネタにしていますね。

 

サミュエル・L・ジャクソンがアイパッチして出てきたりはしないぞ

 

MCUの第1作『アイアンマン』を始めとして、ポストクレジットシーンに出てきがちなニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)に言及しています。

 

最後に

今回は映画『デッドプール』の解説&感想でした。後半の失速は惜しいところですが、前半は演出が冴え渡っています。また、魅力的なキャラクター、オリジンストーリーを退屈させない語り口、豊富な映画ネタなど、見どころの多い作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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