どうも、たきじです。
今回は2024年のアメリカ映画『ウィキッド ふたりの魔女』の解説&感想です。ミュージカル『ウィキッド』の映画化作品であり、2部作の第1作です。
作品情報
タイトル:ウィキッド ふたりの魔女
原題 :Wicked: Part I
製作年 :2024年
製作国 :アメリカ
監督 :ジョン・M・チュウ
出演 :シンシア・エリヴォ
アリアナ・グランデ
ジョナサン・ベイリー
イーサン・スレイター
ボーウェン・ヤン
マリッサ・ボーディ
ピーター・ディンクレイジ
ミシェル・ヨー
ジェフ・ゴールドブラム
上映時間:160分
解説&感想(ネタバレあり)
待望の映画化
ブロードウェイで2003年に初演されて以来、世界中で愛され続けてきたミュージカル『ウィキッド』。その名作が、2024年についに映画化されました。
かつて私はブロードウェイの劇場によく足を運ぶ機会があったのですが、その時に本作も観たい作品のひとつではあったものの、結局タイミングを逃してしまって観ずじまいでした。それだけに、この映画化は個人的にも特別な思いがあります。
オズの国を最新技術で映像化
本作は、1939年の映画『オズの魔法使』で描かれた世界観を土台として、エルファバが"西の悪い魔女"になる過程を描いています。『オズの魔法使』で確立されたイメージを尊重しつつ、最新の映像技術によってその世界を再構築している点は、本作の大きな見どころでしょう。
大規模なセットとCGを組み合わせて描き出されたオズの国。そのプロダクションデザインは総じて高水準ですが、私が何より目を奪われたのは衣装です。ほどよくデフォルメされた色彩設計は舞台的でありつつ、映画のスクリーンでも説得力十分。主要キャラクターはもちろん、エキストラに至るまで用意された膨大な衣装の完成度は見事なもので、画面の隅々まで楽しませてくれます。
多様なキャスティングがもたらす意味と嘘っぽさ
本作では、非白人の俳優が多く起用されています。主人公エルファバ役のシンシア・エリヴォはアフリカ系、マダム・モリブル役のミシェル・ヨーはアジア系、その他脇役を含め、実に多様な人種の俳優たちがオズの国に集います。
エルファバが社会から偏見を受ける存在として描かれていることを考えると、彼女をアフリカ系俳優が演じることは、人種差別の暗喩として理にかなっている面もあります。一方で、西洋文化を基盤とした白人ファンタジーの世界観に、現代的な"多様性"がそのまま持ち込まれることに、文化的なミスマッチ、あるいは嘘っぽさを感じてしまうも正直なところです。
もっとも、舞台ミュージカルの世界はもともと実力主義で、多様な人種が入り交じって発展してきました。そう考えると、本作は映画というメディアにおいても、その原作たる舞台文化の流れを汲んでいる、と受け止めればいいのかもしれません。この点は、観る人の価値観によって評価が分かれる部分でしょう。
楽曲と俳優のパフォーマンス
ブロードウェイ・ミュージカルが好きな私にとって、本作のブロードウェイ的な楽曲の数々にはやはり心をつかまれます。なかでも、"Dancing Through Life"のシーンは秀逸です。図書館の空間造形と集団でのダンスは、舞台的な高揚感と映画的なスケールがうまく融合していて、大きな見どころとなっています。
そしてクライマックスの"Defying Gravity"。シンシア・エリヴォの伸びやかで力強い歌声が響き渡り、しっかりと聴かせるクライマックスになっています。彼女の歌声が楽曲の説得力を一段引き上げ、観ているこちらの感情も一気に高揚させてくれます。
また、本作で忘れてはならないのが、グリンダを演じたアリアナ・グランデ。彼女は想像以上に役にハマっており、キュートさと自己愛に満ちたグリンダ像を自然に体現していることに驚かされました。あまり演技のイメージはありませんでしたが、今後の活躍に期待したくなります。
映画での"具体化"による違和感
本作が二部作であることには、正直驚かされました。舞台はたいてい2時間半程度ですが、それを2時間超の映画2本にするというのは、なかなか大胆な判断です。
舞台においては「抽象化」や「省略」が通常の表現として用いられますが、映画では映像として具体的に描写することが求められます。その結果、物語が長くなるという事情は理解できます。しかし、ミュージカルという形式そのものは、決して重厚なドラマを積み上げるジャンルではなく、ある種の勢いと感情の高まりで押し切る側面も大きいものです。本作も例に漏れず、時間をかけている割に深いドラマは描かれませんから、どうしても冗長さを感じてしまいました。
例えば、ダンスホールでのシーンで、グリンダが改心するくだりはかなり唐突に感じられました。舞台なら勢いで押し切れてしまうところ、映画だとやはり苦しいです。このシーンでエルファバとグリンダが2人で踊る奇妙なダンスも、抽象化されて現実とかけ離れた舞台であれば映えそうですが、映画で具体化されたリアルな空間だと、やや違和感を覚えてしまいました。
舞台への憧れは強まる
こうした点も含めて、本作を観終えたあとに強く残ったのは、「やはり舞台版を観てみたい」という思いでした。本音を言えば、イディナ・メンゼルがエルファバを演じたオリジナルキャスト版を生で観たかったところです。今では『アナと雪の女王』のエルサ役として通っているメンゼルですが、私にとっては大好きなミュージカル『RENT』のモーリーン役(オリジナルキャストとして2005年の映画版にも同役で出演)の印象が今も色濃く残っています。
そんなオリジナルキャストのメンゼルは、グリンダのオリジナルキャストであるクリスティン・チェノウェスと共に本作にカメオ出演。エメラルドシティで公演されている舞台劇に登場するという形も絶妙でした。どこかで出てくるのではないかと期待していたので、思わず頬が緩んでしまいました。
最後に
今回は映画『ウィキッド ふたりの魔女』の解説&感想でした。冗長さや演出上の違和感もあったものの、優れた楽曲とそれを歌い上げる俳優たちの実力、見事なプロダクションデザインによって、長年愛されてきたミュージカルの魅力がしっかりと伝わってくる作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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