どうも、たきじです。
今回は2004年公開のアメリカ映画『ボーン・スプレマシー』の解説&感想です。『ボーン・アイデンティティー』に続く、ボーンシリーズの第2作です。
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作品情報
タイトル:ボーン・スプレマシー
原題 :The Bourne Supremacy
製作年 :2004年
製作国 :アメリカ
監督 :ポール・グリーングラス
出演 :マット・デイモン
フランカ・ポテンテ
ジョアン・アレン
カール・アーバン
クリス・クーパー
ブライアン・コックス
ジュリア・スタイルズ
トーマス・アラナ
ガブリエル・マン
上映時間:108分
解説&感想(ネタバレあり)
追われながら追う
『ボーン・アイデンティティー』から本作、そして『ボーン・アルティメイタム』に至る3作は、作品を重ねるほどに完成度が増しているように思います。
ストーリーの骨格は、「追われながら追う」というサスペンスの王道。ボーンは殺し屋やCIAに追われながら、"自分の過去"を追います。登場人物が複雑に絡み合いながら徐々に真実を明らかにしていくストーリー構成はよくできています。前作のようなロマンスが描かれない分、ストーリーの軸も明確になった印象です。
前作でボーンがたどり着いたのは、失敗したミッションの記憶でした。標的のウォンボシを暗殺しようとしたその時、ウォンボシの子供と目が合って引き金を引くことができず、逆にボーンが撃たれてしまったのでした。
そして、本作でボーンがたどり着くのは、彼の最初のミッションの記憶。標的のネスキーをホテルで待ち伏せして殺そうとしますが、標的の妻の姿もあったことから、2人とも殺害し、妻による無理心中に見せかけたのでした。そしてボーンはそこにあった写真から見て2人には娘がいることを知ります。
幼い少女の両親を殺してしまったというある種のトラウマ。これが、ウォンボシ暗殺ミッションの失敗に繋がったと考えられます。ボーンがたどり着いた"過去"が、前作でたどり着いた"過去"の理由付けにもなっているのが非常にうまいですね。
凄みを増したアクション
前作でも素晴らしかったアクションシーンは、ダグ・リーマンから監督を引き継いだポール・グリーングラス監督によってさらに凄みを増しています。
手持ちカメラの撮影でブレる映像、そして短いショットを目まぐるしく切り替える鋭いカッティング。これによって臨場感とテンポの良さが際立っています。
格闘シーンも素晴らしいですが、やはりカーチェイスシーンが強い印象を残します。映画冒頭の挨拶がわりのカーチェイスもさることながら、究極なのはモスクワでのクライマックスのカーチェイスでしょう。ここでは、現地警察と殺し屋の双方に追われる展開に加え、ボーン自身が銃撃による怪我を負っていることでさらに緊張感を増しています。
そして、様々なアングルからの撮影と鋭いカッティング、そしてゾクゾクするような音楽によって、大興奮のシーンになっています。カーチェイスを撮る人は皆、本作のカーチェイスシーンを教科書にして勉強すべきだと感じるほどです。
CIAより一枚上手のボーン
ボーンが現地の警察や彼を追うCIAの面々を出し抜いていく面白さは、前作の大きな魅力の一つでしたが、その点は本作でさらに磨きがかかっています。
トースターを使って部屋を爆破し追手をまいたり、2つの電話をうまく使ってランディの部屋番号を知ったりと、その巧みなやり口にワクワクさせられます。
個人的に好きなのは、ボーンがCIAの事務所をライフルのスコープで覗きながら、ランディと通話するシーン。指定の場所にニッキーを来させるよう要求するボーンに対し、ランディは時間稼ぎのために、「彼女を捜さないと」と言います。それに対し、ボーンは「簡単だ、君の隣にいる」と返し、CIAを慌てさせます。このシーンは、CIAより一枚上手のボーンの振る舞いが痛快に決まっていますね。
ラストシーンも、これに重ねるが如く、ボーンはランディの事務所が見える場所でランディと通話します。最後に一言。「少し休め。顔が疲れてる。」振り返るランディ。ここでも見事に決まります。
シリーズ通してのエンディング曲であるモービーの「エクストリーム・ウェイズ」が絶妙なタイミングで流れ出します。このイントロがまたかっこいいんですよ。
そしてこのラストシーン、次作ではこの前後が描かれるのです。
最後に
今回は映画『ボーン・スプレマシー』の解説&感想でした。「追われながら追う」というサスペンスの王道をいくストーリーに、ポール・グリーングラス監督によって凄みを増したアクションが加わって、前作を上回る大興奮の作品に仕上がっています。そして、次作『ボーン・アルティメイタム』へ。まさか本作をさらに上回ってくるとは…。
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