どうも、たきじです。
今回は、2014年公開のアニメ映画『LEGO® ムービー』の解説&感想です。デンマーク発の世界的玩具レゴブロックをモチーフにしたCGアニメです。
作品情報
タイトル:LEGO® ムービー
原題 :The Lego Movie
製作年 :2014年
製作国 :アメリカ、オーストラリア、デンマーク
監督 :フィル・ロード
クリストファー・ミラー
声の出演:クリス・プラット
ウィル・フェレル
エリザベス・バンクス
ウィル・アーネット
ニック・オファーマン
アリソン・ブリー
チャーリー・デイ
リーアム・ニーソン
モーガン・フリーマン
上映時間:100分
解説&感想(ネタバレあり)
コマ撮り風CGアニメーション
素晴らしいアニメ映画の条件を2つ挙げるとすれば、優れたアニメーション表現と優れた脚本ということになるでしょう。そして、本作は間違いなくその条件を満たす作品です。
本作は一見するとコマ撮り(ストップ・モーション)アニメーションのようですが、CGアニメーションで表現されています。そもそもCGアニメーションというのをざっくり説明すれば、3D空間の中にCGでモデル化したキャラクターや物体などを配置して動かし、視点(カメラの位置に相当)を決めて動画にするということです。つまり、やっていることはコマ撮りアニメーションと変わらないわけですね(デジタル化されたコマ撮りアニメーションとも言える)。
基本的にはレゴブロック(のCGモデル)ですべてが表現されているわけですが、カメラワーク、編集、音楽、効果音によって、これほど目まぐるしく迫力ある映像が生み出されるというのは驚嘆に値します。
独創的で秀逸な脚本
そうしたアニメーション表現も素晴らしいですか、さらに驚かされるのは独創的で秀逸な脚本です。
「スパボン」、「選ばれし者」、「奇跡のパーツ」、「マスタービルダー」など、全容の掴めない言葉が飛び交いながら、アップテンポで展開するストーリー。台詞も映像もとにかく情報量が多く、序盤は楽しむというよりも必死についていくという感じでした。
それが、やがてストーリーの骨格が明らかになるにつれてどんどん面白くなっていきます。
異なる世界間の行き来を防ぐ壁を作り、スパボン(スーパーボンド)によってキャラクターを本来いるべき世界に固定しようとするおしごと大王。なるほど、身の程をわきまえて自分の世界にとどまってろと叫ぶ悪役と、それに立ち向かい世界に飛び出そうとする平凡な男の闘いか。異なる世界とはレゴブロックの各セット商品のイメージね。
と、納得しかけましたが、本作はその程度のものではありませんでした。物語はレゴブロックの世界にとどまらず、それを俯瞰する現実世界へ。レゴブロックの世界の物語は、現実世界の少年フィンの空想でした。シリーズごとに整理されたレゴブロックのジオラマで遊ぶことを禁じるフィンの父親(ウィル・フェレル)を投影したのがおしごと大王だったというわけです。
この現実世界とのリンクには心底唸らされました。本作が描くのは、レゴブロックは飾り物にするのではなく、自由に組み合わせて遊ぶべきだということ。そして、誰もがその発想力を持っているのだということでしょう。
フィンによってレゴブロックがめちゃくちゃに入り混じっているのを見て唖然とする父親でしたが、やがてその自由な発想力に感心し、心を入れ替えます。本作のメッセージ、そして父親=おしごと大王がそれを受け入れる温かい結末には素直に感動しました。
多彩なゲストと映画ネタ
近年、ビジネスの世界では、自前主義ではなくオープンイノベーションによる共創によって新しい価値を生み出すことが求められるようになっています。映画界も例に漏れず、様々な作品のキャラクターが共演することは珍しくなくなっています。
アメコミの世界ではもともと同一出版社の作品をまたいでキャラクターが共演するという下地があったので、マーベルがやったようなシェアード・ユニバース(いわゆるMCU/マーベル・シネマティック・ユニバース)が比較的容易に実現したわけですが、本作が面白いのは、著作権者の異なる様々な作品のキャラクターが共演することでしょう。
メインキャラクターのバットマンを始めとして、スーパーマンやワンダーウーマンなどDCコミックスのキャラクターが登場する他、『スター・ウォーズ』からはハン・ソロ、チューバッカ、C-3PO、ランドが登場(しかもC-3POやランドは本人が声を担当)。『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフと『ハリー・ポッター』のダンブルドアが共演するのも面白いですね。
さらには元NBAプレイヤーのシャキール・オニール(こちらも本人が声を担当)、エイブラハム・リンカーン、ウィリアム・シェイクスピアも登場。それからミケランジェロ(芸術家)とミケランジェロ(タートルズ)も(笑)。
また、本作は映画ネタも豊富。
映画本編はオープニングシークエンスから"8 1/2 years later(8年と半年後)"の物語。これは、レゴの世界の物語の語り部に相当するフィンが8歳半であるからだというのは、非常にうまい設定ですが、映画ファンならフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を思い浮かべますよね。思わずニヤリとしてしまいました。
また、意図したところかどうか分かりませんが、バッド・コップは『ターミネーター2 』の敵ターミネーターのT-1000を思わせますね。それに、ワイルド・ガールの「死にたくなければ付いてきて」はターミネーターシリーズでお約束の台詞です。原語では"Come with me if you want to not die."で、本家の台詞における"to live"が"to not die"になっていました。
それから、魔法使いのウィトルウィウスは、その風貌やキャラクターの立ち位置が『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフを思わせます。ウィトルウィウスおしごと大王に殺されてしまいますが、霊的な存在となってエメットを導くというのは『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービのパロディでしょう。
『スター・ウォーズ』は『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説『指輪物語』の影響を受けていると言われ、オビ=ワンはガンダルフに相当するキャラクター。ウィトルウィウスは、ガンダルフを原型とする、ファンタジーにおけるお決まりのキャラクターが投影されたキャラクターと言えるでしょう。
最後に
今回は、映画『LEGO® ムービー』の解説&感想でした。レゴブロックによるコマ撮り風のアニメーションを表現した迫力あるCGアニメーションと、予想外の展開を見せる独創的で秀逸な脚本。映画ファンには嬉しい小ネタも満載の楽しいファミリー映画でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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