どうも、たきじです。
今回は『指輪物語』の映画化『ロード・オブ・ザ・リング』のシリーズ3部作の第1作、その名もズバリ『ロード・オブ・ザ・リング』の解説&感想です。壮大なストーリーを見事に映画化した傑作です。
ちなみに原題では"The Fellowship of the Ring"の副題が付いています。直訳すれば"指輪の仲間"ですが、"旅の仲間"と訳されています。
作品情報
タイトル:ロード・オブ・ザ・リング
原題 :The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring
製作年 :2001年
製作国 :アメリカ、ニュージーランド
監督 :ピーター・ジャクソン
出演 :イライジャ・ウッド
イアン・マッケラン
リヴ・タイラー
ヴィゴ・モーテンセン
ショーン・アスティン
ビリー・ボイド
ドミニク・モナハン
ケイト・ブランシェット
ジョン・リス=デイヴィス
オーランド・ブルーム
クリストファー・リー
ヒューゴ・ウィーヴィング
ショーン・ビーン
イアン・ホルム
上映時間:178分
解説&感想(ネタバレあり)
指輪を葬る物語
舞台は中つ国と呼ばれる世界。主人公のフロド(イライジャ・ウッド)は温厚なホビット族の青年。義父のビルボ(イアン・ホルム)が若かりし頃の冒険で手に入れた指輪を譲り受けますが、その指輪は破壊の力を持った指輪でした。復活の時を迎えつつある冥王サウロンの手に指輪が渡ってしまうと、中つ国に暗黒の時代が訪れてしまうと聞き、フロドは指輪を葬るための冒険に旅立ちます。
中つ国の命運を左右する旅に、様々な種族の仲間達が集まります。同じホビット族のサム(ショーン・アスティン)、メリー(ドミニク・モナハン)、ピピン(ビリー・ボイド)。魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)。人間のアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)とボロミア(ショーン・ビーン)。エルフのレゴラス(オーランド・ブルーム)。ドワーフのギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)。彼らは"旅の仲間"を結成し、サウロンの手下達と闘いながら、指輪を破壊できる唯一の場所である滅びの山の火口を目指していきます。
独創的な世界観
1954年に出版された原作『指輪物語』が、しばしば"ファンタジーの原点"などと形容されるのは、後世の作品にも多大な影響を与えた独創的な世界観ゆえではないでしょうか?
人間、エルフ、ドワーフ、ホビット、魔法使いといった様々な種族。シャイア、ローハン、ゴンドールなどといった街や村。そのそれぞれの歴史、そして言語までも作り込み、我々が生きる世界とは異なる"中つ国"という世界を作り上げています。
そして何と言っても本作のキーアイテムである"力の指輪"。指にはめると姿を消せるという効果のみならず、悪の手に渡ると世界が終わってしまうような破壊の力を持ち、手にした物の心を蝕んでいく不思議な魔力を持ったこの指輪の設定も見事なもの。
あまりに作り込まれ過ぎて、原作者のJ・R・R・トールキンがこの長編小説を書き上げるのに10年以上の歳月が必要だったことも容易に理解できます。本作を繰り返し見れば見るほど面白くなっていくのは、トールキンが作り上げた世界観に対する理解が、より深まっていくからかもしれません。
適材適所の映像表現
原作『指輪物語』は、聖書に次ぐベストセラーと言われるくらい、英語圏では浸透した作品です。にもかかわらず、半世紀近くも実写映画が作られなかったのは、それを映像にする技術が無かったからに他なりません。21世紀になってようやく、それを実現できたのです。
そうした難しい映像表現を可能にしたものと言えば、真っ先に思い浮かぶのはCGだと思います。しかし、本作の映像が素晴らしいのは、CGのようなハイテクだけに頼っていないからこそだと、私は思います。
例えば、ホビットやドワーフはエルフや魔法使いに比べて体が小さいですが、これを表現するのに多様な撮影技術が用いられています。
ホビットのフロドと魔法使いのガンダルフが会話するシーンを例にすると、あるシーンでは代役を使った撮影技術が用いられています。フロドの顔を映すカットにはガンダルフの代役(身体の大きい人)の後ろ姿を映し、ガンダルフの顔を映すカットではフロドの代役(身体の小さな人)の後ろ姿を映します。
その他、遠近法を使ったり、ホビット役の役者さんを膝立ちさせて背を低く見せたり、別々に撮影して合成したりと、様々な方法で映像表現がなされています。
それ以外にも、ニュージーランドの大自然をダイナミックに空撮し、そこにCGで建物を足したり、大きな模型を撮影して合成したり、あるいはゴラムのようにフルCGで描いたりと、ハイテクとローテクを適材適所で組み合わせた映像表現が見事です。
本3部作と同時期に公開された『スター・ウォーズ エピソード2』がCGにひたすら頼っていたのとは対照的です。役者がグリーンバックの前で演じ、役者以外のほとんどをCGで表現するというのは、個人的にはあまり好きにはなれません(全否定するつもりはないですが)。少なくともこの当時のCGのレベルでは、本3部作のようにうまく"実写"を活用した映像には劣るでしょう。
次作への期待高まるクライマックス
映画終盤では、指輪の誘惑に我を失っていくボロミア、指輪を狙うウルク=ハイとの闘い、旅の仲間の離散と、ストーリーが展開します。3部作の1作目なので、ストーリーとしてはまだ序盤ですが、1本の作品としてクライマックスをしっかり盛り上げ、次作への期待を高めてくれます。
闘いで命を落とすボロミア、フロドをかばっておとりになり連れ去られるメリーとピピン、1人で行こうとするフロドに健気についていくサム…。思い出すだけでもジーンとくるシーンの連続でした。
余談ですが、公開当時、"字幕に批判殺到"とテレビで取り上げられるくらいに話題になっていました。誤訳のせいで、ボロミアが欲深い悪い奴みたいな印象になってしまっていました。祖国を守りたいという想いに付け込まれ、指輪の魔力に取り込まれてしまう男の悲愴が、劇場公開時は感じられなかったです。
最後に
ストーリー的な面白さもさることながら、トールキンが生み出した世界観や、ピーター・ジャクソン監督が創り出した映像表現の素晴らしさに感動させられる映画です。3部作の1作目として、あまりに見事な作品でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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