どうも、たきじです。
今回は映画『キートンの西部成金』の解説&感想です。映画黎明期の喜劇王バスター・キートンが監督・主演を務めた長編作品として第六作にあたる作品です。
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※作品の著作権保護期間は終了し、パブリックドメインとなっています。
作品情報
タイトル:キートンの西部成金
キートンのゴー・ウェスト!(別題)
原題 :Go West
製作年 :1925年
製作国 :アメリカ
監督 :バスター・キートン
出演 :バスター・キートン
ハワード・トルースデール
キャサリン・メイヤーズ
上映時間:69分
解説&感想(ネタバレあり)
心を通わせる孤独な2人
本作でキートンが演じるのは天涯孤独の男。彼は全ての家財と引き換えに手に入れたわずかな食料を手に、貨物列車に忍び込みます。食料が尽きた時、たどり着いたのは西部の牧場。なんとか仕事を手に入れた男は、そこで乳牛のブラウン・アイズと心を通わせます。彼女はろくに牛乳を出さないことから、肉牛と同じ柵の中に送られてしまいます。やがて、ブラウン・アイズは他の牛達と一瞬に出荷されることになり、男はそれを阻止しようと奔走します。
ちなみに、キートンが演じる役柄のクレジット表記は"Friendless"。"Friendless"は、日本語では"友のない、孤独な"などと訳されます。本作は、"Friendless"な2人(1人と1頭)が心を通わせる物語ということになります。
牛の群れを引き連れて走るキートン!
本作の見せ場はやはりクライマックス。ブラウン・アイズを助けつつ、他の牛を出荷先に届けるため、男は牛の群れをロサンゼルスの街に放します。街がパニックに陥る中、衣装屋で赤い悪魔の仮装を身につけたキートンが、赤いものに向かってくる牛の群れを引き連れて走る走る!
大量の牛を放して撮影するなんて、キートンがやることのスケールの大きさには感服します。ただ、"何か"の群れに追われてひたすら走るキートンは『キートンのセブン・チャンス』や『キートンの警官騒動』でたっぷり見られますし、それらの作品の方が見応えがあるので、そこに特別な面白みはありませんでした。
このクライマックスに限らず、映画を通して、笑いは多分に散りばめられているけれど、突き抜けるようなものはありませんでした。キートンには、アクロバティックな笑いを期待してしまいますが、本作はそこが少し物足りないです。
キートンのファンサービス
一方で、思わずニヤけてしまったシーンが2つ。
1つ目はキートンが牧場でカウボーイの衣装に着替えるシーン。カウボーイハットを一度は手に取りますが、それを地面に叩きつけ、もともと被っていたポークパイハットを深く被り直します。
2つ目はキートンが牧場の仲間とトランプをするシーン。銃を突きつけられて「笑えよ」と脅されたキートンは、無表情のまま2本の指で口角を持ち上げた後、首を振ります。
ポークパイハットも、"The Great Stone Face"と形容される無表情も、キートンのトレードマーク。これを失うことを拒絶する2つのシーンは、キートンのファンサービス的な笑いです。
綺麗にまとまったストーリー
ストーリーの結末が残念だった前作『キートンのセブン・チャンス』とは打って変わって、本作の結末は綺麗にまとまっています。全ての牛を出荷先へ送り届けたキートンは、牧場の主人(ハワード・トルースデール)から、「欲しいものは何でもやる」と言われます。キートンは主人の娘(キャサリン・メイヤーズ)がいる方を指し、「彼女が欲しい」と言います。困惑する主人でしたが、キートンが連れてきたのは娘ではなくブラウン・アイズ。主人は大笑いして承諾します。
映画中盤、キートンが娘の手に刺さったトゲを取ってあげて、少しいい感じになるシーンがありました。このシーンを入れることで、キートンと娘がくっつく可能性も示唆しつつも、キートンにはブラウン・アイズしか眼中になかったというオチ。いいですね。
最後に
今回は映画『キートンの西部成金』の解説&感想でした。街を駆ける牛の群れとキートンは1つの見どころではありますが、キートン×西部という組み合わせに対する期待値には及ばない作品です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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