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映画『キートンの蒸気船』解説&感想 すべてを吹き飛ばすキートンの傑作

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『キートンの蒸気船』の解説&感想です。映画黎明期の喜劇王バスター・キートンが監督・主演を務めた長編作品として第十作にあたる作品です。

 

※作品の著作権保護期間は終了し、パブリックドメインとなっています。

 

作品情報

タイトル:キートンの蒸気船

     キートンの船長(別題)

原題  :Steamboat Bill, Jr.

製作年 :1928年

製作国 :アメリカ

監督  :チャールズ・F・ライスナー

     バスター・キートン

出演  :バスター・キートン

     アーネスト・トレンス

     トム・ルイス

     マリオン・バイロン

上映時間:70分

 

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あらすじ

舞台はミシシッピ川沿岸の街。ウィリアム・"スチームボート"・キャンフィールド(アーネスト・トレンス)はオンボロな蒸気船を運航する船長。実業家として成功し、豪華な蒸気船を運航するキング(トム・ルイス)とは犬猿の仲です。そこへ、キャンフィールドの息子のウィリアム・キャンフィールドJr.(バスター・キートン)が訪ねてくることになり、赤ん坊の頃以来の再開を果たすことになります。


たくましく育った息子を期待するキャンフィールドでしたが、現れたのは都会育ちの軟弱な小男。キャンフィールドはウィリアムJr.に蒸気船の運航を手伝わせようとしますが、何をやっても上手くいかないばかりか、憎っくきキングの娘キティ(マリオン・バイロン)と懇意であることもキャンフィールドを苛立たせます。


そんな中、街に猛烈なハリケーンが襲来し…。

 

解説&感想(ネタバレあり)

"Steamboat Bill"にちなんで

本作の原題は"Steamboat Bill,Jr.(蒸気船ビル・ジュニア)"。"ビル"は"ウィリアム"の愛称ですから、これはキートン演じるウィリアム・キャンフィールドJr.を指したタイトルです。このタイトルは1910年のヒット曲"Steamboat Bill"にちなんでいます。


ウィリアムの愛称と言えば、"ビル"の他に"ウィリー"もあります。"Steamboat Willie(蒸気船ウィリー)"というと映画ファンやディズニーファンならピンとくると思いますが、ミッキーマウスのデビュー作として有名です。これも"Steamboat Bill"にちなんだタイトルで、『キートンの蒸気船』と同年(約半年遅れ)の公開です。

 

ストーリーとユーモア

本作は、キートン映画としては比較的しっかりとしたストーリー展開を見せます。キャンフィールドとキングのライバル関係、キャンフィールドとウィリアムJr.の父子関係、ロミオとジュリエットが如く、親同士が敵対する中で恋するウィリアムJr.とキティ。4人の関係性がそれぞれ絡み合ってストーリーが展開します。


そしてそのストーリー上の各シチュエーションでの小気味いいユーモア。キートンのトレードマークでもある帽子を巡るドタバタ、キティにいいところを見せようと誰もいないのに船員に指示を飛ばしている風に振る舞うウィリアムJr.(それを怪訝そうに見るキャンフィールドがまたいい)、何度も船から川に落とされるキング…。


そうしたユーモアが笑いどころですが、序盤から中盤にかけての笑いどころはそれほど多くはない印象です。本作の最高の見どころは、やはりクライマックスにあります。

 

度肝を抜くアクション

終盤にかけて、徐々に街の天候が崩れてきます。そして、遂には街に猛烈なハリケーンが襲来します。ここから、映画は俄然面白くなります。結構お金がかかっていそうなダイナミックな特撮と、キートンの体を張った超人的なアクションが楽しすぎです!


屋根や壁が吹き飛ばされたかと思えば、家が丸ごと飛んでくるなどもうめちゃくちゃ。そんな中でハリケーンから逃れようと四苦八苦するウィリアムJr.。彼自身は身の安全のために必死なわけですが、画面を通して見るとキートンが風と戯れているようにさえ見えて面白いです。


猛烈な風に立ち向かうシーンでは、風に向かって走ったり、跳ねたり、マイケル・ジャクソンもびっくりの角度の前傾で立ったり、あるいは、吹き飛ばされたり、転がったり。これはもはや、風を使ったダンス。最高に凄くて、最高に面白いシーンです。

 

他にも、撮影用の背景幕にダイブしたり、しがみついた木もろとも吹き飛ばされたりと、とにかく体を張ったギャグの連続で、すっかり画面に釘付けになります。


極め付けは、キートンの方へ家の側面が倒れてくるシーン!ちょうど窓の部分に立っていたので難を逃れるという命懸けのギャグ。これ自体は、1920年の短編『キートンのマイホーム』からの流用です。『キートンのマイホーム』は私が初めて見たキートン作品で、このシーンの衝撃は鮮明に残っていたので、本作のクライマックスで再登場したことに少し感動しました。


こんな度肝を抜くアクションは、これまでに誰もやっていないわけで、サイレント期にアクションコメディというジャンルを開拓したキートンのすごさがよく現れています。映画史に残るアクションと言っていいでしょう。


生身で演じるということ

本作のような危険なアクションを生身の人間が演じることは、今ではすっかり無くなりました。それは、実写なのかCGなのか区別のつかないほどに、映像技術が進化したからでしょう。


かつて、アクション俳優がインタビューで、「あのシーンはCGやスタントダブルを使わずに実際に演じたんだ」と得意げに語るのをよく見ました。これに対し私は、「CGだろうがスタントダブルだろうがどう見えるかがすべてで、映画の面白さには関係無い」と冷ややかに見たものでした。


ですが、本作のキートンの命懸けのアクションを見ると、こんなに古い映像にも関わらず、確かにそのアクションに見入っていて、それは、生身で演じられているからこそであることは否定できません。おそらく、生身で演じられる場合、曲芸を見るような楽しさや緊張感も乗っかっているからでしょう。CGであるか生身であるかは、作品としてのクオリティには関係が無いですが、作品の面白さには影響を与えるのだと、考えを改めました。


最近の作品だと、どんなアクションを見たとしても、どうせCGだろうと思ってしまいますから、こうした種類の面白さは楽しむことができません。この時代の作品ならではの楽しみということですね。

 

最後に

今回は映画『キートンの蒸気船』の解説&感想でした。キートンは本作を最後に自身の撮影所を手放し、当時の最大手の映画会社の一つであるMGMと契約します。これを機に、キートンは映画制作における主導権を失っていき、やがてそれが彼の人気が衰退した一因になったとも聞きます。本作は、キートンが自由に撮影した最後の作品として、キートンの魅力が詰まった作品に仕上がっています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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