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映画『海底王キートン』解説&感想 キートンが海を漂流するドタバタ喜劇

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『海底王キートン』の解説&感想です。映画黎明期の喜劇王バスター・キートンが監督・主演を務めた長編作品として第四作にあたる作品です。

 

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※作品の著作権保護期間は終了し、パブリックドメインとなっています。

 

作品情報

タイトル:海底王キートン

原題  :The Navigator

製作年 :1924年

製作国 :アメリカ

監督  :バスター・キートン

     ドナルド・クリスプ

出演  :バスター・キートン

     キャスリン・マクガイア

     フレデリック・ブルーム

     ノーブル・ジョンソン

 上映時間:59分

 

解説&感想(ネタバレあり)

漂流する御曹司と令嬢

本作でバスター・キートンが演じるのはトレッドウェイ家の御曹司のロロ。これまでキートンが演じてきたキャラクターとは違い、金持ちのボンボンです。向かいの家に行くのに車に乗ったり、「長い散歩をして帰る」と言って向かいの自宅まで歩くだけだったりと、なかなかの常識はずれです。帽子を風に飛ばされても動じず、次々に新しい帽子を取り出す様子なんかも、その富豪ぶりに笑ってしまいます。


本作は、そんなロロが、同じく富豪の令嬢(キャスリン・マクガイア)と蒸気船に2人きりで、海を漂流するお話。小国同士の争いによるスパイ活動に巻き込まれて、漂流に至るわけですが、この設定はあまり後半には生かされません。もっと言うと、2人が金持ちであると言う設定とか、映画冒頭でロロが令嬢にプロポーズして振られたことなども生かしきれておらず、単に"2人きりで漂流する"というシチュエーションが作れれば、ストーリーは何でもよかったのかなと思ってしまいます。

 


海を舞台にドタバタ喜劇

そんなストーリーの本作は、大部分が海を舞台にしてドタバタ喜劇が繰り広げられます。


ロロと令嬢が船内でお互いの存在に気づくも、なかなか出会えずに船の上を走り回るくだりは面白いです。絶妙な行き違いを繰り返し、やがて2人とも全速力で走っているのには吹き出してしまいました。ただ、「いつまでやっとんねん!」とツッコみたくなるくらい、間延びしてますけどね(笑)


夜を迎えて安眠できる場所が見つからず彷徨う2人のドタバタもなかなか秀逸。睨むような男の写真が、ロロの眠る部屋の窓から覗き込むシーンは腹を抱えて笑ってしまいました。蝋燭と間違えて爆竹や花火に火をつけてしまうシーンも、最高のスラップスティックを見せてくれます。


海底のシーンでは、ロロがいちいち"工事中"の標識を掲げたり、工具代わりにロブスターのハサミを使ったり、剣のようなカジキの鼻(上顎)でフェンシングをしたりといったナンセンスギャグの連続。こういうのも嫌いじゃないです(笑)


それにしても、海底のシーンは映画のほんの一部なのにこんな邦題を付けてしまうセンスよ(キートン作品は後に別題が付けられているものが多いですが、なぜか本作には付けられていないようです)。まあ、このシーンは実際に湖の底に潜って撮影したと言うことで、当時はこの映像が見どころだったのだと理解しておきましょう。ちなみに原題は"The Navigator"。漂流する蒸気船の名前です。


さて、本作最大の見どころは海底ではなく、島の原住民との攻防を描いた活劇でしょう。原住民が大人数で船に押し寄せてくる様子はなかなかの恐怖ですし、それを船で迎え撃つ様子は籠城戦さながらの興奮です。たった2人で、船にある道具をとことん活用して戦うのも楽しく、花火の伏線も効いています。


ロロが小さい大砲に点火するシーンでは、ロープが足に絡まって、どこに逃げても大砲がロロの方に向きます。このギャグの面白さ!これは下手な人がやっても、まず面白くなりません。前作の"バナナの皮"のギャグに匹敵する、キートンの名人芸です。

 


キートン作品としては及第点

笑いも見どころも多い一方で、キートン作品としては及第点といったところでしょうか。他の作品に比べるとやや落ちる印象です。


自分で料理などしたことのない金持ちの2人が船での食事に悪戦苦闘するシーンなんかはパンチの弱いギャグがだらだらと続く印象ですし、上にも述べた通り、船内での行き違いのシーンもやや冗長です。見ていて、ちょくちょく退屈してしまいました。


また、原住民の描き方はやや偏見が入っていて、一方的に悪役に仕立て上げられているところもあり、現代的な感覚では受け入れられないでしょうね。私は基本的に、当時の時代背景も踏まえて映画を見るので、こうした描写はさほど気にならないのですが、人によっては嫌悪感を抱くかもしれません。


ちなみに、公開当時、本作は大ヒットしたそうですし、批評の面でも高評価だったようです。AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が2000年に選出したアメリカ喜劇映画ベスト100でも81位にランクインしており、近年でも評価は高いようです。うーん、分からない…。

 

ちなみに同ランキングにおいて、キートンの傑作と名高い2作もランクインしており、『キートンの大列車追跡』が18位、『キートンの探偵学入門』が62位です。これは異論なし!

 

最後に

今回は映画『海底王キートン』の解説&感想でした。キートンの他の作品に比べると物足りないですが、十分に見どころのある楽しい作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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