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映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』解説&感想 『レント』のジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカル

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どうも、たきじです。

 

今回は2021年公開のアメリカ映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』の解説&感想です。

 

『レント』のジョナサン・ラーソンによる同名ミュージカルの映画化作品で、ネットフリックス・オリジナル作品です。

 

 

作品情報

タイトル:Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!

原題  :tick, tick... BOOM!

製作年 :2021年

製作国 :アメリカ

監督  : リン=マニュエル・ミランダ

出演  :アンドリュー・ガーフィールド
     アレクサンドラ・シップ
     ロビン・デ・ヘスス
     ジョシュア・ヘンリー
     ヴァネッサ・ハジェンズ
     ジョナサン・マーク・シャーマン
     MJ・ロドリゲス
     ベン・リーバイ・ロス
     ジュディス・ライト
     ブラッドリー・ウィットフォード

 上映時間:115分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカル

1996年に初演され、ブロードウェイで12年4ヶ月というロングラン公演された大ヒットミュージカル『レント』。2005年には『RENT/レント』として映画化もされました。私もブロードウェイや日本公演を鑑賞した他、映画も劇場で鑑賞、DVDもサントラも購入するなど、大好きなミュージカルの一つです。


この大ヒットミュージカルの作者(作詞、作曲、脚本)がジョナサン・ラーソン同作のプレビュー公演の前日に35歳の若さで急逝したこともあり、半ば伝説と化している人物です。


本作はラーソンが『レント』の前に製作したミュージカルをベースにしています。ラーソンが製作したのは彼自身が1人で演じるモノローグでしたが、彼の死後の2001年に3人芝居としてリメイクされ、本作はこれを映画化した形となっています。


監督はリン=マニュエル・ミランダ。作詞家、作曲家、劇作家にして、時には自ら演じ、歌う、マルチな才能の持ち主。齢40そこそこにして、すでにグラミー賞、エミー賞、トニー賞、ピューリツァー賞など、名だたる賞を受賞しており、いま乗りに乗っているクリエイターの1人です。


エミー賞、グラミー賞、オスカー(アカデミー賞)、トニー賞をすべて受賞することを、それぞれの頭文字を取ってEGOTと呼びますが(達成したのは史上18人)、このまま順調に仕事をこなせば、おそらく達成するでしょうね(残り一つのアカデミー賞もすでにノミネート経験あり)。


そんなミランダ監督は、本作の原作舞台で主演した経験もあります。また、若い頃からアーティストの道を志し、作詞・作曲、ミュージカルの執筆を手がけるなど、ジョナサン・ラーソンと経歴の重なるところも多く、本作への思い入れもひとしおでしょう。


映画監督としてはデビュー作ながら、安定感のある演出で作品をまとめ上げています。

 

構成と表現

本作はジョナサン(アンドリュー・ガーフィールド)が舞台上で喋り歌うシーンに、過去のシーンを挿入する構成になっています。特に、ミュージカルシーンでは、ジョナサンが過去を振り返りながら歌う様子と、過去のシーンで登場人物達が歌い踊る様子をカットバックで交互に切り返すという表現も用いられています。


もっとも、舞台上でジョナサンが歌う様子が舞台『tick, tick... BOOM! 』の様子であることが映画の最後まで明示されませんから、これが現在と過去を繋いだ編集であることは最後まで分かりません。最初は、映画『シカゴ』のように、舞台上の架空の次元と現実の次元をカットバックで繋いだものとも見ることができますからね。


この『シカゴ』が発明した表現方法はミュージカルシーンで登場人物が突然歌い出すという違和感を緩和する画期的なものですが、本作でもこれに近い効果が得られています。また、ジョナサンの語りを軸にストーリーを展開させることで、映画に軽快なリズムが生まれています。


一方で、映画のオープニングとエンディングで俯瞰的なナレーションが入るのはどうでしょうね。私は不要だったと思います。


本作はそもそも上述のような二重構造でストーリーが展開し、多少の複雑さ持っているにもかかわらず、さらにそれを俯瞰的な視点で挟むことで、余計な複雑さを生んでしまっています。映画の入り口では、私も少し混乱してしまいました。


それに本編はジョナサンの語りで展開するのに、オープニングとエンディングは第三者の語りになるという"語り手のブレ"も、あまり心地良いものではありません。


『レント』好きとしては、『レント』のアーカイブ映像を交えてジョナサン・ラーソンの功績に触れること自体は嬉しいのですけどね。そう言えば、エンディングで流れたアーカイブ映像は山本耕史さんがマークを演じた日本公演の映像でしたね。ちなみに、山本耕史さんは、本作の原作舞台の日本版で主演しています。

 


音楽とテーマ

私は『レント』好きながら、その他のラーソン作品に触れたことは無かったので、あれだけ聞き込んだ『レント』以外の楽曲を聴くことができたのはそれだけで興奮ものでした。


試聴会でカレッサ(ヴァネッサ・ハジェンズ)とスーザン(アレクサンドラ・シップ)が歌う"Come to Your Senses"とか、親友のマイケル(ロビン・デ・ジェズ)のHIV感染に直面したジョナサンがセントラル・パークのデラコート・シアターで歌う"Why"などもエモーショナルで印象深いですが、やはり特筆すべきはオープニング曲の"30/90"でしょう。ラーソンらしさたっぷりのロックナンバーです。


30歳を迎えようとしているラーソン。スティーヴン・ソンドハイムは30歳前にブロードウェイでデビュー済み。ポール・マッカートニーはビートルズの最後の曲を書いていたし、両親は2人の子持ち。なのに自分は…。そんな焦燥を歌い上げます。


それに似た焦燥は、私も年齢を重ねるごとに感じてきました。それ故に、この曲にはすごく共感できます。同じような人は少なくないのではないでしょうか?


本作のタイトルもこの曲の内容とリンクしています。「Tick, Tick」は時限爆弾のカウントが進む音、「Boom!」は爆発音を表します。つまり、やがて訪れる30歳の誕生日に向けて、時間が進んでいくことへの焦りを表現したものです。


もちろん、「Boom!」が示すものは30歳の誕生日だけではないでしょう。まだ曲が書けていないのに、迫り来る試聴会の日もその一つ。友人が倒れたり、恋人のスーザンとのことで重大な決断を迫られたり、マイケルがHIVに感染したりといった出来事が、その焦燥に追い打ちをかけます。


あるいは、マイケルのHIV感染により意識される"死"もまた「Boom!」が示すものの一つでしょう。また、今となっては、35歳で短い生涯を終えたラーソンの死もその一つかもしれません。


いずれにせよ、やがて来る「Boom!」を意識した焦燥、それを抱えながら生きていく若者の青春、それが本作のテーマと言えるでしょう。


若きアーティストの焦燥を描いたミュージカルというと、大ヒット作『ラ・ラ・ランド』もそうでしたね。同作の方がロマンス要素が強いですが。そう言えば、同作でヒロインを演じたエマ・ストーンは本作でジョナサンを演じたアンドリュー・ガーフィールドの元カノでしたね(『アメイジング・スパイダーマン』で共演)。関係ないですけど。

 

『レント』好きは必見

本作はラーソンの自伝的作品ですが、『レント』もまたラーソンの私生活が反映された作品でした。家賃(RENT)もろくに払えない生活、ゲイやトランスジェンダーの友人、HIV感染で倒れていく友人、レズビアンに奪われた恋人——。本作にも共通する要素がありますね。


それ故に、本作を見ると『レント』がどのような背景で製作されたかがよく分かります。『レント』好きなら必見の作品と言えるでしょうし、『レント』を観ずに本作を観た人は、必ず映画『RENT/レント』を観るべきでしょう。


本作はネットフリックスのオリジナル作品であり、ネットフリックスでしか観られないわけですが、そのネットフリックスで『RENT/レント』は観られないのはいかがなものか…。


ちなみに、本作で劇中の舞台出演者のカレッサを演じたヴァネッサ・ハジェンズは『レント』でミミを演じたことがあり、ダイナーの同僚キャロラインを演じたMJ・ロドリゲスは『レント』でエンジェルを演じたことがあるなど、本作は『レント』ゆかりのスタッフやキャストも多く関わっています。


さらには、『レント』のオリジナル・キャストのアダム・パスカル(ロジャー役)、ダフネ・ルービン=ベガ(ミミ役)、ウィルソン・ジャーメイン・エレディア(エンジェル役)もカメオ出演しています。ダイナーでのミュージカル・ナンバー"Sunday"のシーンで、ホームレス役で揃っての出演です。こちらも注目です。

 

最後に

今回は映画『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』の解説&感想でした。『レント』以外のジョナサン・ラーソンの楽曲を聴くことができるのはそれだけで興奮もの。『レント』好きは必見の作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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