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映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』解説&感想 コルネット3部作の中ではやや地味?

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どうも、たきじです。

 

今回は2013年公開の映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!

原題  :The World's End

製作年 :2013年

製作国 :イギリス、アメリカ、日本

監督  :エドガー・ライト

出演  :サイモン・ペッグ
     ニック・フロスト
     パディ・コンシダイン
     マーティン・フリーマン
     エディ・マーサン
     ロザムンド・パイク
     ピアース・ブロスナン

上映時間:109分

 

解説&感想(ネタバレあり)

テンポの良いエドガー・ライト演出

エドガー・ライト監督の『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』は、一見するとただの「パブ巡りコメディ」。しかし物語が進むにつれ、ノスタルジーに満ちたロードムービーは、いつの間にか宇宙的スケールのSFへと変貌します。笑いとアクション、そしていくらかの哀愁が詰まったユニークな作品です。

 

まず第一印象として飛び込んでくるのは、やはりライト監督ならではの気味よいテンポ。ユーモア溢れる台詞の畳みかけ、音楽と映像の同期、そしてリズミカルな編集が、この抜群のテンポを生み出しています。

 

例えばパブ巡りのシークエンスでは、パブに入るたびにビールの注がれるショットがリズムよく反復されることで、「飲み歩きの高揚感」と同時に「店々の均質化」を観客に感覚的に伝えます。観客は知らず知らずのうちに映画の本質的な部分へと引き込まれていきます。

 

アクションシーンではカメラが高速にパンし、別のキャラクターのショットへシームレスに切り替わるようなカメラワークが多用されます。この長回し風のカメラワークが、テンポの良さを生み出すと同時に、ハイテンションなアクションの臨場感を増幅させています。

 

コルネット3部作の第3作として

エドガー・ライト監督作品の中で、サイモン・ペッグとニック・フロストが主演の『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』、そして本作は、いずれもコルネット・アイスが登場することから、「スリー・フレーバー・コルネット3部作」や「コルネット3部作」などと括られます。

 

括られるだけあって、過去二作と作風は近いですし、『ショーン・オブ・ザ・デッド』の終末感や、『ホット・ファズ』の"共同体に潜む陰謀"といった要素は本作にも通じるものがあります。フェンスや生垣を使ったコメディも恒例です(笑)。

 

また、主演2人以外にも過去二作に出演したビル・ナイやマーティン・フリーマンが本作にも出演(ビル・ナイは声の出演)。マーティン・フリーマンは過去二作ではカメオ出演のみでしたが、本作ではついに主要キャストとして登場です。さらに、ジェームズ・ボンド俳優が続けて出演しているのも注目ポイントです。『ホット・ファズ』にはティモシー・ダルトンが出演していましたが、本作ではピアース・ブロスナンが出演しています。

 

そして何より注目なのは、過去二作でだらしないお調子者タイプの男を演じたニック・フロストがお堅い弁護士を演じている点。皆がビールを飲む中でも水しか飲まない彼がやがてビールを飲むシーンでは、ついにいつものニック・フロストが見られるのかとわくわくさせられました。その意味で、パブで覚醒してからのアクションは盛り上がるのですが、個人的にはもっと振り切ってほしかったところです。

 

SFの系譜をコメディの文脈に昇華

本作の後半の展開では、過去のSF映画を思わせる描写が多く見られます。

 

下敷きになっているのは、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』でしょうか。町が宇宙から来た生命体に侵略され、人々が外見そのままにコピーにすり替えられているというアウトラインは本作と類似します。

 

また、外見そのままにコピーされるという要素だけで言えば、『遊星からの物体X』も想起させます。高度な文明を持つ存在が「人類のため」と称して地球社会を管理しようとする図式は『地球が静止する日』でしょうか。

 

ライト監督は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』においても、過去の名作のモチーフを取り込みながら、それに笑いや感傷を掛け合わせ、まったく新しい映画を生み出しました。本作においても、ライト監督は上記のようなSFの系譜を熟知したうえで、それをコメディの文脈で、独自の語り口に昇華しています。

 

物語のテーマと結末

本作で印象的なのは、パブの"スタバ化"(均質化)に対する風刺。主人公たちが訪れるパブは、かつてはそれぞれに個性があったはずなのに、今やどの店も似たような内装になっています。しかもそれがザ・ネットワークによる「人類の同一化」の一環であるという設定も皮肉が効いています。

 

また、これは「人間らしさとは何か」という本作の本質的なテーマに直結します。人類を同一化しようとするザ・ネットワークに対し、ゲイリーはそれを真っ向から拒否します。この「不完全であるからこそ人間である」という力強い肯定は心地よいものでした。

 

一方で、物語の閉じ方については意見が分かれるところかもしれません。破滅的ともいえる結末は、序盤の雰囲気が好きだった私としては、期待したものではありませんでした。

 

最後に

今回は映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』の解説&感想でした。コルネット3部作の中では魅力は控えめではあるものの、エドガー・ライト監督らしさは満載で彼の作品のファンなら楽しめること間違いなし。作品に合わせてビールを片手に観たい作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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