映画『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』解説&感想 映画好きにこそおすすめしたい!

どうも、Takijiです。

 

今回は『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』の解説&感想です。映画好きにこそおすすめしたい傑作です!

 

作品情報

タイトル:ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

原題  :Hot Fuzz

製作年 :2007年

製作国 :イギリス、フランス

監督  :エドガー・ライト

出演  :サイモン・ペッグ

     ニック・フロスト

     ジム・ブロードベント

     ティモシー・ダルトン

 上映時間:121分

 

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解説&感想(ネタバレあり)

予備知識なしで見てほしい

最初に言っておくと、本作は何も予備知識無しで見てほしいです。その方が、終盤の驚きの展開をより楽しめると思います。もちろん、知っていても楽しめるからこそ、私は本作を繰り返して見ているのですが、"初めての鑑賞"はたった一度しか楽しめませんからね。


本作は、ロンドンの真面目なエリート刑事ニコラス(サイモン・ペッグ)が、その優秀さ故にサンドフォードという田舎の村へ飛ばされてしまうところから始まります。そこは、犯罪のないのどかな村だというのですが、どこか不穏な空気を感じます(これを掻き立てる演出がまたうまい)。


やがて立て続けに住民が死亡する事件が起き、ニコラスは殺人の可能性を指摘しますが、事故に決まってるとのんきな同僚たち。ニコラスは署長の息子であり相棒のダニー(ニック・フロスト)と事件の真相を追います。


ざっくり言うとそんなあらすじですが、終盤に予想もしない急展開があります。ここからは本当はネタバレしたくない話になります。


クライマックスに濃縮された興奮

ニコラスがたどり着いた真相。それは村の風紀を監視する有志団体である"近隣監視同盟"が、殺人を行なっていたということです。村の大型スーパー経営のスキナー(ティモシー・ダルトン)、パブ経営の夫婦、医者、牧師、そしてダニーの父である警察署長(ジム・ブロードベント)など、映画に登場する村の住民のほとんどが犯人だったという展開です。しかも殺害の理由が、ヴィレッジ・オブ・ザ・イヤー獲得のために邪魔な人間(名作を汚した大根役者、イラつく笑い方の女、悪趣味な家に住む資産家など)を消すためという、なんともぶっ飛んだものです。


ダニーの機転で村の外に逃されたニコラスですが、思い直して村に引き返すところから、クライマックスが始まります。村に戻ったニコラスが、サンドフォード全体を舞台に住民達(主に老人)と銃撃戦を繰り広げるアクションが始まります。


相棒のダニーを仲間に加え、まるでゲームを攻略していくがごとく、順番に現れる"敵"を倒していく面白さ!そして怒涛の伏線回収の心地よさ!

 

映画中盤では、お祭りの射的のシーンで射的の弾が医者の足に当たってしまうシーンがありますが、この銃撃戦でも医者の足に弾を撃ちます(もちろん今度は実弾)。ホテル経営の婦人とは、初対面の時にやっていたクロスワードパズルの答え"ファシスト"、"オニババア"と言い合いながら撃ち合います。


ダニーの"憧れのシーン"の実現も見どころ。ダニーは、大好きな警察モノの映画で見る様々なシーンに憧れてきましたが、田舎の村では事件がなく、実現していません。ニコラスが異動して来た時には、しきりに「カーチェイスしたことは?」「二丁拳銃で横っ飛びしたことは?」などと聞いていました。


それらがこの闘いを通して、次々に実現していきます。それらのシーンは、そもそもが映画で描かれる"かっこいいシーン"な訳ですから、盛り上がるのは当然なのですが、そこに伏線回収の心地よさと、ダニーの夢が叶うという感動が乗っかることで、さらに盛り上がります。


そして最後には、逃げる父の背に銃を向けたダニーが、愛する父を撃つことが出来ずに、叫びながら天に向かって銃を連発するシーン。ダニーが大好きな映画『ハートブルー』の名シーンのトレースです。


このクライマックスの一連のアクションシーンは、本当に涙がこぼれそうでした。もちろんスクリーンに映し出されているのは、いわゆる"泣けるシーン"ではなく、笑いと興奮に溢れたアクションシーンです。しかし、そのあまりの出来の良さに、あまりの楽しさに、この映画に出会えた幸福感に、感動してしまったのです。


映画愛に溢れた演出

本作は、様々なジャンルの映画へのオマージュとも言える演出が見られるのも好きな点の一つです。


ダニーが好きな映画『ハートブルー』や『バッドボーイズ2バッド』のようなアクション映画へのオマージュは言うまでもありません。上に述べたように、アクション映画によくある"名シーン"がいくつもトレースされています。


また、殺人鬼の描写や殺人シーンはホラー映画の要素ですね。黒いフードをかぶった死神のような殺人鬼のビジュアルは、『スクリーム』を思い出します。


それから、ニコラスが事件の真相を追う映画中盤では、ミステリー要素が多分に盛り込まれています。主人公が一度は間違った推理をしてしまうというのは、ミステリー作品にありがちです。"間違った推理"にも"真相"にも辻褄が合うようにストーリーを組み立てているのは見事なものです("真相"がややコメディ的であることを考慮しても)。そういえば、"主要キャラクターみんなが犯人"というのも、アガサ・クリスティーのあの作品を思い起こさせます。


さらに、クライマックスでニコラスが村に戻ってくるシーンは完全に西部劇を意識しています。"敵"が待ち構える村に、ニコラスがたった一人、威風堂々と現れます(馬に乗って!)。やがて静寂が一転し、激しい銃撃戦が始まります。この感じは、ジョン・フォードの西部劇よりは、どちらかというとセルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタンに近いでしょうか。


最後に、ニコラスとスキナーが、ミニチュアの村の中で肉弾戦を繰り広げる様子は、ゴジラやウルトラマンのような日本の特撮映画を思い起こさせます。

 

笑いと興奮!

全体通してコメディを下敷きにしつつ、こうした様々な要素盛り込んで本格的に描くのが、本作のすごいところです。ふざけた演出と本格的な演出、笑いと興奮の織り交ぜ方が見事です。


例えば、ニコラスが真相に気づくも、近隣監視同盟の人々に襲われ、逃げるシーン。地下に落ちたニコラスが、暗闇の中で犠牲者達の死体を発見するショッキングなシーンです。村の風紀を乱す放浪者、スリ、野良犬、大道芸人の"生きた彫像"などが死んでいます。このシーンで"生きた彫像"は、両手を開いて驚いた顔、すなわち、静止してまったく動かないパフォーマンス中の形のままで死んでいるのです。シリアスなシーンに、あまりにさりげなくこういう笑いを入れるセンスが最高です。


エドガー・ライト監督と主演のサイモン・ペッグ&ニック・フロストの前作『ショーン・オブ・ザ・デッド』でもそうでした。こちらはコメディを下敷きにしたゾンビ映画ですが、ホラーやサスペンス描写もなかなか本格的です。こちらもまた観たくなりました。

 

最後に

最後に、劇場公開時のエピソードを1つ。本作は日本では劇場未公開(いわゆるビデオスルー)になりそうだったところを、劇場公開を求める署名活動もあって、公開に至ったという経緯があります。当時、海外での評判を聞いて、私も楽しみにしていたので、劇場公開が決まった際には喜んで劇場に足を運びました。


上映開始前、後ろの席のカップルが話しているのが聞こえました。彼女の方が映画好きのようで、この映画を観たくて彼氏を連れてきたようですが、彼氏の方はあまり有名ではない本作を見るのが不満そうでした。


2時間後、映画を見終えた彼の声がまた聞こえてきました。先程とはうって変わったテンションで、


「何これ、めっちゃ面白いじゃん!」


本作はそんな映画です。めっちゃ面白いのです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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