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映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』解説&感想 大胆な手法による驚きと感動

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どうも、たきじです。

 

今回は2019年公開の米英合作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

原題  :Once Upon a Time in... Hollywood

製作年 :2019年

製作国 :アメリカ、イギリス

監督  :クエンティン・タランティーノ

出演  :レオナルド・ディカプリオ
     ブラッド・ピット
     マーゴット・ロビー
     エミール・ハーシュ
     ティモシー・オリファント
     ジュリア・バターズ
     デイモン・ヘリマン
     マーガレット・クアリー
     オースティン・バトラー
     ダコタ・ファニング
     マヤ・ホーク
     ブルース・ダーン
     アル・パチーノ
     カート・ラッセル
     ルーク・ペリー
上映時間:161分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ハリウッドに生きる人々の日常と苦悩

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』は、1969年のハリウッドを舞台に、映画業界で生きる人々の日常と苦悩を、クエンティン・タランティーノ監督らしいユーモアとバイオレンスを交えて描いた作品です。

 

主人公は、かつてテレビスターとして名を馳せたものの、現在は落ち目の俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、彼の専属スタントマンで親友のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。彼らを中心に物語が展開する一方で、隣人の若手女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)の姿も描かれます。

 

シャロン・テートは実在の人物であり、自宅に押し入ったカルト集団「マンソン・ファミリー」の襲撃事件で命を落としました。このとき、彼女はロマン・ポランスキー監督との子を妊娠中でした。私自身、ロバート・エヴァンスのドキュメンタリー映画『くたばれ!ハリウッド』(2003年)を観て初めてこの事件を知り、その凄惨さに深い衝撃を受けたものです。

 

そのため、シャロン・テート事件が題材になっていると聞いて、私は本作を観るのをしばらく敬遠していました。劇中でシャロンが映画館で自分の出演作品を観るシーンは印象的ですが、この無邪気で純粋な女性にやがて悲劇が訪れると思うと、胸が締めつけられる思いがしました。

 

「もう一つの可能性」の感動と安堵

※ここからは大きなネタバレ

ところがです。本作では、なんとシャロン・テートは殺害されません。シャロン・テートの家に押し入るはずだったカルト集団は、隣人のリック・ダルトンの家に侵入し、リックとクリフによって返り討ちにされるのです。

 

「この後、別のメンバーがシャロンを襲うのか?」、「1人だけ車で逃げたメンバーがシャロンを襲うのか?」と、最後までドキドキしていたのですが、リックがシャロンの家に招かれ、物語が幕を閉じたことで私はようやく理解しました。本作は歴史改変映画であったと。

 

現実ではシャロンを襲撃した犯人たちを、リックとクリフが撃退する新たな世界線。そうであったかもしれない「もう一つの可能性」。これを理解した瞬間に、私は涙してしまいました。この"優しい結末"に対する感動と安堵の涙です。

 

映画の中で復讐したところで現実が変わるわけではありません。それでも、こうした虚構が観客に感動を与え、心を癒します。これもまた映画の力でしょう。そう言えば、タランティーノ監督は『イングロリアス・バスターズ』でも歴史改変は実施済みでしたね。

 

60年代ハリウッドへのオマージュ

本作のもう一つの魅力は、1960年代のハリウッドの雰囲気を郷愁的に描いている点です。劇中劇や撮影風景を挟みながら展開するストーリーは映画好きとしてとても楽しめました。

 

スティーブ・マックイーンが登場するのも目を引きます。ダミアン・ルイスが演じていますが、こうして見るとよく似ていますね。マックイーンはテレビ映画から人気を博し映画にうまく転向できた俳優として、リックと対比的です。

 

また、リックがイタリア映画に出演し人気を博すというのはクリント・イーストウッドを連想させます。イーストウッドはTVシリーズ『ローハイド』でブレイクした後、イタリアでセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタン(いわゆるドル箱3部作)に出演し、キャリアを飛躍させました。

 

本作のタイトルが、セルジオ・レオーネ監督の2作品のタイトルを模しているのにも現れているように、タランティーノ監督がマカロニ・ウェスタンを大好きなことは有名です。そんな彼がマカロニ・ウェスタンをけなすような台詞をリックに言わせているのはちょっとしたジョークと受け取りましたが、当時のハリウッドには実際にイタリア映画への出演に対する偏見があったようですね。

 

一方で、ブルース・リーの描き方については賛否が分かれるかもしれません。クリフの強さを際立たせるための演出であるとはいえ、彼のキャラクターがやや嘲笑的に扱われていて、少し複雑な気持ちになりました。

 

豪華キャストが魅せる圧巻の演技

本作ではレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットというハリウッドの二大スターが共演。かつて日本においても一二を争う人気だった美形の2人ですが、歳を重ねてもやはり渋くてかっこいいです。

 

ディカプリオは、キャリアの危機にもがく俳優の姿をリアルに演じています。特に、台詞を飛ばしてしまった後で1人で声を上げるシーンや、小説の主人公に自身を重ねて涙をこらえられないシーンなどは、不安定なリックを人間らしく表現しています。

 

個人的には、ディカプリオのキャリアの中でも上位に入る素晴らしい演技だと思います。アカデミー賞では主演男優賞にノミネートされながらも受賞には至らず。『ジョーカー』と同年だったのは運が悪かったですね。

 

一方、アカデミー助演男優賞を受賞したのはブラッド・ピット。飄々としていて、クールで頼れるスタントマンを堂々と演じていて、存在感抜群でした。

 

マーゴット・ロビーはシャロン・テートを明るく純粋なオーラ満載で演じています。彼女の演技が、観客にシャロンの魅力を強く印象づけています。

 

また、カート・ラッセル、ゾーイ・ベル、ブルース・ダーン、マイケル・マドセンなど、タランティーノ監督作品でお馴染みの面々も、ちょい役で顔を見せています。

 

反対に、タランティーノ監督作品に見慣れぬ顔なのは、映画プロデューサーのマーヴィン・シュワーズを演じたアル・パチーノ。脇役ながら、パチーノ、ディカプリオ、ブラピの3人が同時に画面に映るのを観られるなんて、なんとも贅沢でした。

 

最後に

今回は映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の解説&感想でした。歴史改変という大胆な手法で観客に驚きと感動を与えた本作。タランティーノ監督が提示する「もう一つの可能性」に触れたとき、映画の力を改めて実感することができました。本作は観る者に優しい余韻を残す作品です。1960年代ハリウッドへのオマージュや豪華キャストの共演も含め、映画好きには楽しい一本でしょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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