どうも、たきじです。
今回は1962年のアメリカ映画『何がジェーンに起ったか?』の解説&感想です。
作品情報
タイトル:何がジェーンに起ったか?
原題 :What Ever Happened to Baby Jane?
製作年 :1962年
製作国 :アメリカ
監督 :ロバート・アルドリッチ
出演 :ベティ・デイヴィス
ジョーン・クロフォード
ヴィクター・ブオノ
メイディ・ノーマン
アンナ・リー
マージョリー・ベネット
上映時間:134分
解説&感想(ネタバレあり)
元映画スターの姉と元人気子役の妹
映画『何がジェーンに起こったか?』は、ロバート・アルドリッチ監督によるサイコスリラーの名作です。
事故で半身不随となった元映画スターの姉ブランチと、元子役として一世を風靡したものの大成できず、アルコールに溺れる妹ジェーン。老年期を迎えた2人は共に暮らしていますが、やがてジェーンのブランチに対する嫉妬や憎悪が狂気となりブランチを追い詰めていきます。
映画は幼いジェーンの華やかなステージから始まります。ジェーンの人気ぶりを描くと同時に、姉妹の間の微妙な距離感と緊張感が描かれます。2人が大人になった後のシークエンスでも、映画製作者たちの会話を通じて、2人の評価が逆転した状況が簡潔に示されます。
そして、ブランチの自由を奪う事故。そこにタイトルバック。実にスムーズな導入です。
エスカレートしていくジェーンの狂気
さらに時が流れ、本編に入ると、ここからはジェーンの異常性が物語を牽引します。
すり足で気だるそうに歩くその佇まい、荒っぽい言葉遣い、隣人に対する粗雑な態度。強烈なメイクも相まって、一癖も二癖もある老人であることはすぐに観客に印象づけられます。ブランチが飼っていた小鳥を食事として出したかと思えば、ネズミまでも食卓に並べる。もはや常軌を逸した行動です。
ブランチが老いてもなお美しく、凛とした存在感を保っていることで、ジェーンの異常性がより際立ちます。
やがてジェーンは再び舞台に立とうとします。老いた彼女が子役時代の歌を舞台で歌おうとする姿は痛々しくも恐ろしく、過去にしがみつきながら精神を崩壊させていく彼女の残酷な姿が焼き付けられます。
こじれていく姉妹関係とともに、ジェーンの狂気はエスカレートし、ついにはブランチを拘束。助けようとした家政婦を殺害してしまいます。
ジェーンに何が起こったか?
クライマックスで明かされるのは、物語の背後に隠された意外な真実。ブランチが半身不随になることになった事故は、長年「ジェーンがブランチを轢き殺そうとした」結果と思われてきましたが、実は逆だったのです(ジェーンは酔っていて覚えていなかった)。
これにはハッとさせられました。私は、本編中の「ジェーンの狂気がエスカレートしていく様子」が本作のタイトルの問いの答えであると思って本作を観ていましたが、まさか本編の背景として起こった事件のことを指していたとは。
私は、本編中のブランチの行動に対して、「もっと本気で叫んで隣人に助けてもらえよ」とか、「ジェーンを信用し過ぎだろ」とか、軽くツッコミながら観ていましたが、真実を知った上で振り返れば、これはツッコミどころではありませんでしたね。ジェーンがこうなってしまったのは自分のせい。ブランチはジェーンに対してそんな後ろめたさを感じていたからこそ、あのような行動になったのだと解釈できます。
印象的なラストシーン
真実を告げられたジェーンは、まるで子供に戻ったような表情で、2人分のアイスクリームを買いに行きます。そこへ、殺人事件の容疑者であるジェーンを発見した警察官と、野次馬がジェーンの周りに集まります。そしてジェーンは、"観客"に囲まれて、人気子役に戻ったかのように踊り出すのでした。
このラストシーンでジェーンがアイスクリームを買うというのは、彼女たちの子供時代を描いた映画冒頭のシーンを受けているのもうまいですね。人気子役でわがままなジェーンでしたが、親にアイスクリームをねだった時にブランチの分も要求していました(このとき、ブランチはへそを曲げてアイスクリームを拒み、スポットライトを浴びるジェーンを妬むような態度でした)。
真実を知ったからと言って、「ジェーンは悪くなかった」とはならないまでも、「心悪しきジェーンと、可哀想なブランチ」という本編中の印象を大きくぐらつかせる結末でした。
そう言えば、狂ってしまった元スターが、人を殺し、群衆に囲まれ、過去の栄光に浸った振る舞いを見せるという結末は1950年公開の名作『サンセット大通り』と同じ構図ですね。
2人の大女優の競演
本作の大きな見どころは、ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードという2人の大女優による迫真の演技対決です。
デイヴィスは、ジェーンの狂気を凄まじい迫力で演じ、観る者を震え上がらせます。一方、ブランチを演じたクロフォードは、静的ながらも内側に葛藤を抱えた存在として、抑制的な演技で観客を感情移入させます。
現実世界でも2人は激しい確執を抱えており、その争いは業界を揺るがすほどでした。本作ではデイヴィスだけがアカデミー賞にノミネートされ、クロフォードがデイヴィスの受賞を妨害した逸話は有名です。2人の確執は、2017年にドラマ『フュード/確執 ベティ vs ジョーン』として映像化されています。
現実の対立が映画の緊張感に拍車をかけているのも事実ですが、2人が和解に至らず生涯にわたって醜い争いを続けたことは残念な事実です。
最後に
今回は映画『何がジェーンに起ったか?』の解説&感想でした。中盤にやや中弛みを感じる部分もあるものの、ジェーンの狂気が物語を牽引し、意外性のある真実と印象的なラストシーンまでゾクゾクしながら観ることのできる作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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