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映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』解説&感想 ゾンビ・コメディの草分けとして申し分ない作品

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どうも、たきじです。

 

今回は2004年公開のイギリス映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』の解説&感想です。公開当時、イギリスやアメリカでヒットしている作品として紹介されて楽しみにしていたのに、結局日本では劇場未公開に終わってしまったのは残念でした。

 

 

作品情報

タイトル:ショーン・オブ・ザ・デッド

原題  :Shaun of the Dead

製作年 :2004年

製作国 :イギリス、フランス、アメリカ

監督  :エドガー・ライト

出演  :サイモン・ペッグ

     ニック・フロスト

     ケイト・アシュフィールド

     ディラン・モーラン

     ルーシー・デイヴィス

     ビル・ナイ

 上映時間:99分

 

解説&感想(ネタバレあり)

本作は、笑いと恐怖という正反対の要素を混ぜ合わせた作品であるわけですが、中途半端な作品にはならずバランス良く仕上がっています。要所要所でしっかり笑わせてくれますし、ホラー描写も本格的です。きちんとシリアスな演出もできる人が、あえてコメディに崩しているという印象を受けます。


序盤では、ショーン(サイモン・ペッグ)とエド(ニック・フロスト)達による緩い笑いを畳み掛けながら、登場人物の背景が描かれていきます。同時に、急に倒れる人や、"何か"を伝える断片的なニュース映像、行き交う軍用車両など、不穏な空気が演出されています。


やがて、街中にゾンビが溢れてくるわけですが、ショーンとエドは、酔っ払いやイチャつくカップルと勘違いしてなかなか気づきません(笑)。このくだりで目を見張るのが、長回しのトラッキングショット。ショーンが家を出て、コンビニに行き、家に帰るまでを、ワンカットでカメラがショーンを追いかけます。周りにいる大勢のゾンビに一切気付かないショーンが面白いシーンですね。このトラッキングショットは映画序盤でも同じコース(往路のみ)で撮られていて、"平時"との対比になっているのもうまいところです。


その後は独特のゾンビ対処法が笑いの軸。レコードでゾンビを撃退するシーンも好きですが、ゾンビの真似をすることで群れに溶け込んでやり過ごすシーンが個人的に大好き。その意外性と妙な説得力にやられます(笑)


極め付きは、やはりパブの主人のゾンビと戦うシーンでしょう。ジュークボックスから流れるクイーンの"Don't Stop Me Now"に乗せてビリヤードのキューで戦う様子は爆笑必至。パブに詰めかけるゾンビをライブ客に見立てるような演出も最高。曲自体のボルテージが高いものですから、ノリノリのシーンになっています。


あまりダラダラといろんなシーンの話を並べるのもなんですが、もう一つ取り上げておきたいのが、車中でショーンの義父フィリップ(ビル・ナイ)が死ぬあたりからの一連のシーン。


確執のあったショーンに対して思いを吐露し息を引き取るフィリップ。「フィリップが死んだんだ」「生きてるわよ」からのゾンビ化したフィリップの登場。慌てて車から降りる一同。しかし、チャイルドロックで開かない扉。足がボタンに触れて再生される爆音のロック音楽(フィリップが嫌っていた)。1人だけ車内に残ったフィリップゾンビを助けようとする母に対し、「母さんの愛した男はかけらも残ってない!」。身を伸ばして音楽を止めるフィリップゾンビ。


この一連のシーンでは、ホロリとするシリアスシーンから一転してアクションに入り、音楽に乗ってスピード感が演出され、最後を笑いで締めています。センスの良いブリティッシュ・ジョークで綴られるコメディをベースとして、シリアス、アクションをバランスよく配したストーリー設計と、緩急の効いた演出。この一連のシーンは、そうした本作の魅力の縮図のようでした。


クライマックスにもそれはよく表れていますね。母親との別れやデイヴィッドの死のくだりから、コメディを抑えてアクションとドラマの比率が増します。弾丸が尽き、絶望の中でのエドとの別れ。冒頭のシーンが伏線になっている「ごめんな、ショーン」は、それ自体はコメディ的なものであるにも関わらず、しんみりとしたドラマ性の深いシーンに仕上がっています。これがあるからこそ、ゾンビ化したエドとゲームをするというナンセンスなラストも一層笑えるものになっている言えるでしょう。

 

最後に

今回は映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』の解説&感想でした。コメディとシリアス、アクションをバランスよく配したストーリー設計と、緩急の効いた演出にエドガー・ライト監督のセンスが光る一作。ゾンビ・コメディの草分けとして、申し分ない作品でした。


ちなみに本作、マーティン・フリーマンやコールドプレイのクリス・マーティンなどがカメオ出演しています。ちなみにクリス・マーティンは本人っぽい役(劇中のテレビ映像)に加えて、モブのゾンビも演じているので、ぜひ探してみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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