映画『用心棒』解説&感想 冴え渡る黒澤演出!

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どうも、Takijiです。

 

今回は映画『用心棒』の解説&感想です。黒澤明監督の演出力が濃縮された傑作時代劇です!

 

作品情報

タイトル:用心棒

製作年 :1961年

製作国 :日本

監督  :黒澤明

出演  :三船敏郎

     仲代達矢

     山田五十鈴

     司葉子

     土屋嘉男

     東野英治郎

     志村喬

     加東大介

 上映時間:110分

 

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解説&感想(ネタバレあり)

ストーリーの面白さ

桑畑三十郎と名乗る浪人(三船敏郎)が訪れた宿場町は、清兵衛一味と丑寅一味の抗争の真っ只中で、荒れ果てています。剣術の達人である三十郎が、両者を巧みに騙しながら翻弄し、やがて町を静かにして去っていく…。本作はそんな物語です。

 

続編とも言える『椿三十郎』と同様、キャラクターの魅力もさることながら、ストーリーの面白さは一級品。海外でもリメイクされたことはその証の一つと言えるでしょう。


三十郎は、時に一方の用心棒になって、両者に潰し合いをさせようと企てます。そして、時にもう一方の用心棒になって、街の有力者である造酒屋の徳右衛門(志村喬)の女にされていた農夫の妻ぬい(司葉子)を助けます。腕力と知力を駆使して敵を翻弄する様が楽しいです。


冴えわたる黒澤演出

本作は、刀で人を斬る時に初めて効果音を入れたとか、初めて血しぶきを入れたとか、殺陣の演出の逸話が多いですが、私が初めて本作の殺陣のシーンを見た時に驚いたのは、そのさりげなさと荒々しさを兼ね備えたリアリズムでした。それがよく表れているのが、映画序盤、丑寅の子分3人を斬るシーンです。

 
「斬られりゃ痛えぞ」


の台詞の後、瞬時に3人を斬り、去っていく(1人は腕を切り落とす)。そして、


「桶屋!棺桶2つ!いや、たぶん3つだ!」


このシーンの台詞はあまりにさりげなく、殺陣は余りに荒々しく、そして去り方はまたさりげないのです。

 

これが東映時代劇だと、仰々しく台詞を言った後、しっかりと間を置いて美しい殺陣で3人を斬り、主演俳優のアップで决め顔と決め台詞。てな感じではないでしょうか。実は東映時代劇をよく知りませんが、少なくとも私はこの時代の時代劇にそんなイメージを持っていました。

 

そこへきて本作の三十郎は、飾らない台詞回しの後、荒々しく3人を斬り、間髪入れずに刀を納めながら振り返って去っていくのです。この感じが新鮮で、逆に格好良かったのです。もちろん東映時代劇が悪いというわけではありません。歌舞伎のような様式美を取るか、リアリズムを取るかということでしょう。

 

そして黒澤演出が濃縮されたのがクライマックス!余裕たっぷりだった三十郎が丑寅に捕まって大ピンチに陥りますが、居酒屋の権爺(東野英治郎)に助けられます。そして今度は権爺が丑寅に捕まったことを聞き、三十郎が一人で丑寅一味に立ち向かうクライマックスです。


一歩一歩、ゆっくりと丑寅の一味に近づいて行く三十郎。丑寅の弟の卯之助(仲代達矢)の「あんまりこっに来るんじゃねぇ!」の台詞に不敵な笑みを浮かべて歩みを早め、始まる殺陣。最高の緊張感です。卯之助の台詞は、中盤での清兵衛一味に対する「もっとこっちに来な!」との対比になっているのもうまいです。


このシーンは、これでもかと言わんばかりに砂煙が吹き上げ、抑えた音楽が緊張感を盛り立て、鳥肌もののシーンになっています。黒澤監督は、アメリカの西部劇を意識して、地面に灰を撒くことでこの砂煙を再現したと言います。日本の土では西部劇のように砂煙が舞い上がらないことからの工夫です。望遠撮影による迫力ある映像も相まって、これぞ黒澤演出というシーンになっています。

 

後世への影響

上述のように、黒澤監督は本作を製作するに当たって、アメリカの西部劇を多分に意識していることは明白です。宿場町は江戸時代にしてはあまりにも道幅が広く、西部開拓時代の街のよう。ストーリーもそのまま西部劇に置き換えられるようなものになっています。


それ故に、本作はセルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド主演で『荒野の用心棒』としてリメイクされました。これが無許可であったことから裁判沙汰になったことは置いといて、これがまた出来のいい映画なわけです。


『荒野の用心棒』に始まるセルジオ・レオーネのイタリア製西部劇は、マカロニ・ウエスタン(世界的にはスパゲッティ・ウエスタン)と呼ばれ、アメリカで衰退しかけていた西部劇の復活に一役買ったわけです。


ジョン・フォードの西部劇に影響を受けた黒澤明が、マカロニ・ウエスタンの誕生に一役買い、それが本家の西部劇の復活につながるというのは、映画という芸術の発展の系譜が感じられ、映画ファンとしては興奮してしまいます。


ちなみに、ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』シリーズが様々な黒澤映画の影響を多分に受けていることは有名ですが、本作の腕切りシーンもその一つでしょう。『スター・ウォーズ』シリーズには、何度もこれに類似する印象的なシーンが登場しますよね。


時代を感じる欠点

いくら黒澤明が世界的に名を残す名監督とはいえ、さすがに現代の感覚で見るとイマイチな点もあります。


まず、台詞回しが下手くそ。端役の俳優は、そもそも何を言っているのか聞き取れないことも少なくないです。主演の三船敏郎でさえ、現代の感覚では台詞回しが辿々しく、若干棒読みっぽく感じるシーンもあります(それでも圧倒的な魅力を放つのが三船敏郎という俳優ですが)。


あと、時々音楽がうるさい。例えば、ぬいが出てくるシーン。清兵衛の息子を捕まえた卯之助が清兵衛を煽ると、清兵衛側はぬいを捕まえていることを卯之助に見せます。このシーンでは、急に仰々しい音楽が流れ出します。まだ彼女の人物紹介をしていないのに、急に音楽で盛り上げられても「いや、誰やねん!」としか思いません。現代の感覚ではNGの音楽の使い方でした。

 

最後に

今回は映画『用心棒』の解説&感想でした。続編の『椿三十郎』の方が、笑いや舞台設定が生むワクワクやストーリー展開の面白さでは上かもしれませんが、冴え渡る黒澤演出という点では本作が圧倒的に上だと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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