人生をもっと楽しく

人生を楽しむ多趣味サラリーマンが楽しいことを発信するブログ

映画『ウォーリアー』解説&感想 日本で劇場未公開だった名作

【スポンサーリンク】

どうも、たきじです。

 

今回は2011年公開のアメリカ映画『ウォーリアー』の解説&感想です。本国公開から4年後にソフト化された際に限定公開されるまで、日本では劇場未公開作品でした。

 

 

作品情報

タイトル:ウォーリアー

原題  :Warrior

製作年 :2011年

製作国 :アメリカ

監督  :ギャヴィン・オコナー

出演  :ジョエル・エドガートン
     トム・ハーディ
     ジェニファー・モリソン
     フランク・グリロ
     ニック・ノルティ

上映時間:140分

 

解説&感想(ネタバレあり)

総合格闘技を題材とした人間ドラマ

映画『ウォーリアー』は、総合格闘技を題材とした作品。そのように聞くと、肉体のぶつかり合いが見どころのアクション映画を思い浮かべるかもしれません。しかし、本作の見どころはアクションだけではありません。それよりもむしろ、トミー(トム・ハーディ)と父パディ(ニック・ノルティ)、そしてトミーと兄ブレンダン(ジョエル・エドガートン)の確執と和解という濃厚な人間ドラマが見どころの作品です。

 

物語の筋はある程度予測できるものです。パディのアルコール依存症をきっかけとして、かつて崩壊した家族。確執を抱え、長らく会うこともなかったトミーとブレンダンが、それぞれの理由で総合格闘技の大会「スパルタ」に出場し、やがて決勝で対決する──こうした展開は、スポーツ映画の王道ですし、できすぎた展開です。酒を断っていたパディが終盤で酒に手を出してしまうのもありきたりな展開と言えるかもしれません。しかし、本作が単なる予定調和に終わらないのは、キャラクターの感情の描写が実に丁寧で、リアルだからです。

 

興味深いのは、彼らの秘めた過去が直接的に語られることはほとんどなく、ましてや回想シーンとして描かれることなど一切ない点です。代わりに、登場人物たちの会話が、その断片を少しずつ浮かび上がらせていきます。観客は、彼らのやりとりを通して徐々に彼らの過去の空白を埋めていくことになります。その積み重ねがあるからこそ、観客は彼らの感情の起源を理解し、終盤のドラマに深く心を揺さぶられます。

 

ドラマとアクションの見事な融合

また、本作はドラマとアクションを見事に融合させています。「スパルタ」が始まってからは、それまで静的に表現されてきた感情が、アクションを通じて動的に表現されていきます。そして、父と子、兄弟の和解も、言葉で直接的に表現されるのではなく、アクションを通じて表現されます。

 

パディは、かつてアルコール依存症によって家族を崩壊させましたが、今は酒を断ち、神にすがりながら贖罪の日々を送っています。しかし、トミーは彼を許さず、対話の余地すら与えません。トミーに激しく感情をぶつけられ、ついには酒に手を出してしまい、泥酔して取り乱すパディ。

 

その姿を見たトミーはパディを落ち着かせ、体を支えるようにベッドに寝かせます。「いつだって愛していた」とつぶやくパディ。トミーはそれを受け止め、優しく頭をなでます。その一連の動作こそが、トミーなりの赦しなのです。

 

そして、トミーとブレンダンの関係。自分と母と一緒に家を出なかったブレンダンを恨んでいるトミー。しかし、ブレンダンにも彼なりの事情がありました。体をぶつけ合いながら、互いの痛みを知る2人。肩が外れてもなお戦おうとするトミーに関節技をかけながら、謝罪の気持ちとトミーへの愛を叫ぶブレンダン。トミーのタップは、試合におけるギブアップの意味だけでなく、赦しと和解の合図。この瞬間には感動が込み上げてきます。

 

本作にはエピローグとなるシーンがありません。兄弟がリングを降り、肩を寄せ合いながら去っていく──それで映画は幕を閉じます。クライマックスの勢いのまま終幕する様子は、同じ格闘技映画の名作『ロッキー』を思い起こさせますね。これはこれで、深い余韻を残します。

 

音楽と演技

さて、本作は、映画を彩る音楽も印象的です。ストーリーの中でも引用されるベートーヴェンの「歓喜の歌」ですが、これをモチーフにした楽曲が物語のテーマとシンクロします。歓喜とは、単なる勝利の喜びではなく、痛みを乗り越え、再びつながる家族の喜びでもあるでしょう。

 

また、この楽曲も流れるトレーニングシーンのモンタージュも印象的。テンポよく編集された映像が観る者の興奮を高めます。このシーンも『ロッキー』のモンタージュを思い起こさせますね。

 

最後に、本作は主要キャスト3人の素晴らしい演技によって支えられていることも忘れてはなりません。パディを演じアカデミー賞助演男優賞ノミネートのニック・ノルティはもちろん、トム・ハーディもジョエル・エドガートンもそれぞれトミーとブレンダンを巧みに演じています。彼らの共演シーンは、いずれも特別な空気が流れているようで、極めて繊細なシーンになっていました。

 

最後に

今回は映画『ウォーリアー』の解説&感想でした。単なるスポーツ映画ではない家族の物語。繊細な演技と迫力のアクションで炙り出される複雑な感情が、観るものの心を揺さぶる作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

多趣味を活かしていろいろ発信しておりますので、興味のあるカテゴリーがございましたら他の記事ものぞいていただけると嬉しいです!

はてなブログの方は、読者登録もお願いします!

 

↓ 他の映画の解説&感想もぜひご覧ください!

 

----この映画が好きな人におすすめ----