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映画『キル・ビル』解説&感想 タランティーノ監督の映画愛と情熱

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どうも、たきじです。

 

今回は2003年公開のアメリカ映画『キル・ビル』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:キル・ビル

原題  :Kill Bill: Volume 1

製作年 :2003年

製作国 :アメリカ

監督  :クエンティン・タランティーノ

出演  :ユマ・サーマン
     ルーシー・リュー
     ヴィヴィカ・A・フォックス
     マイケル・マドセン
     ダリル・ハンナ
     デビッド・キャラダイン
     千葉真一
     ジュリー・ドレフュス
     栗山千明
     ゴードン・ラウ
     大葉健二

上映時間:113分

 

解説&感想(ネタバレあり)

監督が愛する映画を融合させて描く復讐劇

クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』は、エキサイティングな復讐劇であると同時に、彼が愛する映画へのオマージュが詰まった作品。カンフー映画、ヤクザ映画、マカロニ・ウェスタン、B級アクション、アニメ——これらすべてを融合し、映画文化の一側面を一本の作品に凝縮しています。映画に溢れる血と暴力の奥に、彼の映画愛と情熱が込められています。

 

物語は至ってシンプル。元暗殺者の主人公ザ・ブライドが、結婚式当日にかつての仲間たちに襲撃され、昏睡状態から目覚めた後、復讐の旅に出るというものです。

 

冒頭のヴァニータ・グリーンとの戦いで、ザ・ブライドによる復讐劇の始まり(時系列としては2人目)を鮮烈に描いた後、時間は遡ります。冒頭でしっかりと掴みつつ、タランティーノ監督お得意の非直線的なストーリー構成で観客を引き込みます。

 

デフォルメされた"日本"

まず目を引くのが途中で挿入されるアニメシーン。このアニメーションの制作は『攻殻機動隊』シリーズなどで有名なプロダクションIG。デフォルメされたアクションや派手な血飛沫など、大袈裟な演出が楽しいです。敵キャラの生い立ちを描くシーンというのが惜しいくらいの素晴らしいシーンでした。

 

また、千葉真一の出演も見逃せません。沖縄の寿司屋の大将として登場しますが、実は伝説の刀鍛冶・服部半蔵という役どころです。ユーモラスなやりとりに始まり、ザ・ブライドが自身の目的を明かした途端にシリアスに切り替わりますが、千葉がさすがのいい芝居を見せます。日本刀を扱う所作も当然に手慣れています。千葉は本作で剣術指導も担当しているとか。

 

そして、本作のメインの舞台である東京へ。中盤で東京の場面が始まってから、映画は一層魅力を増します。本作に描かれる日本はハリウッド映画でしばしば目にする「奇妙な日本」。しかし、タランティーノ監督はおそらく意図してそれを表現しています。

 

単なるステレオタイプとしての日本ではなく、過去の作品で描かれたフィクションの中の日本を、意図的にデフォルメして再構築しているのです。みな揃って黒スーツにカトーマスクという異様な出立ちで、日本刀を振り回すヤクザたち。そして何より、旅客機の中に乗客が何食わぬ顔で日本刀を持ち込んでいるのは笑ってしまいます。

 

オマージュ満載の過激なアクション

日本料理店のかなり大掛かりなセットをたっぷり使ったアクションは見事なものです。栗山千明演じるゴーゴー夕張はアニメから飛び出してきたようなキャラクターですが、本作の世界観によく馴染んでいます。モーニングスターを振り回す女子高生なんて、突飛な設定が可笑しいです。

 

そして、"クレイジー88"と呼ばれる集団との戦い。かなりバイオレンス強めの過激なアクションですが、白黒映像で血飛沫の生々しさは抑えられています。

 

一連のシーンでのザ・ブライドの衣装はどう見ても『死亡遊戯』のブルース・リーの衣装がモチーフ。クレイジー88が着用しているカトーマスクもブルース・リーが『グリーン・ホーネット』で演じたカトーのアイマスクにちなむといいますから、この場面は日本映画よりもむしろ香港映画へのオマージュが強めかもしれません。チャンバラシーンにもワイヤーアクションっぽい香港的な演出が入ってきますしね。一方で、最後に残った若い構成員を斬らずに逃すのは『用心棒』を思い起こさせます。

 

そして、因縁のオーレン・イシイとの対峙し、雪降る庭での決闘。しっかり整ったシチュエーション。決闘を盛り上げる音楽。タランティーノ監督も敬愛するセルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタンを彷彿とさせます。

 

日本語の台詞回しは惜しい

このシーンを始め、ザ・ブライドとオーレン・イシイが日本語を喋るシーンが多々ありますが、お世辞にも上手いとは言えないのが惜しいところ。日本語が分からない人は気にならないでしょうが、日本人にとってはどうしてもマイナスに作用してしまいます。

 

クレイジー88を倒した後のザ・ブライドの「まだ命がある者、それは持って帰るがいい。ただし、失くした手足は置いてってもらうよ。これはもう私のもんだ。」なんて、素晴らしい決め台詞なのに、全然決まってないですよね(笑)。公開当時、TVスポットでたっぷり流れていたオーレン・イシイの「やっちまいな!」だって、最初は日本語を喋っていると気づかなかったのを思い出します。難しいのは承知していますが、もうちょっと練習して欲しかったですね。

 

オーレン・イシイがヤクザたちの前で演説するシーンでは、「私の真剣な気持ちをご理解いただくために、ここから英語で話します」っていうのがありましたが、それ聞いて安心してしまいましたよ(笑)。同時通訳が入るのもユニークでした。

 

音楽による巧みな演出

タランティーノ監督は音楽の使い方が非常に巧みなことで知られていますが、本作ではそれが特に際立っています。本作が過去の映画へのオマージュで構成されているという特性上、音楽もまた過去の作品にちなむ楽曲を巧みに引用し、作品の魅力を高めています。

 

ザ・ブライドが復讐のターゲットであるヴァニータ・グリーンやソフィ・ファタールを目にした瞬間に流れる短いフレーズはTVドラマ『鬼警部アイアンサイド』のテーマ。クインシー・ジョーンズの作曲です。日本ではバラエティー番組『ダウンタウンDX』でジングルとして使われるのを聞き慣れている人も多いでしょう。緊張感を高める曲ですが、この選曲が、少しユーモラスにも感じられます。

 

ダリル・ハンナ演じるエル・ドライバーが登場シーンで吹いている口笛は1968年公開のイギリス映画『密室の恐怖実験』の楽曲。作曲はバーナード・ハーマンです。本作では顔見せ程度のエル・ドライバーの登場が、これほどまでに鮮烈なシーンになっているのは、彼女の不気味さを際立たせるこのメロディーによるところも大きいでしょう。それもあってか、当時この曲がテレビ番組で使われることも多かったと記憶しています。

 

ザ・ブライドが東京に行くシーンで流れるのはTVドラマ『グリーン・ホーネット』のテーマ曲。この楽曲は、ロシアのオペラの間奏曲「熊蜂の飛行」をジャズ風にアレンジしたものです。東京パートの幕開けを疾走感溢れるメロディーで彩っています。また、上述の通り『グリーン・ホーネット』と言えばブルース・リーの出演作。音楽でもオマージュを捧げています。

 

クライマックスの戦いの決着後には、映画『修羅雪姫』の主題歌である「修羅の花」、エンドロールでは映画『女囚さそり』シリーズの主題歌「怨み節」が流れます。いずれも主演女優である梶芽衣子によって歌われています。両作品とも『キル・ビル』と同様に女の復讐を描いた作品。"女の復讐"というテーマや日本的な情念のこもった両曲は、見事に作品にマッチしています。

 

そしてそして、本作の音楽で何より素晴らしいのは、布袋寅泰の「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」でしょう。もともとは映画『新・仁義なき戦い。』のテーマ曲ですが、『キル・ビル』で使用され世界的に注目を集めました。特に日本では、本作のテーマ曲としてのイメージが定着しています。オーレン・イシイ率いるヤクザたちが日本料理店を訪れるシーンで流れますが、このシーンを劇的に演出していて凄まじいインパクトです。

 

最後に

今回は映画『キル・ビル』の解説&感想でした。タランティーノ監督は自分の愛する映画ジャンルをすべて詰め込み、見事に一つの作品としてまとめ上げています。その製作過程は、彼にとって至福の時間だったに違いありません。そして、その映画愛に満ちた世界に、観客である我々も存分に浸ることができます。本作はまさに、映画好きによる映画好きのための映画と言えるでしょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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