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映画『アンタッチャブル』解説&感想 アル・カポネに挑む捜査チームの奮闘を描く

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どうも、たきじです。

 

今回は1987年公開のアメリカ映画『アンタッチャブル』の解説&感想です。シカゴを牛耳るギャング、アル・カポネ逮捕のために奮闘する捜査チームの活躍を、ブライアン・デ・パルマ監督が描きます。

 

 

作品情報

タイトル:アンタッチャブル

原題  :The Untouchables

製作年 :1987年

製作国 :アメリカ

監督  :ブライアン・デ・パルマ

出演  :ケビン・コスナー

     ショーン・コネリー

     アンディ・ガルシア

     チャールズ・マーティン・スミス

     ロバート・デ・ニーロ

     ビリー・ドラゴ

     パトリシア・クラークソン

 上映時間:119分

 

解説&感想(ネタバレあり)

エリオット・ネスの自叙伝を映画化

舞台は禁酒法時代のシカゴ。酒の密造や密輸によって莫大な利益を上げ、シカゴを牛耳るのはギャングのボス、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)。財務省から送り込まれた捜査官エリオット・ネス(ケビン・コスナー)は捜査チームを組織し、カポネ逮捕のために奮闘します。ネスの捜査チームはやがてアンタッチャブル(The Untouchables=手出しできない奴ら)と呼ばれるようになります。


本作はエリオット・ネスの自叙伝の映画化。映画化にあたって脚色されたところもある上に、そもそも原作の時点で武勇伝として結構盛られているというのが定説のようです(近年見直す向きもあるようですが)。史実に基づくのは大まかな事実のみで、物語はフィクションと考えた方がいいでしょう。


ネス達アンタッチャブルとカポネの組織との重厚な実録ドラマは描かれていないものの、正義のヒーロー"アンタッチャブル"を描いた軽快な娯楽作品としてうまくまとめられています。

 


少し残念なのは…

個人的に少し残念に思うのは、彼らがアンタッチャブルと呼ばれるようになるところをもう少し強調して描いた方が良かったのでは?ということ(台詞でさらっと出てくるレベルではなく)。


本作のタイトルなんだから、というのもありますが、もう一つの理由は、アンタッチャブルズの1人のウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)がエレベーターで殺されるシーンにあります。ここで、暗殺者のフランク・ニッティ(ビリー・ドラゴ)によって、壁には血で"TOUCHABLE"と書かれています。彼らがアンタッチャブルと呼ばれているのにちなんで、"タッチャブル"、つまり"手出しできるぜ"と煽っている訳です。このショッキングなシーンをより劇的に見せるためにも、アンタッチャブルという彼らの通称をより強く印象付けるべきだったと思うのです。


ついでに言えば、このフランク・ニッティのキャラクターとか、彼とネスの屋上でのアクションはちょっと"映画的"(もっと言えば漫画的)過ぎる印象を受けますね。ニッティは組織の殺し屋みたいな役回りですが、白スーツで目立ちまくりだし。


本作ではネスに突き落とされて死亡しますが、史実ではカポネから組織を引き継いだ男です。そんな組織の幹部が、本作ではチンピラにしか見えません(笑)。これならニッティではなく、オリジナルのキャラクターとして描いた方が良かったのでは?『ロード・トゥ・パーディション』に出てくるニッティの方が、よほどそれっぽかったな。

 


凝ったカメラワーク

カメラワークが結構凝っているのは本作の見どころの一つでしょう。カメラが移動して被写体を追跡しながら撮影する"トラッキングショット"が多用されているのが印象的です。


ウォレスが犠牲になる直前のシーンでは、警察署内の廊下をあちこちに移動しながら2分超の長回しで臨場感を演出しています。マローンを狙う暗殺者の主観映像で見せる長回しも然り。ブライアン・デ・パルマ監督は『スネーク・アイズ』冒頭で10分以上の長回しもやっているように、この手の撮影はお手のものですね。


カポネのファーストカットや、彼がバットで部下を撲殺するシーンに見られる、真上からのカットも印象的。『ゴッドファーザー』でヴィトーが襲撃されるシーンを思い出します。


ユニオン・ステーションの銃撃シーン

忘れてはならないのはユニオン・ステーションでの銃撃シーン。このシーンは『戦艦ポチョムキン』(1925年)の"オデッサの階段"のシーンへのオマージュとしてしばしば語られますね。銃撃の中、階段を落ちていく乳母車のモチーフは『戦艦ポチョムキン』の引用であることは間違いありません。しかし、このシーンでのアクション設計、カッティング、スローモーションによって生み出される緊張感は、紛れもなく本作のオリジナル。この点は『戦艦ポチョムキン』とは切り離して評価されるべきでしょう。


ちなみに、私は昔アメリカ一人旅でシカゴを訪れた際にこの階段を降りたことがあります。映画と同じで、ユニオン・ステーションから長距離列車に乗るために、階段上の入口から駅に入って、この階段を降りました。乳母車が落ちるように、スーツケースをがたがたさせながら、一人でほくそ笑んでいました(笑)


以上、どうでもいい話でした。

 


俳優陣の好演

さて、本作は俳優陣のそれぞれがとても好演しています。


エリオット・ネスを演じた主演のケビン・コスナーは本作の成功で躍進。正義感溢れるヒーローの役にハマっていました。カポネに判決が下された後に一言決めるシーンもいいですが、ラストシーンがカッコいいですね。記者から禁酒法が廃止されるがどうするかと問われて、「大いに飲むよ」と残して去っていく姿よ!このシーンに限ったことではないですが、エンニオ・モリコーネによるヒロイックなテーマ曲がまたいいんだわ。


マローンを演じたショーン・コネリーは"ジェームズ・ボンド後"ぱっとしませんでしたが、本作で再浮上。アカデミー助演男優賞を受賞も納得の名演でした。息を引き取る前の壮絶な演技は何度見ても痺れます。


ストーンを演じたアンディ・ガルシアは本作で名を売りました。演技の見せ場は少ないながらも、ユニオン・ステーションのシーンではアクションで魅せてくれます。乳母車を支えながら、標的に銃口を向け、ネスの「You got him?(狙いは?)」に「Yeah I got him.(バッチリ)」と答え、完璧に標的を仕留める。カッコいい!


アル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロは安定の演技ですね。ストイックな役作りで知られるデ・ニーロは、公開当時44歳ながら、頭髪を剃り上げて老け役を演じ…と思いきや、調べてみると、本作で描かれた年代のアル・カポネは30代前半。あ、アル・カポネって、そんな若かったんだ…。

 

最後に

今回は映画『アンタッチャブル』の解説&感想でした。凝ったカメラワークと、俳優陣の好演、モリコーネの音楽によって、軽快な娯楽作品としてまとまった"ヒーロー映画"でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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