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映画『千年女優』解説&感想 混ざり合う現実と虚構

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どうも、たきじです。

 

今回は、2001年公開のアニメ映画『千年女優』の解説&感想です。今敏監督作品の第2作です。

 

 

作品情報

タイトル:千年女優

製作年 :2001年

製作国 :日本

監督  :今敏

声の出演:荘司美代子
     小山茉美
     折笠富美子
     飯塚昭三
     津田匠子
     鈴置洋孝
     京田尚子
     山寺宏一
     津嘉山正種

上映時間:87分

解説&感想(ネタバレあり)

本作が公開されたのは宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』と同年の2001年。『千と千尋』が世界的に注目を集め、オスカーまで受賞したのに比べると、本作は認知度が低いですが、作品のクオリティとしては本作も負けていません。いや、『千と千尋』とはベクトルが違うので、比較するものではないですね。本作はアニメーションとして、というだけでなく映画としてとても素晴らしい作品です。


30年前に引退した伝説の女優・藤原千代子。本作は、彼女へのインタビューを通じて、その人生を振り返るという物語です。素晴らしいのは、物語の構成。


千代子の語りを導入として回想シーンが描かれるわけですが、インタビュアーの立花とカメラマンの井田も、その場にいたかのように回想シーンの中に存在し、若き日の千代子と共に彼女の過去を"体験"します。さらには、彼女の回想シーンはいつ間にか彼女の演じる映画の中の出来事に遷移し、やがて現実(回想)と虚構(映画)が重なり、混ざり合っていきます。


「一番大切なものを開ける鍵」を残して去った「あの人」。千代子は、あの人に会うために女優になり、満州に渡り、あの人を追いかけ続けます。そして、彼女は映画の中でもあの人を追いかけ続けます。急に戦国映画になったり、未来のSF映画になったり、千代子は映画の中で千年の時を超えてあの人を追いかけ続けるわけです。


映画が進み、この見事な構成が明らかになっていくにつれて、ワクワクしながら前のめりで観てしまいました。黒澤映画や小津映画、ゴジラなど、往年の日本映画へのオマージュも飽きさせません(何度も現れる老婆は明らかに『蜘蛛巣城』で浪花千栄子が演じた妖婆ですよね)。


クライマックスにかけて素晴らしかったのは、北海道にあの人を追いかけていくシーン。これまで描かれてきた様々な映画のシーンの断片を素早いカッティングでつなぎ、千代子の感情の高まりを煽るように表現しています。

 


ロケットの打ち上げを死への旅立ちと重ねるラストシーンも痺れました。オープニングとつながりも含め、見事ですね。


そして、ここで千代子が衝撃の一言。


「だってあたし、あの人を追いかけてるあたしが好きなんだもん」


この一言、ある意味ものすごいどんでん返しですよね。初恋の相手を探し続けるという純愛への感動をぶち壊します(笑)。


個人的には、ちょっと笑ってしまいました。だって、鑑賞中に本作の唯一の欠点だと感じていたのが、「千代子があの人に執着する理由があまり描けておらず説得力に欠ける」ことでしたから。普通あの程度の経験なら、時と共に気持ちが冷めていきそうなものですからね。そこへ来てこの一言です。「そうきたか」とニヤリとしてしまいましたよ。


ところで、あの「一番大切なものを開ける鍵」が何の鍵であったかは、最後まで明らかになりませんでした。これは、結局のところ千代子があの人を追う動機づけに過ぎず、鍵でも何でもいい、いわゆるマクガフィンなのかなと思って観ていました。が、最後まで観ると、「死の間際にある千代子の思い出を開く鍵」として、象徴的な意味づけがされていました。これもなかなか上手いところでした。

 

最後に

今回は、映画『千年女優』の解説&感想でした。現実と虚構が混ざり合い、千代子の思い出の物語を紡ぐ。この見事な構成は、アニメという枠を超え、映画としての芸術性を高めることに成功しています。映画ファンとして感動し、幸せな時間を過ごせました。今敏監督の作品を観るたびに、つくづく早逝が残念に感じられて仕方がありません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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