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映画『君の名は。』解説&感想 他のどの映画にも似ていない独創性

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どうも、たきじです。

 

今回は、2016年公開の映画『君の名は。』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:君の名は。

製作年 :2016年

製作国 :日本

監督  :新海誠

声の出演:神木隆之介

     上白石萌音

     谷花音

     市原悦子

     成田凌

     悠木碧

     長澤まさみ

上映時間:107分

解説&感想(ネタバレあり)

興行収入歴代4位の大ヒット作

本作は、公開当時、日本で歴代4位の興行収入を収めた大ヒット作。こうした大ヒット作というのは、映画ファンから見るとどうしても色眼鏡で見てしまいがちです。大ヒット作=普段映画を見ない人達が見る作品、であり、必ずしも作品の質が保証されるものではありません。所詮、大衆受け映画だろうという気持ちが、いくらか心の中に潜んでしまいます。


特に日本でのヒット作というのは海外に比べて特殊。テレビアニメやテレビドラマの映画版みたいな、純粋な映画とは少し趣の違う作品が多いですし(それ自体を全否定するつもりはありませんが)、映画としての質が微妙な作品も少なくありません。


そんな中で、本作は大ヒットすると同時に作品の質も素晴らしく、大衆もコアな映画ファンも納得させる文句なしの作品であると私は思います。

 


"入れ替わり"の青春ロマンス

本作は、東京に暮らす男子高校生の(神木隆之介)と、飛騨の田舎町に暮らす女子高生の三葉(上白石萌音)の心と体が入れ替わるという事象が物語の軸となります。2人の人物の心と体が入れ替わるというネタは、過去の映画でもしばしば題材とされており、青春映画としては大林宣彦監督の『転校生』が有名ですね。


同作を含め、過去の映画では同じ場所に存在する2人の入れ替わりが描かれたのに対し、本作は離れた場所にいる2人に入れ替わりが起こるところに独自性があります。基本的には2人の入れ替わりがコミカルに描かれるわけですが、直接会ったことのない2人が徐々に惹かれ合うという青春ロマンスになっています。


しかし、中盤でそれが一転。三葉が暮らす糸守町が彗星の破片の落下によって3年前に消滅していたという事実が物語の転機となります。3年のタイムラグを挟んで2人は入れ替わっていたという展開の変化は見事なものです。


入れ替わってる時にカレンダー見ないのかとか、町の名前や高校の名前くらい覚えていないのかとか、そんな疑問は少し頭をよぎりますね。でも、2人は夢を見ているような感覚で、入れ替わりの記憶は次第に薄れていくという描写に納得。よく設定が練られていますね。


ロマンスに割って入るように、彗星から町を救うための奮闘で物語を盛り上げ、最後には2人のロマンスに再び帰結していくという構成にもソツがありません。


映画を通して我々が見てきた2人のロマンスを、彼らは忘れてしまっているということに胸が締め付けられます。そして、誰とでも簡単に繋がれるこの時代に、2人がなかなか出会えないもどかしさよ!


他のどの映画にも似ていない独創性

最初に本作を鑑賞した時の印象は、なんと独創的な映画だろうか、というものでした。いや、個々の要素要素は決して新しいものではないですよ。上でも触れたように、2人の人物の心と体が入れ替わるという物語は様々な作品で描かれてきました。異なる時間を生きる人間同士が通じ合うとか、自分達だけが知っている"やがてくる脅威"を阻止しようと奮闘するとか、記憶を失っていくとか、"なかなか出会えない2人"といった要素も、往年の映画やら小説やらで見覚えのあるものが少なくありません。


しかし、本作はそうした要素を一本の作品としてうまくまとめあげ、他のどの映画にも似ていない独創的な作品に仕上がっているのです。このように既存の要素をうまく再構成して全く新しく、かつ素晴らしい作品が作られたという事実は、ネタ切れに苦しむ映画界に希望を与えるものであると、私は思います。

 


"名前"というテーマ

本作は、"名前"というテーマでうまくまとめられているところも素晴らしいところ。終盤で、2人が互いの名前を忘れそうな中で、それを忘れまいともがくくだりでは、焦燥感や切なさを掻き立てられます。ここでの2人それぞれのモノローグはRADWIMPSの歌も相まって、グッとくるシーンになっています。


このシーンは"彗星から町を救う"という話の流れに割って入るシーンであり、なおかつストーリーが大きく動くわけでもないシーンにもかかわらず、2人の感情にフォーカスすることで映画のハイライトの一つになっています


瀧が三葉の手に「すきだ」と書いていたのは少々臭い気もしますが、序盤で「みつは」とか「お前は誰だ」とか手に文字を書いてやりとりしていたのが伏線として効いていますね。


そしてラストシーンでは、互いの記憶をほとんどなくしつつも探し合っていた2人が出会い「君の名前は?」と声を掛け合います。そしてタイトルバック。これ以上ないエンディングです。


描写の反復で生まれるリズム

もう一つ、本作の素晴らしいところを挙げるとすれば、ちょっとした描写でうまくリズムを作ってテンポ良くストーリー展開しているところでしょうか。


例えば瀧が三葉の体で目覚めるたびに、布団の上で自分の胸を揉むというシーンの反復。ここでは、とてもユーモラスな短いシーンを反復することでリズムを作っています。同時に、中盤では、「あいつに悪いか」とためらいを見せることで瀧の感情の変化を描き、終盤では、失ったと思われた三葉の体で再び目覚め、涙ながらに胸を揉む描写で笑わせてくれます。


他にも、襖や電車のドアなどの開く様子を敷居の位置からのローアングルで映した1秒ほどのカットの反復。ストーリー的には意味のないカットながら、こうしたさりげない描写を繰り返すことで作品に心地よいリズムを生んでいます。

 

最後に

今回は映画「君の名は。』の解説&感想でした。既存の要素をうまく再構成し、全く新しい作品に仕上がった本作。大衆からコアな映画ファンまで納得させる素晴らしい作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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