どうも、Takijiです。
今回は、映画『東京ゴッドファーザーズ』の解説&感想です。46歳の若さで亡くなった今敏監督の代表作です。
作品情報
タイトル:東京ゴッドファーザーズ
製作年 :2003年
製作国 :日本
監督 :今敏
声の出演:江守徹
梅垣義明
岡本綾
飯塚昭三
加藤精三
石丸博也
上映時間:90分
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解説&感想(ネタバレあり)
捨て子を拾うホームレス
クリスマスの夜、ゴミ捨て場に捨てられた赤ちゃんが泣いています。赤ちゃんを見つけたのは3人のホームレス。自称・元競輪選手のギン(江守徹)、オネエのハナ(梅垣義明)、家出少女のミユキ(岡本綾)の3人です。彼らは赤ちゃんと一緒に捨てられていたコインロッカーの鍵を頼りに、赤ん坊を捨てた親を探し始めます。
心地よいご都合主義
本作の大きな魅力の一つが、ご都合主義のストーリー展開です。探している人に偶然会ったり、目的地に偶然たどり着いたり、とにかく偶然に偶然が重なっていきます。
"ご都合主義"という言葉は通常、否定的に使われるものですが、本作は意図的に偶然の出来事を連続させてストーリーを展開させ、心地よいリズムとユーモアを生んでいます。
それでいて、常に先が見えないので、先の展開を楽しみにしながら、テンポの良い物語に入り込むことができます。終盤の意外な展開から、クライマックスのアクション、父娘の再会、"宝くじ"まで、全く飽きることなく楽しめました。
複雑な親子の形
本作はそうしたストーリー展開の面白さのみならず、キャラクターそれぞれのドラマがしっかりと描かれていることも魅力の一つです。とりわけ、本作では"親子"をテーマとして各キャラクターを掘り下げています。
軸となるのは捨てられた赤ちゃんです。母親は、子をゴミ捨て場に捨てるようなとんでもない女。と思いきや、映画終盤で姿を見せる母・幸子は、夫に子を捨てられた母であることが分かります。しかしそれも間違いで、幸子は産まれる前の子を亡くした母であり、他の人の子を盗んだ女であることが分かります。
この二転三転のストーリーの中で、観客が抱く幸子の人物像も二転三転していきます。そしてこれに翻弄されるのが、本作の主人公であるホームレスの3人です。
ホームレスの3人は赤ちゃんの世話をしながら本当の親を探します。ここで、彼らと赤ちゃんは一時的な親子関係になります。さらに彼らは赤ちゃんに"清子"という仮の名前を付けます。そして、映画のラストでは本当の名付け親(=ゴッドファーザー)になることが示唆されます。
ここで生まれた一時的な親子関係により、彼らは、自らの本当の親子関係にも想いを巡らせることになります。そして、赤ちゃんの親探しの旅の中で、それぞれのドラマが描かれます。
ギンはギャンブルに溺れて家族を捨てた過去を抱えながら、成長しているであろう娘を想います。病院での偶然の再会により、自分を待ち続けていた娘の気持ちを知ることになります。
ハナは、決して本当の母親にはなれないながら、溢れる母性で赤ちゃんを可愛がります。また、迷惑をかけた後ろめたさから疎遠になっていたオカマバーのママに助けられます。実の家族には恵まれなかったハナですが、ここで母の愛情に触れることになります。
ミユキは飼い猫を捨てられたという勘違いから警察官の父を刺してしまった過去を抱えています。ミユキは、自分は家出している身でありながら、赤ちゃんとともに死のうとする幸子に対して、「子供がいなくなった時の気持ち、あんたなら分かるでしょ!?」と叫びます。ミユキがこの旅を通して様々な親子の形に触れたことで、自分を待つ父の気持ちを理解していることが、この台詞からよく分かります。ラストシーンで偶然に父親と再会する彼女が、その後、父と和解することは、映画に描くまでもないことです。
このように、赤ちゃんの親探しの旅を通して、それぞれの親子のストーリー、複雑な親子の形をしっかり描いているのが実に見事です。そうそう、ホームレスの3人が擬似的な親子関係になっていることも忘れてはなりませんね。
最後に
今回は、映画『東京ゴッドファーザーズ』の解説&感想でした。クリスマスから正月にかけてのお話なので、毎年この時期にテレビ放映されるのが定番化してもいいくらいの映画だと思います。多くの人に見てほしい作品です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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