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映画『ドラゴンボールZ 神と神』解説&感想 愛のある辛口レビュー

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どうも、たきじです。

 

今回は、映画『ドラゴンボールZ 神と神』の解説&感想です。漫画『ドラゴンボール』の劇場版としては第18作にあたり、第2期の最初の作品です(詳しくは後述)。

 

今回はネガティブな感想となりますが、愛のある辛口レビューということで、ご容赦ください。

 

作品情報

タイトル:ドラゴンボールZ 神と神

製作年 :2013年

製作国 :日本

監督  :細田雅弘

声の出演:野沢雅子

     鶴ひろみ

     堀川りょう

     田中真弓

     皆口裕子

     古川登志夫

     山寺宏一

上映時間:85分

 

劇場版ドラゴンボールと本作の位置付け

漫画『ドラゴンボール』の劇場版は、『ドラゴンボール』、『ドラゴンボールZ』としてTVアニメシリーズが放送されていた頃(1986〜1996年)に17作が公開されました。これらを第1期とすると、それから17年を経て公開された本作は第2期と言えます。つまり本作は第2期の第1作にあたります。


ドラゴンボールの劇場版は、原作との関係性という観点で、3つのタイプに大別されます。


①原作のストーリーを、キャラクターや設定を変えて再構成したもの

(『神龍の伝説』『魔神城の眠り姫』など)

 

②劇場版のオリジナルストーリーで、原作のストーリーとは矛盾が生じるもの

(『超サイヤ人だ孫悟空』、『極限バトル!!三大超サイヤ人』など)

 

③劇場版のオリジナルストーリーで、原作のストーリーと矛盾が生じないもの

(『銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』、『龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる』など)


①②は原作のパラレルワールド、③は原作のストーリーに挿入可能な内容となります(正史と捉えるかどうかは別として)。


本作は③に該当し、原作で悟空が魔人ブウを倒した後のストーリーとなっています。


本作はTVアニメシリーズの『ドラゴンボールZ』の劇場版という位置付けですが、後に『Z』の続編とも言えるTVアニメシリーズ『ドラゴンボール超』の1エピソードとしてリメイクされています。

 

 

解説&感想(ネタバレあり)

前置き

第1期の劇場版作品は、他のアニメの劇場版などと同時上映されており、上映時間は40〜60分程度の中編作品でした。上映形態からして、ターゲットは基本的には子供だったと言えます。

 

翻って本作に始まる第2期は、単独上映の長編作品。原作漫画やTVアニメシリーズをリアルタイムで楽しんできた世代は30〜40代になっているので、メインターゲットも大人であると言えるでしょう。


原作者の鳥山明先生が脚本に関わったこともあり、当然、1本の映画作品としてのクオリティへの期待は高まっていました。しかし残念ながら、本作は第1期と同様、子供向けに作られたようなクオリティに終わっていると、私には見えました。


上述のように、本作は『ドラゴンボール超』としてTVアニメシリーズとしてリメイクされています。『超』は約3年の放送を経て2018年に完結しており、私も(色々とツッコミを入れつつ)最後まで楽しませていただきました。


『ドラゴンボール超』を楽しむ中で、本作での新しいキャラクターや設定、ストーリーについても、次第に受け入れるようになりましたが、本作を見た時点では受け入れ難いことも多々ありました。


前置きが長くなりましたが、ここでは、『ドラゴンボール』ファン、かつ映画ファンとして、愛のある辛口レビューをしたためたいと思います。

 

 

悪かった点

①破壊神の設定

今回、悟空達が闘う敵キャラとして、破壊神ビルスと付き人のウイスが登場します。


この破壊神という存在は、本作で初めて登場します。星や生命を破壊する神として、界王神達もその存在を認めており、彼らはビルスの目覚めにやきもきしています。


ここで疑問なのは、ビルスが界王神達に、なぜ神として敬意を持たれているかということ(界王神達はビルスの居ないところでも「様」付けで呼んでいます)。


ビルスは合理的な理由なく気まぐれで破壊しているように見えます。破壊と殺戮を楽しむバビディと何が違うのでしょうか?


また、原作ファンとしてショックなのは、フリーザによる惑星ベジータの破壊がビルスによって命じられたことになっていること。


原作のフリーザ編で、フリーザにやられて瀕死のベジータが、涙ながらに悟空に想いを伝える名シーンがあります。


「フリーザをたおしてくれ、たのむ…、サイヤ人の…手で…」


これは、フリーザにいいように使われた挙句に、故郷の星を破壊された無念からの台詞です。この場面が、これに続く悟空vsフリーザの闘いを盛り上げます。


しかし、惑星ベジータの破壊がビルスによって命じられたものだとすると、この場面の見え方が少しブレてしまいます。このように原作を破壊するような新設定はやめて欲しいです。


②ビルスのデザイン

今では見慣れてしまいましたが、ビルスのキャラクターデザインもあまり気に入りません。コーニッシュレックスという品種の猫をモチーフにしており、あえてこれまでのキャラクターとは違うデザインにしたとも聞きます。

 

鳥山先生としては、描き飽きたような"鳥山明風"キャラを避けたかったのでしょう。その気持ちも分かりますが、久々のドラゴンボール映画の新キャラクターですから、ファンとしてはやはり"鳥山明風"を求めてしまいます。


③危機感の欠如

本作では、ビルスが地球を破壊すると言い出し、それを防ぐために闘うというのが軸になります。しかしながら、ビルスは冒頭の登場シーンやブルマの誕生パーティーのシーンでコミカルなやりとりを見せているので、敵キャラとしての怖さは中和されてしまっています。

 

必死にビルスの機嫌を取るベジータに対して、悟空は余裕をかましている(実際には余裕はない)のも相まって、手に汗握るような危機感がありません。


④戦闘力のインフレ

『ドラゴンボール』は原作において、常に戦闘力のインフレを繰り返してきました。


ピッコロを倒したら、さらに強いラディッツが現れ、ラディッツを倒したら、さらに強いベジータが現れ、その後もフリーザ、人造人間、セル、魔人ブウといった具合に、敵はどんどん強くなります。それに伴い、悟空はどんどん強くなっていきます。そしてかつての仲間や強敵は、ベジータのような例外を除いて雑魚キャラ化していくのです。


こうしたインフレ自体を否定するつもりはないですが、あまりにもそれが繰り返されると辟易してしまいます。


とりわけ本作においては、スーパーサイヤ人3の悟空でもビルスの手刀一発でやられてしまうという、極端な戦闘力のインフレを冒頭で見せられます。


これでは、他のキャラとビルスの戦闘への興味も薄れてしまいますし、修行や戦い方の工夫で倒せるという期待もなくなってしまいます。結果、「スーパーサイヤ人ゴッド」なる"飛び道具"に頼るしかなくなってしまうのです。

 


⑤スーパーサイヤ人ゴッドの設定

スーパーサイヤ人ゴッドという新設定。これは私が子供の時に出会っていたとしたら、もしかしたらすんなり受け入れられたのかもしれません。ただ、大人になった今、唐突にこのような新設定が出くわすと、極めて幼稚な設定に感じられて興醒めしてしまいます。


しかもその誕生の仕方が、「5つの正しい心を持つサイヤ人が手を携え、もう1つの正しいサイヤ人の心に光注き込む」というのがまた幼稚な設定です。


正しい心のサイヤ人が1人足りない!

 ↓

ビーデルのお腹の中にいる!


これをやりたかっただけでしょうね。


そもそも、地球の神(デンデ)が作り出したに過ぎない神龍が、「スーパーサイヤ人ゴッドの作り方」を知っているのも納得がいきません。

 

さらに不満なのは、悟空が神龍を呼び出すシーンでのクリリンの台詞です。


「そうか!神龍に地球の破壊をやめさせてもらう気か!」


クリリンはそんなことは無理だと知っていると思います!クリリンはそんなこと言わない!


⑥戦闘の結末

本作で、悟空は結局ビルスには敵わず降参して終わります。この結末自体は否定しませんが、映画のクライマックスで描くべきものは不足していると感じます。


ビルスの放ったでかいエネルギー弾をなんか知らんけど消滅させたことと、ビルスが悟空の強さを認めたことが、一応のクライマックスなのでしょうが、ちょっと弱くないでしょうか?


戦い方の工夫や仲間の助けなどによって、少なくともビルスに一泡吹かせる「何か」は必要だったのではないでしょうか?

 

悟空以外のキャラに戦闘での見せ場がほとんどないのは寂しいですね。


⑦エンドロール

本作のエンドロールでは原作漫画がペラペラめくられる映像で名シーンが懐古される形になっています。


久々の劇場版だし、ドラゴンボール好きに受けるだろうと思ったのでしょう。これをやりたい気持ちは分かるし、喜んだ人もいるかもしれません。


でも、本作との直接のつながりはない演出ですよね。これは思いとどまった方が良かったと思います。


あと、時々出てくる大きいコマのチョイスも微妙。特に名シーンではないのが結構混じっている割に、各編での重要なシーンは抜けていることもあります。オリジナルコミックスじゃなくて完全版ベースなのも不満です。


⑧カメオ出演

フジテレビの軽部アナが寿司職人の役で、柔道の金メダリストの松本薫さんが警察官の役で、それぞれカメオ出演しています(いずれも本人に似せた作画)。


この2人がなぜドラゴンボールの映画にカメオ出演するのか謎です。いったい誰を喜ばせるための出演なんでしょう。


一応断っておくと、私は松本薫さんのことは好きです(軽部アナに関しては、特に興味がありません)。

 

 

良かった点

批判ばかりも何なので、最後に良かった点も2点挙げておきます。


①コメディパート

ブルマの誕生パーティーのシーンは笑いどころ満載で結構楽しめました。

 

『ドラゴンボール』初期の敵キャラだったピラフ一味をうまく使っていて、コメディ漫画だった連載初期の空気感を感じられるのが良いですね。子供の頃の悟空にそっくりの悟天の顔を見て恐れおののくシーンなんか傑作でした。

 

グレートサイヤマンになった悟飯が躍動するのも笑えます。弾いた銃弾がビルスに直撃しているのは吹き出してしまいました(笑)


一方で、ベジータを道化役にしてしまったのはあまり好感が持てません。まあ、面白いんですけど、これまでに築き上げたキャラクターは守ってほしいところです。「よくも俺のブルマを!」は狙い過ぎで少し寒いです(笑)


②戦闘シーン

作品全体に結構CGが使われていて、違和感を覚えるシーンも少なくなかったですが、戦闘シーンの背景にCGを用いているのはなかなか気に入りました。


それまでのアニメとは違う見せ方で、迫力ある戦闘シーンになっていたと思います。この点に関しては、この時代にまたドラゴンボールの劇場版をやる意味が感じられました。

 

 

最後に

今回は、映画『ドラゴンボールZ 神と神』の解説&感想でした。

 

『ドラゴンボール』ファン、かつ映画ファンだからこそ、気になってしまう点は多く、辛口レビューになってしまいました。ただ、上でも述べたように、『ドラゴンボール超』を通じて、設定面に関しては今では受け入れています。

 

劇場版の第2期としては、本作の後、『復活のF』、『ブロリー 』、『スーパーヒーロー』と続きます。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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