どうも、たきじです。
今回は映画『鳥』の解説&感想です。
1963年公開のアメリカ映画で、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作の一つ。個人的には彼の作品の中では特別好きな作品ではないですが、ヒッチコック演出の素晴らしさは如実に表れた作品だと思います。
作品情報
タイトル:鳥
原題 :The Birds
製作年 :1963年
製作国 :アメリカ
監督 :アルフレッド・ヒッチコック
出演 :ロッド・テイラー
ジェシカ・タンディ
スザンヌ・プレシェット
ティッピ・ヘドレン
上映時間:119分
解説&感想(ネタバレあり)
大したストーリーはなく、明確なオチはない。されど、ヒッチコック監督による一流のサスペンス演出が終始観客を引っ張り、見終わった後に十分な満足感が得られる作品になっています。
まず、序盤から鳥達の奇妙な行動を少しずつ見せて不安を煽る演出が見事。鳥達がやけに群れていたり、餌を食べなくなったり、ドアに当たって死んでいたり。これがなんとも言えない不気味な雰囲気を醸し出し、後半に向けて観客の期待を高めていきます。
そして、鳥が人を襲い始めてからの恐怖演出。
その究極は、ジャングルジムにカラスが群れるシーンでしょう。
ベンチに腰掛けてタバコを吸うメラニーの後ろのジャングルジムに、1羽のカラスが止まります。次のカットでは4羽、次は5羽と、カットの度にカラスが増えていきます。
そしてメラニーが空を飛ぶカラスに気付き、そのカラスを目で追うと、カラスはジャングルジムに止まります。そこには数え切れないほどのカラスが止まっており、メラニーは驚愕する、というシーンです。
4羽、5羽と増えていく段階では、観客だけがカラスに気付いており、「メラニー、後ろ!」と、観客をやきもきさせます。そして、メラニーがカラスを目で追う段階では、メラニーの驚きを観客にも同時に体験させます。このシーンを初めて見た時は、メラニーより私の方が驚いていたと思います(笑)
本作はBGMを使わず、鳥の鳴き声と羽音の効果音だけで恐怖を演出しているところもすごいところですが、このシーンでは反対に、鳥達は音を潜め、子供達の合唱だけが響き渡っています。これがまたなんとも不気味な雰囲気を高めています。
食堂の外で鳥達が人々を襲うシーンも見どころ。マッチの火がガソリンに引火して車が爆発するあたりからの一連のパニック描写は圧巻です。
地上のパニックを俯瞰するカモメの群れ。電話ボックスに閉じ込められるメラニー。鳥に襲われクラッシュする車。乗り手を失い暴走する馬車。助けを求める血まみれの男。ガラスを破ってメラニーを襲わんとするカモメ。この畳み掛けの凄まじいこと!
本作で、なぜ鳥達が人間を襲うのかは描かれません。鳥達が人間を襲う理由は、一種のマクガフィンのようなもので、本作においてはどうでもいいこと。鳥達が人間を襲う恐怖を描くことが本作の主題ということです。むしろ理由が分からないからこそ恐怖が増幅する面もあるかもしれませんね。
ところで、本作の鳥の群れは、調教された鳥、模型、合成、アニメーションなど、当時の技術を駆使して撮られているそうです。もちろん現代の技術には大きく見劣りしますが、1963年当時に、ここまでのものが撮れたことには感嘆します。
最後に
今回は映画『鳥』の解説&感想でした。
ヒッチコック演出の素晴らしさを堪能できる、サスペンス映画の名作。サスペンス好きなら一度は見ることをお勧めしたい作品です。
なお、ヒッチコック作品では、必ずと言っていいほどヒッチコック監督がカメオ出演します。本作では、冒頭にペットショップから2匹の犬を連れて出てくるヒッチコックを見ることができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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