どうも、たきじです。
今回はNHK大河ドラマ『どうする家康』の感想です。
作品情報
タイトル:どうする家康
製作国 :日本
放送期間:2023年1月8日〜2023年12月17日
放送時間:45分
回数 :48回
脚本 :古沢良太
出演 :松本潤
有村架純
大森南朋
山田裕貴
杉野遥亮
板垣李光人
音尾琢真
松重豊
広瀬アリス
松本若菜
松山ケンイチ
山田孝之
北川景子
岡田准一
ムロツヨシ
阿部寛
眞栄田郷敦
野村萬斎
中村七之助
松嶋菜々子
森崎ウィン
寺島しのぶ
感想(ネタバレあり)
本作は何を描きたかったのか?
戦国時代を舞台にした大河ドラマというと、ここ最近だと真田信繁(幸村)を描いた『真田丸』(2016年)や明智光秀を描いた『麒麟がくる』(2020年)が記憶に新しいところ。真田信繁は、最後の最後に大坂の陣で活躍するまでは、歴史の表舞台には出てきませんし、明智光秀も織田家臣として頭角を表すまでは同様です。両者は史料が残っていない"余白"の部分が多い分、物語の自由度は高くなります。
一方、本作の徳川家康の場合は、岡崎城主の嫡男として生まれ、最終的には天下を平定するわけで、その史料は膨大。物語の自由度は自ずと低くなります。一方で、情報量が多過ぎるが故に、どこにフォーカスして描くか、その取捨選択には自由度があると言えます。家康が経験した数々の戦にフォーカスすることもできれば、側室を含む約20人の妻や16人の子との関係にフォーカスすることもできます。
家康が生まれた岡崎城跡に建つ復興天守(2015年3月撮影)
では、本作は何を描いたか?本作のタイトルは『どうする家康』。最初は弱虫で未熟だった家康(松本潤)が、優秀な家臣達に支えられ、数々の修羅場をくぐり抜けながら成長する様を描く——。一応、そういう体を成してはいます。しかし、それは中盤まで。終盤になり古くからの家臣達が徐々に世を去っていくに従い、家康は落ち着き払った有能な主君に変貌します。"成長物語"という体裁はなくなり、終盤は惰性で歴史をなぞっているだけのように感じられました。
もちろん、周りの家臣が世代交代し、家康が最も経験豊富な立場になるのは理解できます。しかしながら、終盤でももっと悩める存在として描くことはできたはずです。秀吉(ムロツヨシ)の死後から三成(中村七之助)が隠居するまでの過程とか、関ヶ原の戦いに至るまでの過程とか、関ヶ原の戦いでの調略とか、大坂の陣に至るまでの過程とか、「どうする?」の恰好の描きどころだと思うのですが、家康の迷いや感情は一切見えてきません。
家康がここまで成熟する過程がもっと描き込めていればまだ良かったのでしょうが、それも物足りず。ある時から急に偉そうになったように感じられました(笑)。"白兎"が"狸"になる過程をもっと見たかったし、家康の狸たるところももっと見たかったです。
家康が1570〜1586年に本拠とした浜松城跡に建つ模擬天守(2012年9月撮影)
また、上記の関ヶ原の戦いや大坂の陣あたりは歴史劇としてシンプルに面白いところなので、そういう意味でももっとじっくり見たかったところです。序盤で、お葉(北香那)とかお万(松井玲奈)とか、どうでもいい側室のエピソードにそれぞれ1話ずつ使ってダラダラ描くくらいならこっちに時間を割いて欲しかったです。
側室に時間を割くのだとしても、お葉やお万よりもよほど重要人物である阿茶(松本若菜)をもっと丁寧に描くべきではないでしょうか。阿茶は物語に突然登場してきて、いきなりでかい顔しているのにすごく違和感があって(笑)。
家康が江戸移封前と晩年に暮らした駿府城跡(2012年9月撮影)
致命的なのは瀬名の描き方
さて、上述の通り、家康には史料の"余白"が少ない分、物語の自由度は低くなるわけですが、そんな中で本作がオリジナリティを発揮したのは家康の正室である瀬名(有村架純)の扱いでしょう。築山殿として知られる瀬名は徳川の敵である武田と通じた疑いなどにより処刑された人物。彼女が処刑された理由や経緯には諸説あり、ここはある程度自由に物語を描ける部分ではあります。
しかし、本作のそれはあまりにトンデモ過ぎて私には受け入れられませんでした。瀬名は、武力によって奪い合うのではなく助け合う大きな国を作る、という構想を描きます。そして秘密裏に武田氏や今川氏など東国の大名らを取り込み、やがては家康までもそれに乗っかるというのです。それが武田氏の裏切りによって信長(岡田准一)の耳に入り、瀬名は処刑に至ります。
あまりに甘っちょろくて能天気な瀬名の構想に、様々な大名が賛同するという展開。これには開いた口が塞がりませんでした。史実(一般的な学説)を知らない人でも、これには違和感を覚えるのではないでしょうか。
1590年の江戸移封後に家康が本拠とした江戸城の天守台(2018年11月撮影)
しかもこの流れによる瀬名の死が、それ以降のドラマの根底にあり続け、ことあるごとに回想が入ります。挙げ句の果てには、石川数正(松重豊)の出奔にまで絡んできて、もううんざりでした。
最終回でも、家康の夢か幻のような形で瀬名が登場。懐かしい家臣達が勢揃いする長い回想を挟んでダラダラと描かれるエピローグは、何とも締まりのないものになっていました。
家康を神として祀る日光東照宮の陽明門(2012年11月撮影)
最後に
今回はNHK大河ドラマ『どうする家康』の感想でした。日本の歴史上の人物の中でも最も有名な人物の1人である徳川家康を題材としながら、ちょっと残念な作品でした。
大抵の大河ドラマには、脚本と演技が化学反応を起こしたような記憶に残る名シーンというのがいくつかあるものですが、本作ではそれが思いつきません。役者の演技に関して、個人を否定することは差し控えますが、全体としてあまりレベルの高いものではなかったというのが正直なところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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