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映画『リバティ・バランスを射った男』解説&感想 ドラマ性の深い西部劇

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『リバティ・バランスを射った男』の解説&感想です。巨匠ジョン・フォードが監督し、ジョン・ウェインとジェームズ・ステュアートが共演した西部劇です。

 

 

作品情報

タイトル:リバティ・バランスを射った男

原題  :The Man Who Shot Liberty Valance

製作年 :1962年

製作国 :アメリカ

監督  :ジョン・フォード

出演  :ジョン・ウェイン

     ジェームズ・ステュアート

     ヴェラ・マイルズ

     リー・マーヴィン

 上映時間:123分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ドラマ性の深い西部劇

西部劇は映画黎明期の19世紀末から存在した人気ジャンルで、もともとは勧善懲悪の分かりやすい物語が主流でした。保安官がならず者をやっつける、騎兵隊が先住民をやっつける、といった具合に、強い正義のヒーローが悪者をやっつける単純明快なストーリーです。


それが、1940年代頃から見直され、複雑なドラマ性を持った西部劇が作られるようになっていきました。本作もその種の西部劇の一つに数えられるわけですが、それらの中でも、本作は特にドラマ性の深い西部劇と言えるでしょう。数々の西部劇を撮ったジョン・フォード監督作品の中でも、個人的に一番好きな作品だったりします。

 


従来の西部劇にない主人公

本作の面白いところは、従来型の西部劇の主人公とは一線を画す"文化系男"ランス(ジェームズ・ステュアート)を主人公に据え、そこにいかにも従来型の西部劇のヒーローのようなトム(ジョン・ウェイン)を絡めて、二人を軸に物語を展開させている点にあります。


ランスは、西部にやってきた若き弁護士。彼は、西部に来て早々、ならず者のリバティ・バランス(リー・マーヴィン)に襲われ、金品を奪われてしまいます。さらに、その後もリバティに因縁をつけられます。それでも、銃がものをいう西部で、法と秩序を掲げて抗おうとします。


教育や選挙によって状況を改善しようとするランスですが、密かに銃の練習をしています。無秩序な西部で暴力を振りかざす相手に対しては銃を用いるしかない。理想を求め続けたランスも、現実を直視せざるを得ないのです。


そして彼は、リバティに決闘を挑むことになります。主人公がエプロン姿で悪者との決闘に挑む西部劇を私は他に知りません。

 


従来型の西部劇の終焉

そして、そこに絡んでくるのがトム。粗暴に見えますが優しさがあり、腕っぷしも強い男です。

 

ランスとリバティの決闘で、トムはランスを守って、誰にも気づかれないようにリバティを射ちます。それは言ってしまえば騙し討ちのような形です。

 

また、彼は結婚も考えていたハリー(ヴェラ・マイルズ)のランスへの気持ちを察して身を引き、やがて一人で死んでいくのです。


このようなトムの描写は、従来型の西部劇の終焉を象徴するような描写にも見えます。トムの死に姿を決して映さなかったのは、過去の西部劇に対するせめてもの敬意でしょうか。


このように本作は、ランスとトムという2人のキャラクターを絡めることで、素晴らしい物語を構成しています。が、考えてみれば、ランスはいつも通りのジェームズ・ステュアート、トムはいつも通りのジョン・ウェインのキャラクター。その2人が交わるだけで、これほどのドラマになるのがすごいところです。

 


人々の求めるヒーロー像

最後に全ての真実を知った新聞記者はメモを破り捨てて言います。


「ここは西部。伝説は事実となり、その伝説を記事にする」


ランスに至れり尽くせりの車掌は言います。


「あなたはリバティ・バランスを射った男ですから」


やはり人々が求めるのはそうしたヒーロー像だという皮肉。ある意味で、達観して西部劇を描いていると言えます。


後にクリント・イーストウッドが撮った『許されざる者』。同作は、暴力が美化されがちな西部劇というジャンルを借りて、暴力の汚さや英雄伝の虚構を描きました。こちらも大好きな作品ですが、『許されざる者』より30年前に本作のような作品が撮られていたことは、私にとってちょっとした驚きでもありました。

 

最後に

今回は映画『リバティ・バランスを射った男』の解説&感想でした。非常にドラマ性が深く、見応えがありますので、未見の方には是非おすすめしたい作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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