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映画『となりのトトロ』解説&感想 子供達の感情描写のドラマ

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どうも、たきじです。

 

今回は、映画『となりのトトロ』の解説&感想です。スタジオジブリ設立後の宮崎駿監督作品としては、『天空の城ラピュタ』に続く2作目となります。

 

その他の宮崎駿監督作品の解説&感想はこちらから(各作品へのリンクあり)

作品情報

タイトル:となりのトトロ

製作年 :1988年

製作国 :日本

監督  :宮崎駿

声の出演:日髙のり子

     坂本千夏

     糸井重里

     島本須美

     北林谷栄

     高木均

上映時間:86分

解説&感想(ネタバレあり)

シンプルな筋書きと感情描写

私は子供の頃、本作を録画したビデオを何度も何度も繰り返し見ていたので、本作の音楽や台詞の一つ一つが体に染み付いています。80〜90年代生まれの人は、私と同じような人は少なくないのではないでしょうか。程度の差はあれ、多くの人にとって馴染み深い作品であることは間違いないでしょう。


大人になって久しぶりの鑑賞で、懐かしい気持ちで見ていたのですが、改めて鑑賞して感じるのは、本当にクオリティの高い作品だということです。


筋書きは至ってシンプルです。父親(糸井重里)と共に田舎の新居に引っ越してきたサツキ(日髙のり子)とメイ(坂本千夏)。2人は森に住むトトロという生き物に出会います。2人の母親(島本須美)は病気で入院中。週末に一時退院予定でしたが、風邪で退院できなくなります。メイは病院まで1人で会いに行こうとしますが迷子になってしまいます。サツキは必死にメイを探し、やがてトトロの力を借りてメイを見つけます。言ってしまえばそれだけの話です。


このシンプルな筋書きの物語において、本作はサツキやメイの感情をじっくり描き込んだ"感情描写のドラマ"であると言えます。それ故に、映画を観る我々は、サツキやメイに自然と感情移入し、物語にすっと入り込めるようになっています。子供ならなおさらでしょう。

 


子供目線で感情移入

例えば映画冒頭、サツキ達が新居を訪れるシークエンス。これから住もうとしているボロ屋を見てお化け屋敷みたいだと盛り上がるサツキとメイ。大はしゃぎして、サツキは倒立前転までしています。裏口のドアを開けるとまっくろくろすけとのファーストコンタクト。ぞっとしつつも、肩を怒らせて入室するサツキとメイ。2階の階段を探し、真っ暗な階段を恐る恐る上がり、2階の闇を駆け抜けて大急ぎで窓を開けます。


新居の探索を子供目線でわくわくするシークエンスに仕上げていますが、このシークエンスもちょっとした仕草や台詞によりサツキとメイの人物を描き込んでいます。なおかつ、それが子供らしい情感に満ちているものですから、子供目線ですっかり感情移入してしまうのです。


感情がストーリーを動かす

また、物語終盤には、母親の退院が中止になるという物語の転換点があります。落ち込むサツキとメイ。嫌だ嫌だと泣き出すメイに怒りを露わにするサツキ。そんなサツキもまた、母の死を意識して、お婆ちゃんの前で泣き出してしまいます。小学生にしてはあまりにしっかり者のサツキが見せる動揺、感情の起伏が描写されます。


そして、遠くからそれを目にしたメイは、決意したような顔で、とうもろこしを抱えて母親のいる病院を目指します。サツキにとっては母親を失う不安に加えて、妹を失う不安が重なり、その不安が彼女を突き動かします(夕暮れ時という時間設定もまたその不安を煽ります)。


このように、物語のクライマックスにかけては、サツキとメイの感情の変化が、彼女たちを行動させ、それによってストーリーを展開させています。これも本作が感情描写のドラマであると感じさせる要因の一つでしょう。


ところで、サツキやメイ、それにカンタも含めて子供達の感情描写が丁寧な一方で、大人達はあまり感情の変化が描かれません。もちろん、子供達が本作の主役なので当然ではありますが、2人のお父さんなんか特に何を考えているのかよく分からない感じがしますよね(笑)。結果として、子供達の感情描写がより際立っている印象もあります。お父さんの台詞回しがやや棒読み調なのも狙ってたりして(笑)

 


掻き立てられるノスタルジー

そんな風に、本作は子供に感情移入させる作品なので、大人にとっては随分とノスタルジーを掻き立てられる作品になっています。トトロやネコバスといった"異世界"との接触は、多くの人が子供の頃に持っていた、未知の世界への冒険心を思い起こされますね。

 

私も幼い頃によく近所の山の中を探索していましたが、ある時、レンゲの花が咲き誇る小さな野原に出たことがあります。周りを山の木々に囲まれた、ほんの小さな野原でしたが、秘密の場所を見つけたような気持ちになってわくわくしたものです。しかし、その後二度とその場所に行くことはできませんでした。


これは単に私が道を忘れてしまっただけかもしれません。しかし、メイがトトロのいる場所に辿り着けなくなるシーンの感覚は、当時の私の感覚に極めて近く、ものすごく懐かしい気持ちになります。


そもそも、私なんかは田舎育ちなので、本作の舞台となっている自然あふれる集落の描写には、それだけでノスタルジーを掻き立てられます。もっと言えば、本作は幼い頃に繰り返し見た作品なので、作品自体にノスタルジーを掻き立てられる面もありますね。


久石譲の音楽があまりに素晴らしいものですから、余計にです。音楽は昔の記憶を蘇らせる効果がありますよね。音楽を聴くだけであの日に戻れる、私にとって本作はそんな作品です。

 

最後に

今回は映画『となりのトトロ』の解説&感想でした。サツキやメイの感情をしっかりと描き込んだ感情描写のドラマ。子供に感情移入させ、ノスタルジーを掻き立てる、素晴らしい作品です。


ちなみに本作、2022年10月にはロンドンで舞台化されています。エグゼクティブ・プロデューサーを務めるのは映画で作曲を務めた久石譲。こちらも大変評判がよろしいようです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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