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映画『崖の上のポニョ』感想 見どころはあるがストーリー構成には疑問

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どうも、たきじです。

 

今回は、スタジオジブリのアニメ映画『崖の上のポニョ』の感想です。スタジオジブリ設立後の宮崎駿監督作品としては、『ハウルの動く城』に続く8作目となります。

 

その他の宮崎駿監督作品の解説&感想はこちらから(各作品へのリンクあり)

作品情報

タイトル:崖の上のポニョ

製作年 :2008年

製作国 :日本

監督  :宮崎駿

声の出演:奈良柚莉愛

     土井洋輝

     山口智子

     長嶋一茂

     所ジョージ

     天海祐希

上映時間:101分

 

感想(ネタバレあり)

魚の女の子のポニョ(奈良柚莉愛)は、自分を可愛がってくれた保育園児の宗介(土井洋輝)のことを好きになり、人間になることを望む。宗介に受け入れられればポニョは人間になれるが、そうでなければ泡となってしまう——


ストーリーの核となるこのあたりの設定は、アンデルセンの童話『人魚姫』がモチーフでしょう。ただ、物語におけるこの設定による効果は、大きく異なっています。


『人魚姫』は、人間の王子に恋心を抱いた人魚姫の物語。声を失った人魚姫が王子に思いを告げられなかったり、王子が誤解によって別の女性を選んでしまったりといったもどかしい展開と上記の設定が相まって、切ないロマンスを演出します。


一方で、本作では、ポニョと宗介は最初から相思相愛。最後に宗介がポニョを受け入れる意思を示すことで、ポニョは完全に人間になるわけですが、宗介に葛藤は一切ありません。宗介は「これから先もずっとポニョを愛し続ける」というような重大な決断をしたわけではなく、子供の純粋な考えとしてポニョが好きだよと言ったに過ぎません。最後のキスもポニョの方からしてますしね。


少なくとも私にはそう見えたので、本作の一応のクライマックスであるこのシーンにはなんのカタルシスも生まれませんでした。結果、なんの山場もなく終わってしまったなというのが正直な感想です。

 


ポニョが世界に大穴を開けてしまったから世界が破滅するとか、それならポニョを人間にしてしまえばいいとか、その辺の設定がそもそもよく分かりませんでしたね。まあ、そういうものなのだと受け入れましたし、設定をすべて詳細に説明することが必須とは思わないですが、映画に深く入り込むためにはある程度観客に理解させることは必要でしょう。


宗介とポニョを置いてひまわりの家に向かった宗介の母親リサ(山口智子)が、終盤ではポニョの母親グランマンマーレ(天海祐希)と一緒にいるわけですが、その辺の経緯がいっさい説明されないのも不満が残ります。


それから、宗介が母親であるリサのことを名前で呼び捨てにするのはどうでしょう?この設定必要ですかね?リサという女は、夫の耕一(長嶋一茂)が帰って来れなくなったら不貞腐れて食事を作るのをやめてしまったり、幼い我が子を乗せているのに乱暴な運転をしたりと、あまり母性を感じさせないキャラクターに描かれています(母性の強いグランマンマーレとの対比?)。


この"名前呼び"もリサから母性を排除する一環でしょうか?だとしても、これはさすがにやり過ぎでは?観客に余計な混乱を招くだけで、このデメリットを補うほどの効果は感じません。


本作は、全体的に説明不足で分かりにくいところが多くて、ストーリー構成もぎこちなく感じられました。宮崎駿監督のことですから、何か意図があってのことかと勘繰りもしてしまいますが、凡人の私には理解できませんね(笑)


映画全体を通して、作品として仕上げること(観客を楽しませたり感動させたり)よりも、監督が描きたいことを描きたいように描くことを重視したように見え、少し独りよがりにも感じられました。まあ、芸術家とは本来それでいいのかもしれませんけどね。

 


と、ここまで悪いことばかり書きましたが、見どころもたくさんありました。


CGアニメが主流の中で、手書きのアニメーションらしい素朴で温かみのある表現にはほっとさせられます。私はCGアニメ自体は全く否定的に見ていませんが、やはり手書きには手書きの良さがあるなと思わされます。


また、津波のシーンの表現はスペクタクルなシーンに仕上がっています。ポニョの妹達による"魚の波"の上を走るポニョの躍動感が素晴らしいですね。見ようによっては、色んな意味でホラー過ぎるシーンですけどね。


それから、"沈んだ町"の表現には目を引かれました。山の道の上をデボン紀の魚が泳ぐのを船から覗き込むシーンなんかは素晴らしい構図です。


舞台となる海辺の町の描き込みも素晴らしいですね。町全体の地形、崖の上の家やひまわりの家の立地。それに、船の陸揚げで道路が通行止めになる様子や、宗介と耕一がモールス信号で交信する様子など、この町での日常生活が見えてくるような描写。こうした描き込みによって、序盤からスムーズに映画に引き込まれ、町や人物に親しみを持って映画を見ることができました。

 

最後に

今回は映画『崖の上のポニョ』の感想でした。見どころはそれなりにあるものの、ストーリー構成には疑問を感じてしまう作品でした。宮崎駿監督作品としては、ある意味で私にとって最も理解しがたい作品と言えるかもしれません。

 

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