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映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』解説&感想 モキュメンタリーで描かれたモンスターパニック映画

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どうも、たきじです。

 

今回は2008年のアメリカ映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』の解説&感想です。J・J・エイブラムスが製作を務め、モキュメンタリーでモンスターパニック映画を描くという試みが当時話題となった作品です。

 

 

 

作品情報

タイトル:クローバーフィールド/HAKAISHA

原題  :Cloverfield

製作年 :2008年

製作国 :アメリカ

監督  :マット・リーヴス

出演  :マイケル・スタール=デヴィッド
     マイク・ヴォーゲル
     オデット・ユーストマン
     リジー・キャプラン
     ジェシカ・ルーカス
     T・J・ミラー

 上映時間:85分

 

解説&感想(ネタバレあり)

モキュメンタリーで描かれたモンスターパニック映画

ニューヨークに突如現れた巨大モンスターによって、街は破壊され、人々が襲われていく、本作はそんなモンスターパニック映画です。ニューヨークを舞台に巨大モンスターが暴れ回るという題材は、『キング・コング』(1933年)やローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』(1998年)など、本作以前にも描かれてきました。


そんな中で、本作が過去の作品と異なるのが、モキュメンタリーという手法で撮られているということです。モキュメンタリーというのは、フィクションをドキュメンタリー形式で描いたもの。本作の場合は、撮影者が遺したビデオテープを国防総省が保有しているという設定で、そのビデオテープの内容が映画になっています。このような映画は"ファウンド・フッテージ"と呼ばれることもあります。


本作のタイトルの"クローバーフィールド"は、国防総省が保有するこのビデオテープに残された事件目撃記録のコード名。日本語のタイトルには"HAKAISHA"という副題が付けられています。配給会社が付けがちな不要な副題だな、と思ったら、これはJ・J・エイブラムスの指示で付けられたとか。

 


ゴジラからの着想とメタファー

J・J・エイブラムスはゴジラから本作の着想を得たと語っています。エンディングに流れるマイケル・ジアッチーノによる音楽は明らかにゴジラのテーマを意識していますよね。ロブが日本に赴任するという設定も、日本に対するサービス精神でしょうか?


1954年の第一作の『ゴジラ』では、ゴジラが核兵器のメタファーとして描かれ、2016年の『シン・ゴジラ』では、ゴジラが自然災害のメタファーとして描かれていました。同様に考えれば、本作のモンスターは、テロ攻撃のメタファーと見ることができるかもしれません。


本作の公開当時も含め、00年代は、アメリカのイデオロギーや対外政策がイスラム過激派を刺激し、2001年の同時多発テロを筆頭に、テロが頻繁していた時代。本作は、そうした社会情勢の中で、巨大モンスターに襲撃され逃げ惑う人々を生々しく描いており、時代背景とマッチした作品といえます。

 


ハンディカム撮影による臨場感

さて、上述のように本作は、ハンディカム撮影によるモキュメンタリーという手法で撮られているわけですが、本作の公開当時の映画ファンなら、誰しも『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出したことでしょう。1999年公開の同作は、モキュメンタリーを再評価させるきっかけとなったホラー映画でした。そして2008年公開の本作は、その手法をモンスターパニック映画に応用したわけです。


ニューヨークを舞台にしたモンスターパニックも、ハンディカム撮影によるモキュメンタリー形式のスリラーも、それ自体は新しいものではないにもかかわらず、それらを組み合わせることで全く新しい映画を生み出したという点は、本作の賞賛すべき点と言えるでしょう。


主人公の主観で物語を展開させたパニック映画というとスティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』なんかも同様ですが、本作の場合は映像も完全に主観の映像なので、臨場感という点では同作に負けないでしょう。まるでその場にいるような感覚で、アトラクション的に映画を楽しむことができます。


臨場感という点だけに特化しようと思えば、例えば『トゥモローワールド』や『1917 命をかけた伝令』のようなワンカットの長回しでアクションを見せるのが究極形。ただ、本作はモキュメンタリーという特性上、ある程度カットを挟むのは致し方ないですね。

 


映像の上書きによる効果

本作は、ロブが撮影したベスとのデートの映像に上書きされた映像という設定なので、撮影者のハッドが録画を止めたタイミングなどで、時々デートの映像がぶつ切りで挿入されます。ほんの1ヶ月前の平和なデートの様子が、現在の絶望的な状況を際立たせていますね。


ラストシーンも、2人のデートの映像で締めくくられます。空爆によってロブとベスがカメラもろとも瓦礫に埋もれ壮絶な最期を遂げた直後に流れる2人の幸せそうな映像。何とも切ないラストシーンです。


このシーンでロブが映す海の映像に、水平線に空から何が落ちる様子が映っています(おそらくは1ヶ月後に暴れ回ることになるモンスターと思われる)。これは公開時に映画館の大きなスクリーンで観た時にも全く気づきませんでしたね。気づいた人いるのかな?

 


少し難点を挙げるなら…

さて、総じて素晴らしかった本作ですが、少し難点を挙げるとすれば、あの小さいモンスターは出さずに巨大モンスターだけに絞って欲しかったかな。一市民を主人公にする都合上、巨大モンスターだけではストーリー展開が難しいのは分かりますけどね。

 

そう言えばエメリッヒ監督の『GODZILLA』でも、子供のゴジラを登場させていましたね。どうしてもこうなってしまうか…。

 

最後に

今回は映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』の解説&感想でした。ハンディカムを用いたモキュメンタリーで描かれた、臨場感あふれるモンスターパニック映画でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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