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映画『イエスタデイ』解説&感想 ビートルズの存在しない世界を描くファンタジー

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どうも、たきじです。

 

今回は2019年公開の英米合作映画『イエスタデイ』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:イエスタデイ

原題  :Yesterday

製作年 :2019年

製作国 :イギリス、アメリカ

監督  :ダニー・ボイル

出演  :ヒメーシュ・パテル
     リリー・ジェームズ
     ケイト・マッキノン
     エド・シーラン

上映時間:116分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ビートルズ(The Beatles)といえば、20世紀を代表するロックバンド。現在私達が耳にする音楽のほとんどが何らかの形でビートルズの影響を受けていると言っても過言ではないほどに、彼らが後のポップスやロックに与えた影響は計り知れません。


音楽好きとしてビートルズは避けて通れないバンド。私はビートルズ世代ではないですが、 16枚組の「ザ・ビートルズ BOX」を購入する程度にはビートルズのファンではあります。


本作は、そんなビートルズが存在しない世界を描いています。本作の主人公は売れないミュージャンのジャック。ある日ジャックは事故に遭い、目覚めるとビートルズが存在しない世界になっています。自分以外の誰もビートルズを知らない——。ジャックは記憶を頼りにビートルズの曲をライブで演奏。やがて、ジャックの(ビートルズの)楽曲は徐々に話題となっていきます。


まずこの設定のアイデアが面白いですよね。ジャックがビートルズの楽曲によって、世界的な注目を集めていく様に見入ってしまいます。あのビートルズの楽曲をリリースするわけですから、注目を集めるのは当然で、その説得力は抜群ですね。


ビートルズの曲がこの時代に大衆に受けるのかという疑問を持つ人もいるかもしれません。ですが、上述の通り、ビートルズは現代の音楽に多大な影響を与えているので、ビートルズがいなければ現在の音楽シーンはまったく別物になっていたことでしょう。そうすると、やはりビートルズの音楽というのはこの時代でも新鮮で斬新なものとして受け入れられたことでしょう。


ただ、それを前提にすれば、オアシス(ビートルズに多大な影響を受けたバンド)が存在しなくなる程度では済まなくて、エド・シーランだって存在しないでしょう。が、これは野暮なツッコミですね。


本人役で出演したエド・シーランは、ジャックを前にして「君はモーツァルト、俺はサリエリだ」と才能の違いを嘆きますが、この役回りでエド・シーランが出演したことは本作に大きな効果を生んでいますね。架空のスターとして描くよりも、大きな説得力を持ってビートルズの楽曲の素晴らしさを引き立てています。

 


また、本作は全編にわたってビートルズの名曲の数々が流れるので、それだけでも退屈のしようがありません。本作を見終わると、ビートルズの楽曲を改めて聴きたくなることは間違いなしです(この辺りは、ビートルズの楽曲で構成されたミュージカル映画『アクロス・ザ・ユニバース』や、数多くのビートルズの楽曲(様々なアーティストによるカバー曲)とともに綴られた映画『アイ・アム・サム』なども同様でした)。


本作のジャックもまた、ビートルズに対するリスペクトが現れているのがいいですね。実質的に盗作という形でビートルズの楽曲をリリースするわけですが、常に後ろめたさを感じており、最後には楽曲を無償公開します。


「レット・イット・ビー」を両親の前で演奏するもきちんと聴いてもらえないシーンでは「人類で初めて聞くんだから」と憤ったり、ビートルズの故郷リヴァプールに足を運んで、楽曲で歌われている舞台を訪れたりといった行動にも、ビートルズへのリスペクトが現れていて好感が持てました(後者には歌詞を探す目的もありますが)。


ジャックのアルバム・タイトルを決めるシーンでビートルズのアルバム・タイトルを候補に挙げるくだりだったり、ジャックがルーフトップ・コンサート(ビートルズがアップルレコードの屋上で行ったレコーディングセッションがモチーフ)を行ったりと、ビートルズを知っているとより楽しめる小ネタも。


中でも私が好きなのは、ジャックが見る悪夢のシーン。ジャックはテレビ番組に出演し、司会者から「君の曲が盗作だと訴える2人が来ている」と告げられます。2人の名はポール・マッカートニーとリンゴ・スター。ビートルズの元メンバーで本作製作時点で存命の2人です。もちろんご本人登場なんてことはなく、ここで目が覚めるわけですが、2人の足元だけが画面に映ります。


ここで注目なのは1人は裸足であること。これはビートルズの12枚目のアルバム『アビイ・ロード』(Abbey Road)のジャケット写真がモチーフでしょう。この世界一有名なジャケット写真で、ポールが裸足なのは有名です。

 


さて、ここまで、好意的なことばかり書いてきましたが、本作が大満足の作品だったかというとそうではありません。なんせ、この面白い設定のアイデアに、監督ダニー・ボイル、脚本リチャード・カーティスとくれば、どうしても期待は高まってしまいます。が、意外にもそこから期待される程のクオリティには感じられませんでした。


個人的に1番の不満は、ロマンスを中心に据えて描いているところ。このロマンスは本作において大した見どころになっていないと思うのです。それよりももっとビートルズネタを掘り下げて欲しかったところです。


また、設定も曖昧で、時にご都合主義のようにも感じられました。なぜビートルズの存在が消えて、ジャックだけがその記憶を持っているか、というのは本作の前提となる設定なので、まあそういうものだと受け入れられます。しかし、中盤でジャックの他にもビートルズを知っている人がいるとなると、やはり「なんで?」と疑問を抱いてしまいます。


それに、彼らが絡んでくることで、どうストーリーが展開が広がっていくのか期待して見ていたのに、単に「応援するよ」で終わってしまったので拍子抜けしてしまいました。


また、ビートルズの他にも存在しなくなっているものがあるのも設定がかなり曖昧。ビートルズから直接的に多大な影響を受けたオアシスが存在しないのはいいとしても、コカ・コーラ、タバコ、ハリー・ポッターが存在しないのはなぜなのか?ストーリーが進めば何かしらの理由付けがされるものと期待していたのに、特に明示されずとても残念でした。「ネット検索したら全く関係ないものがヒットする」という小ネタにしかなっていないですからね。もったいないな。

 

最後に

今回は映画『イエスタデイ』の解説&感想でした。素晴らしい設定のアイデアと、ビートルズの楽曲によって、楽しい映画になっていることは間違いありません。一方で、豪華な製作陣から期待されるほどのクオリティではなかったのが惜しいところでした。


ただ、これだけは確か。

 

ビートルズ最高!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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