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映画『お熱いのがお好き』解説&感想 アメリカ映画史上最高のコメディ

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『お熱いのがお好き』の解説&感想です。

 

ビリー・ワイルダーが監督し、トニー・カーティス、ジャック・レモン、マリリン・モンローが共演した作品。今となっては少し古くなりましたが、AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が2000年に選出したアメリカ喜劇映画ベスト100では1位に選出されるなど、アメリカ映画を代表するコメディ映画です。

 

作品情報

タイトル:お熱いのがお好き

原題  :Some Like It Hot

製作年 :1959年

製作国 :アメリカ

監督  :ビリー・ワイルダー

出演  :トニー・カーティス

     ジャック・レモン

     マリリン・モンロー

     ジョージ・ラフト

     ジョー・E・ブラウン

 上映時間:120分

 

解説&感想(ネタバレあり)

本気のビリー・ワイルダー演出

夜の市街を走る霊柩車の中で、神妙な面持ちで棺桶を囲う男達。やがて霊柩車を追いかけてパトカーが現れ、霊柩車との間で銃撃を伴うカーチェイスが始まる。なんとかパトカーを撒いた霊柩車の中で、銃弾を受け棺桶に開いた穴から漏れる液体。男が棺桶を開くと、ぎっしり詰まった酒瓶が現れる。そして画面に現れる字幕、"Chicago, 1929"。


これが本作のオープニングです。


禁酒法時代のシカゴを舞台に、葬儀屋を隠れ蓑にして酒場を営むマフィア。これを最高に格好よく、さらりと描いています。


ビリー・ワイルダー監督は、『サンセット大通り』や『七年目の浮気』のように、主人公のモノローグが印象的な作品も多いです。本作では反対に、この台詞なしの一連のシーンで、映画の背景を無駄なく説明しています。


なんと素晴らしいオープニングでしょう!男2人が女装してマフィアから逃げるというコテコテのコメディ映画で、こんな本気の演出やります?やっちゃうのがワイルダーなんです。


他にも、小道具を印象付ける演出も注目ポイント。本作と同じビリー・ワイルダー×ジャック・レモンの『アパートの鍵貸します』も小道具の使い方がとても印象深い作品ですが、本作もなかなか。


シュガー(マリリン・モンロー)が隠し持ったウィスキー、ジョー(トニー・カーティス)が変装に使うメガネ、銃弾で穴が空いたジェリー(ジャック・レモン)のベース、オズグッド(ジョー・E・ブラウン)からジェリーとジョーを経てシュガーへと渡るダイヤのブレスレットなど、ストーリー上で意味を持った小道具が満載です。


特に印象深いのは、マフィアのスパッツ・コロンボ(ジョージ・ラフト)が着用しているスパッツ(ややこしいので人名の方は以後コロンボとします)。ここで言うスパッツは日本で言うスパッツではなく、足の甲から足首の上にかけてを覆う、いわゆる脚絆(ゲートル)のことです。


終盤、ジョーとジェリーが机の下に隠れるシーンでは、机の下から見えたスパッツを見て、コロンボがそこにいることに気付きます。このシーンの為に、序盤からコロンボのスパッツを観客にしっかり印象付けています。


コロンボの初登場シーンで酔っ払いに酒をこぼされてスパッツを汚されるのを皮切りに、その後の登場シーンではコロンボは必ず足元からフレームインします。さらには手下にスパッツのボタンを止めさせるシーンまであります。


こうしたシーンが、コロンボをオシャレにこだわる男としてキャラ付けすると同時に、上に挙げたシーンへの伏線になっているのですから、演出が細かいですね。

 

 

コメディとして完璧なプロット

さて、上にも述べたように、本作はワイルダーによってキレキレの演出がなされていますが、内容はコテコテのコメディです。よく練られたプロットは、コメディとして完璧に仕上がったものと言えます。


サックス奏者のジョーとベース奏者のジェリーは、コロンボ一味による殺人現場を目撃してしまったことから、彼らに命を狙われます。そこで2人は女装して、ジョセフィン(ジョー)とダフネ(ジェリー)として女だけの楽団に入り、楽団の滞在先であるフロリダに逃げます。


プロットの軸となるこの設定もさることながら、フロリダでのストーリー展開もよく練られています。ジョーはシェル石油の御曹司を装ってシュガーにアプローチ、一方のジェリーは金持ちのおじさんオズグッドに言い寄られるという展開です。


上手に金持ちっぽさを装ってシュガーを虜にするジョーの巧みな話術の楽しさ。ジェリーがどれだけ拒んでもオズグッドに惚れ込まれていく面白さ。そして両エピソードがうまく絡み、オズグッドのヨットや上述のブレスレットをジョーが上手く利用するのも面白いです。


ヨットでジョーとシュガーがキスするシーンと、ジェリーとオスグッドが陽気に踊るシーンのクロスカッティングなんて、もう最高!


ジョーとジェリーの女装は誰にも見破られません。これはツッコミどころではありません。製作者と観客の間の暗黙の了解です。ここに、古き良き映画の心地良さがあります。


最後には、マフィアがフロリダに現れてドタバタの展開。そして4人の逃避行。


ダフネ(ジェリー)が何を言って拒んでも結婚を諦めないオズグッドに対して、遂にカツラを取って男であることを告げるジェリー。それにも一切動じないオズグッドの台詞。


"Well, nobody's perfect."

完璧な人はいない


思わずニヤけてしまう伝説的なラストシーンです。ちなみにこの台詞は、上述のAFI選出のアメリカ映画名台詞ベスト100で48位にランクインしている有名な台詞です。

 

脂の乗り切った俳優の共演

本作はトニー・カーティス、ジャック・レモン、マリリン・モンローの3人が主役と言っていいでしょう。


女装や変装でバタバタと変化を演じたトニー・カーティスもいいですが、やはり私はジャック・レモンが好き。彼の喋り、表情、佇まい、どれをとっても一流の喜劇俳優。まあ、私にとってはジャック・レモンのベストは『アパートの鍵貸します』ですが、本作でもその才能は遺憾なく発揮されています。


オズグッドとのシーンでのふてくされたような演技は最高ですし、彼と一晩過ごして吹っ切れたようにハイテンションになっているシーンも笑ってしまいます。


そして忘れてはならないのがマリリン・モンロー。本作は、彼女の魅力が最も現れている作品ではないでしょうか。色気もキュートさも抜群です。


本作で彼女が歌った"I Wanna Be Loved by You"は、本作以前からの既存の曲ですが、今ではこの曲と言えばマリリン、マリリンと言えばこの曲と言っていいくらい、彼女のイメージと結びついています。


マリリン・モンローというと、私が生まれるより20年以上前に亡くなっていたわけですが、往年の映画スターの代表格。少なくとも私の世代では、映画好きじゃなくても誰もが知っています。


以前、同世代の友人がこんなことを言っていました。


「オードリー・ヘプバーンは分かるけど、マリリン・モンローの良さは分からない」


それだけで、本作を見ていないことが分かります(笑)

 

 

最後に

今回は映画『お熱いのがお好き』の解説&感想でした。

 

本気のビリー・ワイルダー演出、コメディとして完璧なプロット、偉大なるジャック・レモンのコメディ演技、全盛期のマリリン・モンローの唯一無二の魅力…。「これがあるから素晴らしい」という魅力が溢れた作品です。

 

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