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映画『マイノリティ・リポート』解説&感想 アクションとサスペンスをたっぷり楽しめるSF映画の良作

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どうも、たきじです。

 

今回は2002年公開のアメリカ映画『マイノリティ・リポート』の解説&感想です。スティーヴン・スピルバーグ監督とトム・クルーズがタッグを組んだSF映画です。

 

 

作品情報

タイトル:マイノリティ・リポート

原題  :Minority Report

製作年 :2002年

製作国 :アメリカ

監督  :スティーヴン・スピルバーグ

出演  :トム・クルーズ

     コリン・ファレル

     サマンサ・モートン

     マックス・フォン・シドー

     ロイス・スミス

     ピーター・ストーメア

 上映時間:145分

 

解説&感想(ネタバレあり)

フィリップ・K・ディック原作のSF

映画ファンには『ブレードランナー』や『トータル・リコール』の原作者として馴染み深いSF作家フィリップ・K・ディック。本作はディックが1956年に発表した短編小説『The Minority Report』を脚色した作品です。


本作は、プリコグと呼ばれる3人の予知能力保持者による未来予知によって、殺人が起こる前に犯人を逮捕するという犯罪予知システムが実用化された社会を描きます。少しトンデモな設定にも思えますが、こうした設定を土台とした物語を通じて政治の倫理観を問うのはSFの王道と言えるかもしれません。


近未来の社会の描写はなかなかよく練られていて、突飛な印象は受けません。レクサスをはじめとする自動車の未来的なデザインはかっこいいですし、個人的にはジョン(トム・クルーズ)の自宅のデザインがすごく気に入りましたね。浮遊する自動車がドッキングされる構造を含め、とても素敵な未来的なデザインでした。


一方で、本作の公開から20年が経過した現時点ですでに少しズレていると感じるのは、情報端末のハード面。ジョンが家族の動画を再生するのに1ファイルごとに別のディスクを使っていたり、犯罪予防局でもデータを別の端末に移すのに透明な板のようなものを運んで嵌め込んだりと、ハードがやたらと残っています。現実にはデータを送信したりクラウドを使ったりで済みますからね。


それから気になったのは、プリコグの予知を映像化したデータを操る時に、特殊なグローブをはめて空間で指を動かすという操作方法。映画的演出としてありだとは思うのですが、ちょっと仰々しいですし、カッコつけ過ぎて鼻につきます(笑)

 


アクションとサスペンス

本作は、犯罪予防局を率いるジョンがプリコグによって殺人を犯すと予知されてしまったことから、自分の部下達に追われながら真実を追うというストーリー構成になっています。


サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックも得意とした、"追われながら追う"という、サスペンスの一つの型ですね。追われているという状況によって常に緊張感を持続させつつ、真実が徐々に明らかになっていくことで興奮を高めてくれます。


本作では、追われるパートにおいて迫力のアクションでも楽しませてくれます。浮遊する自動車を伝っての逃走や、飛行する刑事達との格闘など、当時最先端の映像技術で見せてくれます。


アガサの未来予知によって、風船の裏にうまく隠れたり、傘に紛れたりしながら逃げるシークエンスもとても楽しいですね。


やがてジョンが辿り着く真実は、未来予知の仕組みの穴をうまく使ったトリックになっていて面白いです。タイトルである"マイノリティ・リポート(少数報告)"がキーになっているのもいいですね。犯罪予知システムの崩壊か、収容所送りか、黒幕を究極の選択に追い込むクライマックスもワクワクする展開でした。


でもエピローグは少し物足りなかったかな。ジョンは妻との関係が修復し、プリコグ達は解放されたという後日譚はいいのですが、ハッとさせられるような、何か意外性のある結末を欲してしまいました。

 


先人達へのオマージュ

上に述べたように"追われながら追う"というサスペンスはアルフレッド・ヒッチコック監督の得意としたスタイル。本作ではヒッチコックへのオマージュと受け取れる演出を見ることができます。


指名手配されたジョンが市民の目を気にしながら逃げる様子はヒッチコック好きなら見覚えのある描写です。傘に紛れて逃げるのは『海外特派員』の引用でしょう。風船の裏に隠れるのも何かの引用かな?いずれにしても、この演出もなかなか"ヒッチコック的"ですね。


他にも、スタンリー・キューブリック監督が近未来の全体主義社会を描いた『時計じかけのオレンジ』へのオマージュと受け取れる演出も。ジョンが眼球を取り替える手術を受けるシーンでは、同作の"ルドヴィコ療法"のシーンを思い浮かべる映画ファンは多いでしょう。薄暗いトンネルや浮浪者といったモチーフも同作を連想させます。


それに、マックス・フォン・シドー演じるバージェス局長の名前は『時計じかけのオレンジ』の原作者アンソニー・バージェスから取られているのかも。3人のプリコグの名前——アガサ、アーサー、ダシールは、それぞれアガサ・クリスティ、アーサー・コナン・ドイル、ダシール・ハメットと、著名な小説家から取られているのが明らかですから、あながち考え過ぎでもないかも。

 

最後に

今回は映画『マイノリティ・リポート』の解説&感想でした。パラドックスものなので、細かいところを考えると、いろいろツッコミどころは出てきそうですが、そういうのは考え過ぎないことが吉。スティーヴン・スピルバーグとトム・クルーズが、それぞれ手堅く彼ららしい仕事をしていて、アクションとサスペンスをたっぷり楽しめるSF映画の良作だと思います。


ちなみに、2015年には本作の後日譚としてテレビドラマ版が放送されましたが、人気は今ひとつで、話数を短縮して打ち切られています。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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