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映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』解説&感想 盲目の退役軍人と若者の交流を通して綴られる絶望と再生

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どうも、たきじです。

 

今回は1992年公開のアメリカ映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の解説&感想です。アカデミー賞では、アル・パチーノが念願の主演男優賞を受賞した他、作品賞、監督賞、脚色賞にノミネートされました。

 

 

作品情報

タイトル:セント・オブ・ウーマン/夢の香り

原題  :Scent of a Woman

製作年 :1992年

製作国 :アメリカ

監督  :マーティン・ブレスト

出演  :アル・パチーノ

     クリス・オドネル

     ジェームズ・レブホーン

     ガブリエル・アンウォー

     フィリップ・シーモア・ホフマン

 上映時間:157分

 

解説&感想(ネタバレあり)

完璧な演技を見せたアル・パチーノ

アル・パチーノは本作でアカデミー賞の主演男優賞を受賞しました。誰もがその高い演技力を認めていながら、タイミングが合わずなかなかアカデミー賞を受賞できない俳優が時々いますが、アル・パチーノはその筆頭でした。実に7度目のノミネートでの初受賞でした。


受賞には競合する他の俳優の演技も関係しますから、受賞した作品がその俳優のベストの作品とは限りません。とは言え、偏屈な退役軍人という濃いキャラクターで、盲目で、内に苦悩を秘めているという難しい役柄を完璧に演じた本作のアル・パチーノのパフォーマンスは、彼のキャリアを代表する名演であったことは間違いないでしょう。


この役柄をアル・パチーノ以外がうまく演じている姿は想像もできないです。

 


フランクの絶望と再生

盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話をするアルバイトをすることになった高校生のチャーリー(クリス・オドネル)。本作は2人のニューヨークの旅を通じた交流を描きながら、それぞれの苦悩と、それぞれがそこから解放されていく様子を描きます。


フランクは盲目とは言え悩みなど無さそうにも見える性格ですが、実は孤独と絶望を抱え、旅の終わりに自殺しようと考えていることが明らかになります。


フランクの自殺未遂のシーンは間違いなく本作のハイライトの一つ。フランクとチャーリーが激しくぶつかり合うこのシーンは緊張感たっぷりです。

 

If you’re tangled up, just tango on.

足が絡まっても踊り続ければいい


タンゴについて語ったフランクの台詞を引用してフランクを励ますチャーリー。クリス・オドネルの涙の熱演が胸に迫ります。


チャーリーの説得によって自殺を踏みとどまったフランク。学校での力強いスピーチや、姪の子供達と関係改善しようと優しく語りかける姿からは、彼が再び命を絶とうとすることはないだろうと確信できます。

 


チャーリーを救うフランクのスピーチ

一方、チャーリーは学校でトラスク校長(ジェームズ・レブホーン)にイタズラした犯人の目撃者として、同級生を突き出すか否かで悩みます。友達を売るのか、黙秘によって処分を受けるのかという二者択一です。


思い悩んだチャーリーですが、彼は友達を売ることはなく、校長の追及にも口を閉ざします。チャーリーの窮地を救うのは、上でも触れたフランクのスピーチ。チャーリーの保護者として現れたフランクは、チャーリーの高潔さを主張すると共に、そんな彼を処分しようとしている学校を糾弾します。

 

時に過激な表現を用いながら、心に訴えかけるような彼の力強い言葉。このスピーチは、映画のクライマックスとして観客の心にも訴えかけます。そしてスピーチの甲斐あって、チャーリーは処分を受けずに済むのです。


盲目の退役軍人と若者の心の触れ合い。お互いがお互いを救い合い、苦悩から解放されていく様子には感動を覚えます。


一方で、フランクの演説後に評決が言い渡された時の生徒達の異常な盛り上がりは、過剰演出でやや興ざめなことも付け加えておきましょう。フェラーリのシーンにしてもそうですが、本作は現実性に欠けた過剰演出がちょいちょいあるのが玉にキズです。

 


タンゴのシーンは屈指の名シーン

本作は上述の通りストーリーがすばらしい上に、名シーンが満載なので、長尺でも飽きることが無く楽しめます。


既に述べた自殺未遂のシーンやスピーチのシーンは言わずもがなですが、それ以外でも特筆すべきはタンゴのシーンでしょう。フランクはレストランで出会ったドナ(ガブリエル・アンウォー)とタンゴを踊ります。


音楽も美しくて好きですが、何と言っても踊る2人の表情が素晴らしいです。2人のダンスを笑顔で見つめるチャーリーと同じように、気がつけばこちらも微笑んでいます。


ちなみにこのタンゴ曲はカルロス・ガルデル作曲の「Por una cabeza(ポル・ウナ・カベサ)」という曲。『シンドラーのリスト』の冒頭や、『トゥルーライズ』のダンスシーンでも使われているので、映画ファンには聞き覚えのある方も多いでしょう。

 

最後に

今回は映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の解説&感想でした。盲目の退役軍人と若者の心の触れ合いを通じて、絶望と再生を描いた感動作です。アル・パチーノの名演も見どころです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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