どうも、Takijiです。
今回は映画『ラブ・アクチュアリー』の解説&感想です!私達の周りに溢れている様々な形の愛を描いた群像劇で、クリスマス映画としても人気のイギリス映画です。
作品情報
タイトル:ラブ・アクチュアリー
原題 :Love Actually
製作年 :2003年
製作国 :イギリス、アメリカ
監督 :リチャード・カーティス
出演 :ヒュー・グラント
アラン・リックマン
エマ・トンプソン
コリン・ファース
リーアム・ニーソン
トーマス・サングスター
ローラ・リニー
ロドリゴ・サントロ
マルティン・マカッチョン
ビル・ナイ
ルシア・モニス
キーラ・ナイトレイ
キウェテル・イジョフォー
アンドリュー・リンカーン
マーティン・フリーマン
クリス・マーシャル
ローワン・アトキンソン
ビリー・ボブ・ソーントン
上映時間:135分
解説&感想(ネタバレあり)
クリスマスに展開する9つの愛の物語
本作は、クリスマスまでの5週間に展開する9つのLOVE(愛、恋)の物語を、時に人物を交錯させながら描く群像劇です。
①長年のビジネスパートナーへの愛
落ち目のロック歌手のビリー・マック(ビル・ナイ)が、マネージャーのジョーと、往年のヒット曲をクリスマス向けに歌詞を変えてリリースし、再起を図る物語。
この物語の"愛"の部分はとってつけたようなもので、この物語の映画の中での役割はコメディリリーフですね。クリスマスチャートでトップを勝ち取るまでのプロモーション活動の様子が所々に挿入されて、展開にいいリズムが生まれていますし、それ自体がいちいち可笑しいです。
②親友の妻への許されぬ恋
マーク(アンドリュー・リンカーン)が親友のピーター(キウェテル・イジョフォー)の妻ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)への恋に思い悩む物語。
冒頭の結婚式でのドッキリ、マークが撮影したビデオに映るジュリエットの美しい姿、彼女を残して部屋を出て落ち着きなく動き回るマークの姿など印象深い描写が多いです。そして何より、聖歌隊の歌を流しながら、マークがジュリエットへの想いをフリップボードで伝えるクライマックスはユーモアと哀愁たっぷりです。
この物語が、最も映画的美しさを持ったエピソードだと思います。
③首相と公邸スタッフの身分を超えた恋
英国首相に就任したデイヴィッド(ヒュー・グラント)が、首相公邸のスタッフのナタリー(マルティン・マカッチョン)に恋をする物語。
デイヴィッドが、強硬な米国大統領(ビリー・ボブ・ソーントン)との共同記者会見で毅然とした態度で演説するシーンは見せ場の一つ。彼が高圧的な大統領に屈せずに演説するきっかけが、"好きな子にちょっかい出されたから"というのも何とも可笑しいです。その後一人で舞い上がって踊るシーンも最高でした。
④言語の壁を乗り越えた恋
作家のジェイミー(コリン・ファース)と、ポルトガル人の家政婦オーレリア(ルシア・モニス)の、言葉の通じない相手との恋の物語。
お互いに言葉が通じないながらも自分の言語で喋り合う台詞が、
オーレリア: 著作権料の50%をちょうだい
ジェイミー: 著作権料の5%をあげよう
と、時にユーモラスにすれ違い、
ジェイミー: 君を車で送る時が、1日で1番好きな時間だ
オーレリア: あなたと別れる時が、1日で1番悲しい時間よ
と、時にロマンティックに通じ合います。言葉の壁をうまく使ったやりとりになっているのがうまいです。
⑤不倫
カレン(エマ・トンプソン)の夫ハリー(アラン・リックマン)とミアの不倫の物語。
この物語はテーマがテーマだけに他と比べて少しシリアス。エマ・トンプソンの演技が光りますね。ハリーが購入していたネックレスが他の女性へのプレゼントだったと気づき動揺しながらも、子供の前で気丈に振る舞う様子はさすがです。
また、宝飾店の店員ルーファス(ローワン・アトキンソン)の登場シーンで、急にコミカルな空気に変わるのもいいですね。ローワン・アトキンソンはMr.ビーンでおなじみの名コメディアン。ちょっとした仕草で笑いを取れるのはさすがですね。ちなみに本作の監督リチャード・カーティスは、ローワン・アトキンソンと共にMr.ビーンの脚本を書いていました。
⑥少年の初恋
ダニエル(リーアム・ニーソン)の亡き妻の連れ子だったサム(トーマス・サングスター)の初恋の物語。
お母さんを亡くして悲しみにふける少年の重苦しい物語かと思いきや、実は片思いの恋に悩んでいたという展開は、ダニエルと一緒に安心してしまいますね。もちろんサムにとっては深刻な問題ですが。
この物語も、コンサートシーンの盛り上がりから空港で女の子を追いかけるシーンまで見せ場たっぷりで、とても映画的です。こちらの物語でも、いいところでローワン・アトキンソンが登場して笑わせてくれます。
⑦同僚との恋(or きょうだい愛)
デザイン会社で働くサラ(ローラ・リニー)と同僚のカール(ロドリゴ・サントロ)の恋物語。精神を患ったサラの弟から頻繁に電話がかかってくることが、2人の恋の邪魔をします。
この恋は実ることなく終わってしまいます。ご都合主義的な展開でもいいからハッピーエンドに持っていってよかったのでは?とも思いましたが、クリスマス・イヴを弟のいる病院で過ごすサラの姿を見ると、この物語はきょうだい愛を描いた物語だったということでしょうか。
⑧ただモテたい男が求める"愛"
ケータリングスタッフとして働くコリン(クリス・マーシャル)が、自分は冷たいイギリス人女性ではなく、アメリカ人女性にならモテると言い張り、アメリカはウィスコンシン州へ旅立つ物語。
この物語は、ビリー・マックの物語と同じで、コメディリリーフ的な扱いですね。夢落ちかと疑うような、ある意味ぶっ飛んだ物語です(笑)
アメリカ人女性を小馬鹿にしたような描き方も笑ってしまいます。
⑨"裸の恋"
映画撮影の現場でスタンドインを務めるジョン(マーティン・フリーマン)とジュディの恋の物語。
スタンドインというのは撮影の際の俳優の立ち位置や照明の調整のために、俳優の代理をする役割です。2人はセックスシーンのスタンドインのため、文字通り裸で出会い、恋をします。
この物語もコメディリリーフの役割ですね。すごい体勢で体に触れた状態で、自然に日常会話する2人が可笑しいです。出会いのアブノーマルさと裏腹に、とてもノーマルで純粋な恋に見えるのがまたいいです。
群像劇である必然性
見渡せばどこにでも溢れている様々な"LOVE"を表現するために、群像劇というスタイルは必然でしょう。
1つの物語では2時間待たせられないから群像劇に逃げたのかと思うような作品もありますが、本作は全くそんな印象は受けません。その気になれば1つの物語を膨らませて、1本の映画ができそうなくらいに筋書きがしっかりと作られているものが多いです。
また、"LOVE"という共通テーマだけでなく、クリスマス、そして交錯する人間関係が、うまく全体にまとまりを生んでいます。9つの物語によって、リアルさと映画的ハッタリが絶妙なバランスで共存しており、2時間のストーリーに盛り上がりの波をうまく起こしながら展開させているのも見事です。
そう言えば、これだけ様々な愛を描いていながら、同性愛が無いのは意外ですね。現代なら間違いなく入るでしょう。
最後に
毎年クリスマスシーズンになると見たくなる映画ですが、今回数年ぶりの観賞になりました。何度見てもやっぱりいい映画でした!軽い気分で見られる映画ですので、まだ見ていない方はぜひご覧下さい!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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