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映画『クロース』解説&感想 クリスマス映画の定番になるべき作品

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どうも、たきじです。

 

今回は、2019年公開のスペイン映画『クロース』の解説&感想です。ネットフリックス配給作品です。アニメーションのアカデミー賞とも言われるアニー賞で作品賞を含む7部門を受賞しています。アカデミー賞の長編アニメ賞は『トイ・ストーリー4』に譲っていますが、『トイ・ストーリー4』が好きになれない私としては本作が受賞すべきだったと思っています。

 

 

作品情報

タイトル:クロース

原題  :Klaus

製作年 :2019年

製作国 :スペイン

監督  :セルジオ・パブロス

声の出演:ジェイソン・シュワルツマン
     J・K・シモンズ
     ラシダ・ジョーンズ
     ウィル・サッソー
     ノーム・マクドナルド
     ジョーン・キューザック

上映時間:98分

あらすじ

北極圏の僻地の島に、郵便配達員として赴任したジェスパー。そこは二つの民族が大昔から争いを続ける殺伐とした町で、誰も手紙など送ろうとしません。ある時、ジェスパーは雪深い山奥に住むクロースという木こりの家を訪ねます。ジェスパーが持っていた子供の書いた絵を見たクロースは、ジェスパーに子供の家に連れて行くように強制し、クロースはその子におもちゃを届けます。クロースに手紙を書くとおもちゃが貰えるという噂がたちまち島中に広まり…。

 

解説&感想(ネタバレあり)

本作は、サンタクロースの始まりを描いた物語。と言っても、現実の歴史上でどのようにサンタクロースの文化が始まったか、ということではありません。ファンタジーとして、どのようにサンタクロースが誕生したかを描いているということです。


本作の素晴らしいところは大きく分けて2点。


1点目は、クロースの行動が、徐々にサンタクロースに近づいていく面白さでしょう。プレゼントは煙突から届けられソックスの中へ。馬車を引く馬はトナカイになり、馬車はソリになり、やがて空を飛びます。そして、"Ho! Ho! Ho!"というクセのある笑い方、赤い服というサンタクロース自身の特徴も完成していきます(笑い方はもともとか)。

 


2点目は登場人物達それぞれがポジティブに変化を遂げること。


まず、ジェスパーは郵便局長の父から課されたノルマである6000通の手紙の配達を達成し、贅沢な暮らしに戻ることしか考えていませんでした。それが少女のためにソリを作ったり、教師のアルバと関係を深めたりするうち、島の暮らしに愛着を持つようになっていきます。


少女のためにソリを作り、それを贈るシークエンスはとても素晴らしかったです。当初はおもちゃ作りを拒んでいたクロースも協力してくれ、共に作り上げたソリ。少女が喜んで遊ぶ姿を陰ながら見つめる2人。テーマ曲の良さも相まって感動的なシーンになっています。


次に、クロース。彼は子宝に恵まれず、妻を病気で失ってからは、心を閉ざし孤独な生活を送っていました。それが自分の子供のためにと作っていたおもちゃを島の子供達に与え、子供達の喜ぶ姿を見ることで心を開いていきます。


妻をめぐるエピソードは終盤に差し掛かって物語に絡んできますが、これによって物語に深みが増していますね。家の中にいるジェスパーのシルエットでクロースが何かを思い出す表情を見せるシーンと男女の木彫りの人形を見せるシーンだけで、クロースが何かを抱えていることを示唆するのはとてもスマートな表現でした。


次に、教師のアルバ。子供を敵対する民族と交流させたくない大人達は、誰も子供を学校に通わせようとせません。アルバは教師として島に来たものの、生活のために魚屋を営んでいました。すっかりやさぐれていたアルバですが、クロースに手紙を書くために読み書きを習いたいと集う子供達に心を動かされます。アルバは貯めたお金を投げ打って学校を元に戻し、やがて活力を取り戻していきます。


そして、島の子供達。クロースにおもちゃを貰うためには良い子でいなければならないと聞いた子供達は、民族の対立など関係なしに、人に親切をするようになります。それに感化された大人達も民族間の壁を取り払い、殺伐としていた町は平穏な町へと変わっていきます。


当初の住民達は、敵対する家の洗濯物にゴミをかけたり、植木鉢を落として歩行者にぶつけたり、家に槍を投げたりと殺伐とした争いを続けていました。映画序盤では、これらがユーモアたっぷりに描かれていましたね。これらのシーンで描かれていた争いが、子供達の行動の変化によって変化する、それが心地よく、またユーモラスに描かれていて面白いところです。

 


本作では、"本当に欲のない行いは人の心を動かす"という言葉が、キーワードになっていますが、上記のような登場人物達のポジティブな変化のきっかけはジェスパーが私利私欲のために起こした行動でした。島の子供達の行動にしたって、クロースにおもちゃを貰いたいという私利私欲のための行動です。


結局のところ、きっかけは何でも良いのでしょう。たとえ初めは私利私欲のための行動でも、それがやがて欲のない行動へと変化し、それが人の心を動かす。その様は見ていて心地よいものでした。


サンタクロースの誕生に至る経緯の面白さと、登場人物達のポジティブな変化。そこに見て取れるクリスマス精神。それに作品のクオリティも踏まえると、本作はクリスマス映画の定番になるべき映画だと言えるのではないでしょうか。

 


少し惜しかったのはクライマックスの盛り上がりが物足りなかったことでしょうか。民族間の対立を煽る両民族の長が、クロースの配達を邪魔をしようとし、滑るソリでの攻防が繰り広げられます。


攻防の結果、荷物は崖から海へと落ちてしまいます。しかし、実は邪魔されることを予見していたクロース達が予め荷物をすり替えていて、海に落ちたのはダミーだったというオチ。これでは、クライマックスのアクションは何のための攻防だったのかとなってしまいます。ジェスパー自身もそのようなことを言いますが、これは脚本家の言い訳のように聞こえてしまいました。


ジェスパーの"本当に欲のない行いは人の心を動かす"との決め台詞が両民族の長に向けて放たれますが、長たちが振り返ると両民族の長の子供同士が仲睦まじくなっているというオチ。これも、もっともらしく決め台詞が放たれた割には、ちょっと弱くないですかね。もっと痛快に、彼らにギャフンと言わせる何かを期待してしまいました。

 

最後に

今回は、映画『クロース』の解説&感想でした。少し惜しいところはありつつも、クリスマス映画としては満足の作品でした。ネットフリックスが独占しているので、なかなか定番にはならないでしょうが、人におすすめできるクリスマス映画です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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