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映画『グラディエーター』解説&感想 情熱あふれる復讐劇

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『グラディエーター』の解説&感想です。アカデミー賞では作品賞を含む5部門を受賞した名作です。

 

作品情報

タイトル:グラディエーター

原題  :Gladiator

製作年 :2000年

製作国 :アメリカ

監督  :リドリー・スコット

出演  :ラッセル・クロウ

     ホアキン・フェニックス

     コニー・ニールセン

     オリヴァー・リード

     デレク・ジャコビ

     ジャイモン・フンスー

     リチャード・ハリス

 上映時間:155分

 

解説&感想(ネタバレあり)

熱いストーリーと迫力のアクション

最強のローマ帝国を率いた将軍が、奴隷となり、グラディエーター(剣闘士)となり、皇帝に歯向かう。本作の魅力の一つが、この熱いストーリーです。


ローマ帝国の将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、新皇帝コモドゥス(ホアキン・フェニックス)の命令により、妻子を虐殺され、茫然自失のまま奴隷にされてしまいます。グラディエーターとして、大衆の娯楽のために奴隷同士で殺し合いをさせられるわけですが、その圧倒的な強さで観衆の人気を集め、周りからも一目置かれた存在になっていく様が痛快です。


そして、ストーリーをさらに盛り上げる、迫力のアクション。豪快な殺陣、飛び散る血飛沫、リズミカルなカッティング、ハンス・ジマーの勇壮な音楽、リドリー・スコット監督の十八番であるスモークがかった映像が、それを構成します。


マキシマス率いるローマ軍が圧倒的な強さを見せるオープニングの闘いから迫力満点ですが、最高なのは何と言っても、ローマのコロッセオで闘うシーンでしょう!ローマ軍がカルタゴ軍を破ったザマの闘いを再現するということで、マキシマス達はカルタゴ軍に見立てられ、圧倒的に不利な状況で闘わされます。つまりマキシマス達がやられる様を見せる興行として行われるのです。


この闘いの興奮は半端じゃないです。マキシマスが仲間達を統率し、敵を少しずつ切り崩し、次第に敵を圧倒していきます。不利な状況をはねのけ、史実に反して勝利を収める痛快さと言ったら!


そしてダメ押しはその後のコモドゥスと対峙するシーン。観衆の盛り上がりの中、マキシマスの闘いを称えるコモドゥスに対し、マキシマスは背を向けます。兜を取って名乗れと憤るコモドゥスに対するマキシマスの台詞は映画のハイライトの1つです。


"私の名はマキシマス・デシマス・メリディアス。北方軍の総司令官、フェリキス隊の将軍、真の皇帝マルクス・アウレリウスの忠実な僕。息子を殺された父。妻を殺された夫。今世か来世で復讐を果たす"


処刑させたはずのマキシマスが目の前に現れてうろたえるコモドゥスですが、観衆を味方に付けたマキシマスを殺すこともできずに八方塞がりとなるのがまた痛快です。


こうしたシーンに代表されるように、本作は、ストーリーとアクションがお互いに引き立て合って、映画を最高に盛り上げています。

 

 


二人の男の台詞劇

上に挙げたシーンもそうですが、マキシマスとコモドゥスによる台詞劇も本作の見どころの一つ。


別の剣闘の後には、マキシマスの勝利に盛り上がる観衆を前にコモドゥスは敗者にとどめを刺すことをマキシマスに指示します。が、マキシマスは挑発的に武器を捨て、観衆はマキシマスの慈悲を称えます。苛立つコモドゥスは、マキシマスの妻と息子は無様な死だったとマキシマスを挑発しますが、マキシマスは冷静に、「威を誇る日もじき終わりです、殿下」と言い残し立ち去ります。


皇帝に対しては本来、"陛下"の敬称で呼ぶべきところを"殿下"と呼ぶことで、コモドゥスを皇帝として認めていないことを表現しています。あえてこうした間接的な表現で相手を挑発するところに、マキシマスの知性を感じさせる台詞です。


一方のコモドゥスも負けてはいません。姉のルッシラがマキシマスに肩入れしていることを知ったコモドゥスは、ルッシラの幼い息子であるルシアスに歴史物語(肉親に裏切られた皇帝がその子供を殺すと脅す話)を聞かせる形で、間接的にルッシラへ怒りをぶつけ、脅迫します。淡々と話をするコモドゥスと、息子が殺されることを恐れて涙をこぼすルッシラの、緊迫感のあるシーンになっています。


そして私が最も好きなのが、クライマックス直前、鎖に繋がれたマキシマスとコモドゥスが対峙する場面。

 

マキシマス:

ある人がかつて言っていた。「死は私たちみんなに笑いかける。私たちにできるのは笑い返すことだけ」


コモドゥス:

そいつは自分が死ぬとき笑ったか?


マキシマス:

お前なら知っているだろう。彼はお前の父親だ。


コモドゥス:

お前が父上を愛していたことは分かってる。だがそれは私も同じ。俺達は兄弟のようなものだろ?さあ、笑えよ、兄弟。


こう言ってコモドゥスはマキシマスの体を刺し、傷を鎧で隠して剣闘へと向かわせます。


この台詞の応酬は、まるでシェイクスピアの戯曲のよう。先代の皇帝を愛した二人の"息子"の言葉による闘いです。ここでもマキシマスは、「お前が先代を殺したのは分かってるぞ」ということを間接的な表現で伝えています。


なお、この後、皇帝自らがマキシマスと剣闘しますが、これはマキシマスにあらかじめ傷を負わせていることを考慮しても、やや現実離れした印象は否めません。ここは本作の惜しいところです。


ホアキン・フェニックスの悪役像

本作はアカデミー賞で作品賞に選ばれた他、ラッセル・クロウの主演男優賞、衣裳デザイン賞、録音賞、視覚効果賞の5部門を受賞しています。


マキシマスを演じたラッセル・クロウの迫力のある演技はもちろん素晴らしかったですが、コモドゥスを演じたホアキン・フェニックスもかなり良かったので、受賞を逃したのは惜しいところでした。悲しみ、怒り、憎しみといった感情をこれでもかとばかりに映し出す彼の演技も評価に値するものだと思います。


ここで演じた、負の感情を濃縮したような悪役像が、やがて2019年の『ジョーカー』(アカデミー主演男優賞受賞)に帰結したかと思うと、映画を見続ける喜びを感じずにはいられません。

 

 

最後に

今回は映画『グラディエーター』の解説&感想でした。情熱あふれる復讐劇で、大興奮間違いなしの映画です。ストーリーもシンプルなので、万人受けしやすい作品ではないでしょうか。

 

また、下に挙げた2作は、本作のストーリーと類似性の高い作品ですので、本作が好きな方には是非おすすめしたい作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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