どうも、たきじです。
今回はクリストファー・ノーラン監督の映画『ダンケルク』の解説&感想です。
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作品情報
タイトル:ダンケルク
原題 :Dunkirk
製作年 :2017年
製作国 :イギリス、フランス、アメリカ、オランダ
監督 :クリストファー・ノーラン
出演 :フィン・ホワイトヘッド
トム・グリン=カーニー
ジャック・ロウデン
ハリー・スタイルズ
アナイリン・バーナード
ジェームズ・ダーシー
バリー・コーガン
ケネス・ブラナー
キリアン・マーフィー
マーク・ライランス
トム・ハーディ
上映時間:106分
解説&感想(ネタバレあり)
ノーラン監督が史実を描く
本作が描くのはダンケルクからの撤退(ダイナモ作戦)。第二次世界大戦下の1940年、ドイツ軍によってダンケルクに包囲された英仏軍を救出するために行われた大規模な撤退作戦です。
緻密に作り込まれた独創的なストーリーの大作映画を次々に世に送り出してきたしてきたクリストファー・ノーラン監督ですが、本作は初めての史実をもとにした物語ということになります。106分という上映時間の短さも相まって、ノーラン監督作品にしては珍しく、随分とさらっと撮られた印象を受けます。
3つの物語の交錯
一方で、説明を最小限にとどめ、物語を展開させながら徐々に設定を観客に理解させていくスマートな脚本は健在。
例えば物語の構成。本作は時間軸の異なる3つの物語が同時進行で描かれます。それぞれの冒頭で、「1. 防波堤 1週間」、「2. 海 1日」、「3. 空 1時間」という字幕が表示されますが、最初はこの時間が何を示すのか分かりません。やがて、防波堤のシーンが夜になったのに海と空のシーンは昼のままというところで、それぞれの時間軸の進行スピードが異なることに気付かされ、字幕で表示された時間が作中で描かれる期間を表していると気づかされます。
これに気付いた時、やはりノーラン監督の映画だな、と期待感で胸が踊りました。そして、空のシーンで、不時着した戦闘機に見覚えのある船が接近していくのを目にした時には、それぞれの物語が交錯することが分かり、さらに興奮が高まりました。
3つの物語が交錯し、やがて繋がるというのも見事ですが、時に水没の恐怖、時に空爆の恐怖で3つの物語をリンクさせているのも感心させられます。
クリストファー・ノーラン監督は『メメント』では1本の時間軸をバラして時間を逆行させて描き、『インセプション』では1本の時間軸の中で進行スピードの異なる複数の場面を同時進行で描くという神業をやってのけました。そして本作では、進行スピードの異なる3本の時間軸を交錯させて描いているのです。これはノーラン監督作品のファンとしては興奮せずにはいられませんよね。
クライマックスはやや物足りない
また、本作は戦争映画とは言え、ダンケルクからの撤退を描いているわけですから、基本的には"生き残る物語"であり、"戦う物語"ではありません。そんな中、空軍のパイロット(トム・ハーディ)が戦闘機スピットファイアで繰り広げる激しいドッグファイトは本作の見せ場の一つになっていました。
ただ、クライマックスの盛り上がりはやや物足りなかったというのが正直なところ。3つの物語が一つに繋がったところで、もう一山求めてしまいました。
音楽が引き立てる緊張感
最後に、忘れてはならないのが、ノーラン監督作品には欠かせないハンス・ジマーの音楽。ハンス・ジマーの音楽は、90年代頃は耳に残る勇壮なテーマ曲というイメージが強かったですが、00年代半ばあたりからはそこまで前に出ず、それでいて確実に映画と調和して演出効果を高める、そんなイメージです。
本作でもまさにそうで、映画冒頭から作品に漂う悲壮感を高め、時に恐怖や不安を煽ってきます。本作の世界観を構築し、緊張感を引き立てていることは間違いないでしょう。
最後に
今回は映画『ダンケルク』の解説&感想でした。クリストファー・ノーラン監督としては初の史実に基づく物語ながら、進行スピードの異なる3つの時間軸を交錯させる凝った構成で、ノーラン監督らしさが存分に発揮された作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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