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映画『インターステラー』解説&感想 クリストファー・ノーランが描く"宇宙の旅"

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『インターステラー』の解説&感想です。クリストファー・ノーラン監督が描く宇宙の旅、壮大な愛の物語です。

 

作品情報

タイトル:インターステラー

原題  :Interstellar

製作年 :2014年

製作国 :アメリカ、イギリス

監督  :クリストファー・ノーラン

出演  :マシュー・マコノヒー

     アン・ハサウェイ

     ジェシカ・チャステイン

     ビル・アーウィン

     エレン・バースティン

     マット・デイモン

     マイケル・ケイン

 上映時間:169分

 

解説&感想(ネタバレあり)

科学に裏打ちされたSF映画

疫病による食糧危機や異常気象などにより、地球は人が住むには厳しい世界になりつつある近未来。学校では、アポロ計画の月面着陸はソ連を崩壊に導くための捏造と教えられています。NASAは一度潰されましたが、その後、秘密裏に復活し人類の存亡のために活動しています。本作はそんな世界が舞台のSF映画です。


元宇宙飛行士でエンジニアのクーパー(マシュー・マコノヒー)はNASAに協力し、アメリア・ブランド博士(アン・ハサウェイ)らと共に別の銀河へと旅立ち、人類が住める惑星を探すミッションに挑みます。


本作は、ノーベル物理学賞受賞者であるキップ・ソーン氏が製作総指揮に名を連ねており、科学考証を行なっています。本作のストーリー展開には科学的な要素が大いに関わり、重力波、ワームホール、ブラックホール、相対性理論などが、ストーリー上、重要な意味を持っています。これらの描写が、その道の権威とも言える人物に監修され、科学に裏打ちされたストーリー展開になっているわけですから、本作はファンタジー寄りのSF映画とは一線を画しています。


クーパー達の乗る宇宙船はほぼ光速で航行し、さらにブラックホール等の影響も受けるため、相対性理論が示す通り、地球よりも時間の進みが遅くなります。これをうまく使った映画というと、映画ファンなら、ラストにあの像が出てきて衝撃の結末を迎えるあのSF映画を思い浮かべるかもしれません。あのSF映画が、ラストで観客に驚きを与えるための仕掛けとして相対性理論を用いていたのに対し、本作は相対性理論を極めて情緒的な演出として用いているのが印象的です。


クーパーがミッションに挑む最中、地球に残る家族は自分より早く歳をとっていくのです。子供達の大切な瞬間にも立ち会えず、やがて自分はもう死んだと思われていくのはとても切ない描写です。

 


『2001年宇宙の旅』の影響

本作を見終えた時、私は半ば放心状態でした。難解な部分もあるので3時間近く頭をフル回転して疲れたこともあるでしょうが、何より本作の壮大なストーリーに圧倒されてしまったのです。映画を観た日には、一日中本作のことをぼんやり考えてしまうほどでした。


多くの映画ファンは、本作を観てスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』を思い起こさずにはいられないでしょう。人間の乗組員と人工知能の機械が宇宙に旅立ち、その果てに辿り着く未知の空間…。本作と共通する点が多い作品です。クーパーが五次元空間から出る時の曲の最後のフレーズは、『2001年宇宙の旅』で効果的に使われた『ツァラトゥストラはかく語りき』を想起させます(意識しすぎかな?)。

 

一方、両作品で異なるのは、『2001年宇宙の旅』は"進化"をテーマとして、どちらかというと無機質な視点で淡々と物語を紡いだ作品だったのに対し、本作は"愛"をテーマにした、極めて情緒的な作品になっていることです。

 

時間と空間を超える愛

クーパー達は、先に旅立った12人の科学者の内、人類が居住できる可能性のある惑星に辿り着いた3人(マン、ミラー、エドマンズ)から送られた信号を頼りに居住候補地へと向かいます。最初に、ミラーの惑星を訪れますが、そこはとても人が住める惑星ではなく、ミラーもすでに死亡していました。そして燃料が残り少ない中、次に向かう惑星を決める議論になります。ここで、アメリアはエドマンズの惑星が有望だと主張します。


クーパーは、エドマンズがアメリアの恋人であったこと見抜き、アメリアが私情で判断していることを咎めます。しかしアメリアは、「愛は観測可能な"力"であり、きっと意味がある」と主張します。恐らくもう死んでいる、何年も会っていない人に、銀河を超えて、引き寄せられている。時間と空間をも超える愛には、何か意味があると言うのです。


私は、ここでのアメリアの台詞を聞いた時、科学者が急に愛を語り出したことに少し違和感を覚えました。しかし、映画を見終えて考えてみると、作品のテーマを語る上で極めて重要な台詞であったことが分かります。


アメリアを咎めたクーパーもまた、このミッションに挑みながら、常に家族(特に娘マーフ)のことを考えています。マン博士の「人間の進化はその程度。家族や友人には献身的になれるが、その感情は個人の領域を出ない」という台詞もそれをよく表しています。

 
それでも、最後にクーパーが五次元空間に辿り着き、過去のマーフに信号を伝えることができたのは、時間と空間を超えた愛によるものでした。そして、最後にアメリアが辿り着いたエドマンズの惑星は、今後、人類の居住先になることが示唆されています。

 


壮大でありながら身近な物語

「愛は地球人を救う」と言うと、何かのテレビ番組のキャッチコピーのようですが、本作が描くのは、要はそういうことです。『2001年宇宙の旅』が"人類の進化"という大きなスケールの物語なのに対し、本作は"人類の存亡"という目先の物語であり、しかもそれを実現するのは、人類が古来に生み出した"愛"なのです。クリストファー・ノーラン版『2001年宇宙の旅』は壮大な物語でありながら、実は私達にとても身近なことを描いた物語なのです。私はノーラン監督が『2001年宇宙の旅』に最大のオマージュを捧げつつ、ある種の挑戦的なアプローチでそれを昇華させたことに、映画ファンとして、言いようのない感動を覚えました。


そう言えば、『2001年宇宙の旅』に登場する人工知能HAL9000は、自身を守るために人間の乗組員を殺害しようとしますが、本作の人工知能TARSやCASEは最後まで乗組員のために尽くします。これも、人間の愛(感情)を理解しているかどうかの違いかもしれません。

 

最後に

今回は映画『インターステラー』の解説&感想でした。とても考えさせられる作品であり、考えるに足る作品でした。細かいところは理解しきれなかった部分もあったので、また時を置いて鑑賞してみたいと思います。私は、理解すればするほど本作を好きになっていくと確信しています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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