どうも、たきじです。
今回は1999年公開のイギリス映画『フォロウィング』の解説&感想です。クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作です。
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作品情報
タイトル:フォロウィング
原題 :Following
製作年 :1998年
製作国 :イギリス
監督 :クリストファー・ノーラン
出演 :ジェレミー・セオボルド
アレックス・ハウ
ルーシー・ラッセル
ジョン・ノーラン
ディック・ブラッドセル
上映時間:69分
解説&感想(ネタバレあり)
クリストファー・ノーラン監督の作品は、時系列が複雑に入り組んだ構成の作品が少なくありませんが、ノーラン監督の長編デビュー作にあたる本作も例に漏れません。特に、多少の荒削りさも感じるインディペンデント系らしい雰囲気や、フィルム・ノワール風の雰囲気は、ノーラン監督の次作『メメント』に通じるところがあります。本作はモノクロ映画ですが、そういえば『メメント』も一部モノクロで撮られていましたね。
『メメント』は記憶が10分しかもたない主人公の感覚を疑似体験させるが如く、10分程度のシークエンスを、時系列を遡る形で描いた革命的な映画でした。各シークエンスの間には、ジングルのようにモノクロの短いシークエンスが挿入される形になっており、このシークエンスもしっかり映画において重要な役割を果たすのが見事な構成でした。時系列をひたすら遡るという構成は、一見複雑ですが、規則的な分、意外と混乱なく見られるものです。
一方、本作の場合は少々複雑です。
時系列のまとまりとしては大きく4つ。時系列順に言えば、
①コッブと出会い、空き巣の手ほどきを受ける
②女と出会い、距離を詰める
③バーに空き巣に入る
④警察の尋問を受ける
物語は④で始まり、回想する形で、①に入ります。そして、①を主軸としつつも、間に②と③を断片的に挟んでいくという構成です。時系列をここまで入り組ませた作品は、本作以前にあったでしょうか?私は知りません。
ノーラン監督の後の作品で言えば、『ダンケルク』や『オッペンハイマー』の構成もこれに近いでしょうか。いずれも、時系列としては3つのまとまりを、断片的に入り組ませて描いていました。
このような複雑な構成だと、見ていて多少の混乱を招くことがありますが、本作の場合、②以降は主人公を短髪にし、③では顔に怪我を負わせることで、今描かれているシーンがどの時系列に位置するのか分かりやすくするという工夫が凝らされています。
さて、当然ながら、この複雑に入り組む時系列は、決してデタラメにシークエンスが並べらているわけではありません。例えば、②をある程度描いた上で、①でコッブと女の繋がりが明らかになったり、③で空き巣に入る様子がある程度描かれた上で、②でその経緯が明らかになったり、さらに①の終盤でその裏にあるコッブ企みが明らかになったりと、観客に見せる物語として見れば、この構成だからこそ面白くなるようにできています。そして最後には、④ですべてがひっくり返されるのがまた見事ですね。
②で主人公がピアノの椅子の中を何やら探す様子や、女との食事の会計の時に出すクレジットカードなど、その時点では観客にとって何のことか分からない、適度な"引っかかり"を与えるのもうまいですね。
長編デビュー作ながら大変見事な脚本で、ノーラン監督の才能には改めて感服させられますが、惜しいのは上映時間が約70分と短いこと。これだけ面白い作品なので、もっと長く観たかったところです。
最後に
今回は映画『フォロウィング』の解説&感想でした。クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作ながら、すでにノーラン監督らしさが詰まっていました。何も知らずに本作を観ても「クリストファー・ノーランが若い頃に撮ってそうな映画」と形容してしまいそうな作品でした(笑)。
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