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映画『ウエスタン』解説&感想 マカロニ・ウェスタンと本場の西部劇の融合

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『ウエスタン』の解説&感想です。英題をそのまま使用した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』の別題でも知られます。

 

 

作品情報

タイトル:ウエスタン

別題  :ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

原題  :C'era una volta il West

製作年 :1968年

製作国 :イタリア、アメリカ

監督  :セルジオ・レオーネ

出演  :クラウディア・カルディナーレ

     ヘンリー・フォンダ

     ジェイソン・ロバーズ

     チャールズ・ブロンソン

 上映時間:165分

 

解説&感想(ネタバレあり)

マカロニ・ウェスタンと本場の西部劇の融合

セルジオ・レオーネ監督は、クリント・イーストウッド主演で撮影したドル箱三部作(dollars Trilogy)と括られる3作品で、マカロニ・ウェスタンというイタリア製西部劇の一大ジャンルを確立した後、本格的にアメリカに招かれました。


本作はアメリカ進出後の第一弾の作品。次作の『夕陽のギャングたち』、遺作となった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と合わせて、ワンス・アポン・ア・タイム三部作(Once Upon a Time Trilogy)と括られることもあります(3作品には何のつながりもありません)。


本作は西部開拓時代の末期の19世紀末を、『夕陽のギャングたち』は1910年代を、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は1920年代を描いており、この三部作はレオーネ監督が描くアメリカの近代史と見ることができます。


本作は末期とはいえ西部開拓時代を舞台としていますから、西部開拓時代の全盛期を舞台にしたドル箱三部作の延長線上にあると言えるでしょう。ドル箱三部作が好きな方にはハマる作品になっていると思います。


一方で、娯楽に徹したドル箱三部作に比べて、ドラマ性は深まっています。西部に夢を見て土地を購入したマクベイン家が、地上げを目論む鉄道王が送り込んだガンマンによって皆殺しにされるという物語の発端も、西部開拓時代のロマンとその終焉を意識させるものになっています(『Once Upon a Time in the West』="むかしむかし、西部にて"というタイトルも絶妙)。これもドル箱三部作にはなかった要素です。


そして何といっても、西部劇の本国アメリカでのロケーション撮影。ドル箱三部作では主にスペインで撮影されていましたが(本作も一部はスペインで撮影)、本作では本格的にアメリカでロケーション撮影されています。モニュメントバレーを始めとした本物の西部の風景がレオーネ流のワイドショットに映える映える。


レオーネ監督の前作(ドル箱三部作の第3作)の『続・夕陽のガンマン』が最高過ぎるので、本作はシンプルな面白さとしては前作に劣るでしょう。しかし、ドル箱三部作の延長線上にありながら、西部のロマンを含んだドラマ性と、本物の西部の風景があり、マカロニ・ウェスタンが本場の西部劇と融合した作品として見応えのある作品になっています。

 


贅沢な時間の使い方

本作は、とにかくゆっくりと時間が流れます。超絶にテンポが悪いのです。3時間近い長尺ですが、テンポ良くやれば1時間ちょいで終わるんじゃないかと思うくらいです(笑)。もちろんレオーネ監督は狙ってやってます。


例えば、オープニングの素晴らしさは、この贅沢な時間の使い方あってのものでしょう。駅で何かを待つ3人の男。台詞はなく、ただただ男達の濃い顔のクローズアップと砂漠のワイドショットが繰り返し映し出されます。


ある者は顔に止まるハエと格闘し、ある者はハットの上に落ちる水滴のリズムを楽しみ、ある者は指の関節を鳴らします。映画が始まって10分経っても何一つストーリーが進みません(笑)


そして満を持して登場するハーモニカ(チャールズ・ブロンソン)。


馬が3頭しかいないことについて、「1頭足りないな」と笑う男。それに対して首を振り、「いや、2頭余る」と答えるハーモニカ。


そして1対3の決闘。秒で決着。静寂の中、風車の音だけがキーキーと鳴り響きます。


この緩急がセルジオ・レオーネです。オープニングから画面に釘付けになります。

 


レオーネ西部劇の醍醐味

レオーネ演出が極まるのはやはりクライマックス、ハーモニカとフランク(ヘンリー・フォンダ)の決闘でしょう。ここでも、ただ2人が睨み合うだけのシーンにたっぷりと時間を使います。そして、エンニオ・モリコーネの音楽で過剰なほどに盛り上げ、フラッシュバックで遂に2人の因縁が明かされます。これ以上にないほどに畳み掛け、盛り上がりが絶頂に達したところでの撃ち合い。睨み合いから撃ち合いまで実に5分以上溜めての秒決着。これこそがレオーネ西部劇の最大の醍醐味です。


劇中、しつこいくらいに聞かされてきた抑揚のないハーモニカの音色。食傷気味になっていたところで、その意味が明らかにされ、何ともいえない感動が押し寄せます。ハーモニカに被せるように奏でられるモリコーネの音楽も素晴らしいです。


2人が決闘していることを察しつつも、ジル(クラウディア・カルディナーレ)とシャイアン(ジェイソン・ロバーズ)は見に行くわけでもなく家の中で待つというのもいいですね。撃ち合いの直後、髭剃り中だったシャイアンがカミソリで顔に傷をつけてしまっているという演出も素敵でした。


シャイアンは主演の男3人の中では最もストーリーから外れたキャラクターながら、抜群の存在感で本作の良い味付けになっています。手錠をはめたまま酒場に現れる登場シーンにしても、列車でフランクの部下を次々に倒していくシーンにしても、キャラが立っていて最高でした。

 

最後に

今回は映画『ウエスタン』の解説&感想でした。従来のレオーネ演出はそのままに、西部のロマンを含んだドラマ性と、本物のアメリカ西部の風景が加わった本作。マカロニ・ウェスタンが本場の西部劇と融合した作品として見応えのある作品になっています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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