映画『パラサイト 半地下の家族』感想 風刺の効いたブラック・コメディ

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どうも、Takijiです。

 

今回は映画『パラサイト 半地下の家族』の感想です。第92回アカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞した韓国映画です。

 

作品情報

タイトル:パラサイト 半地下の家族

原題  :기생충(寄生虫)

製作年 :2019年

製作国 :韓国

監督  :ポン・ジュノ

出演  :ソン・ガンホ

     チェ・ウシク

     パク・ソダム

     チャン・ヘジン

     イ・ソンギュン

     チョ・ヨジョン

     チョン・ジソ

     チョン・ヒョンジュン

     イ・ジョンウン

     パク・ミョンフン

 上映時間:132分

 

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あらすじ

まともな仕事もなく、半地下の安アパートに暮らす貧しいキム家の4人家族。ある日、長男のギウ(チェ・ウシク)は友人からIT企業の社長パク・ドンイク(イ・ソンギュン)の娘の高校生ダヘ(チョン・ジソ)の家庭教師の話を持ちかけられます。大学生と身分を偽り、家庭教師としてパク家の豪邸を訪れたギウは、社長夫人のヨンギョ(チョ・ヨジョン)に気に入られます。そして、ダヘの幼い弟のダソン(チョン・ヒョンジュン)の美術の家庭教師として、身分を偽らせた妹のギジョン(パク・ソダム)を紹介します。やがて、父のギテク(ソン・ガンホ)が運転手に、母のチュンスク(チャン・ヘジン)が家政婦にと、家族それぞれが身分を偽ってパク家に寄生していき…。

 

感想(ネタバレあり)

巧みなストーリー展開

本作の一番の面白さは、先の読めない巧みなストーリー展開でしょう。


序盤は、キム家の4人がパク家に寄生していく様が、小気味いいテンポで描かれます。それぞれが要領よく自分を偽り、パク家を騙して入り込んでいく様は痛快で、詐欺師モノの映画の楽しさがあります。特に前任の家政婦ムングァン(イ・ジョンウン)が結核であるかのように社長夫人に思い込ませて追い出すくだりのキム家の連携プレーは見応えがあります。


中盤では、パク家がキャンプに出掛けたのをいいことに、キム家の4人は豪邸が我が物かのように贅沢三昧。このくだりは、パク家が急に帰ってきたりしないか、ヒヤヒヤしてしまいました。というか、小心者の私なんかは、4人がパク家に入り込んでいく序盤から終始バレないかドキドキでしたけど(笑)


そんな中、突然インターホンを鳴らしたのは前任の家政婦のムングァン。パク家の地下室に夫のグンセ(パク・ミョンフン)を住まわせていたという展開の広がりは見事。4年間ずっと豪邸の地下に隠れていたなんて、一瞬ファンタジー的なワクワクを感じてしまいますが、北朝鮮のミサイルに備えたシェルターというのがリアルです。


その後も、前任の家政婦との攻防、やはり急に帰ってきたパク家の目を盗んでの脱出劇、洪水、そして悲惨な結末へと、先の読めない展開の連続で、映画に釘付けでした。

 

社会問題への風刺

本作は、ブラック・ユーモアに包んで"格差社会"を風刺しています。同年公開のアメリカ映画『ジョーカー』も格差社会をテーマに描いていたように、これは世界的な社会問題の1つです。


本作においては、それを"高低差"というモチーフを使って描いているのが面白いところ。


パク家は高台に豪邸を構える一方、キム家は汚く狭い半地下に住んでいます。ギウが初めてパク家を訪れる際には、見上げるような姿勢やカメラワークが印象的です。反対に、豪雨の中、キム家の3人が半地下の家へと帰る際には、皆うつむき、下へ下へと降るシーンが続きます。


水は高いところから低いところへ流れていきます。低いところにあるキム家は洪水によって水没します(便器から吹き返す汚水を抑えるように便器の蓋の上に座るギジョンのカットが素晴らしい!)。キム家が家財を失い、避難所で朝を迎える一方、パク家ではパーティーを開催しようとしています。


そのパーティで、ギテクは殺人を犯し、半地下よりもさらに深い地下室へと堕ちていくことになります。


ギウの言葉を借りるなら、これらの描写はとても"象徴的"です。"格差"を高低差によって物理的に表現するというのは、シンプルながら本作においてとても効果的に機能しているように感じます。


そしてそれによって生まれる"匂い"もキーワードの1つ。半地下や地下に暮らす者に染み付いた匂い。そして、その匂いがきっかけとなり、ギテクはパク社長を刺してしまいます。


本作は富裕層と貧困層を対比しながら、富裕層であるパク家の人々は"嫌な奴ら"としては描かれていません。パク社長はギテクの匂いを気にしつつも、それに対して嘲るような態度は取っていません。キム家の人々もまた、パク家の人々の人間性を好意的に捉えています。

 

それでもギテクは、瀕死の娘を前にして動揺する中で、"地下の匂い"に嫌悪の表情を見せたパク社長を見て、衝動的に包丁を手にしてしまうのです。


パク家を"嫌な奴ら"として描き、富裕層と貧困層の対立構造として描いた方が物語としては分かりやすいと思います。しかし、"格差社会"を風刺するという目的においては、人間性による対立を排除し、"高低差"による本質的なすれ違いにフォーカスすることは必然であり、あの悲劇的な結末も必然と言えるかもしれません。

 

そんな風刺の効いた本作。そういえば、映画序盤で、キム家の4人が要領よくパク家に入り込んでいくのを見ていて、「そんな能力があるなら、いくらでも仕事は見つかるのでは?」と思ってしまいました。が、韓国は日本とは比にならないくらいの学歴社会だと聞きます。これも、「いくら能力があっても受験に失敗すると落ちこぼれになる」という厳しい社会構造に対する風刺と考えるべきかもしれません。

 

最後に

今回は映画『パラサイト 半地下の家族』の感想でした。アカデミー作品賞受賞は、多様性の時代の追い風も多分にあったかと勘繰ってしまいますが、賞レースの結果うんぬんは抜きにしても非常によくできた映画だと思いました。

 

どうでもいい話ですが、私は韓国映画とか韓流ドラマを見慣れていないので、韓国人の名前がすっと頭に入って来ず、劇中で出てくる名前が誰を指しているのか、少し混乱してしまいました(汗)

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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