人生をもっと楽しく

人生を楽しむ多趣味サラリーマンが楽しいことを発信するブログ

映画『デス・プルーフ in グラインドハウス』解説&感想 前後半のコントラストの効いたカーチェイス映画

【スポンサーリンク】

どうも、たきじです。

 

今回は映画『デス・プルーフ in グラインドハウス』の解説&感想です。

 

2007年公開のアメリカ映画で、クエンティン・タランティーノ監督作品。ロバート・ロドリゲス監督の『プラネットテラー』と、架空の映画の予告編と合わせて『グラインドハウス』というオムニバス映画として公開された後、1本の映画として再編集したものです。


『グラインドハウス』自体がB級映画の再現がコンセプトですから、本作もB級映画を意識しまくりの内容になっています。

 

作品情報

タイトル:デス・プルーフ in グラインドハウス

原題  :Death Proof

製作年 :2007年

製作国 :アメリカ

監督  :クエンティン・タランティーノ

出演  :カート・ラッセル

     ヴァネッサ・フェルリト

     シドニー・ターミア・ポワチエ

     ロザリオ・ドーソン

     ゾーイ・ベル

     トレイシー・トムズ

     メアリー・エリザベス・ウィンステッド

 上映時間:113分

 

解説&感想(ネタバレあり)

自分が好きな様々な映画のエッセンスをふんだんに盛り込んで、やりたい放題に映画を撮り、それが多くの人に受け入れられる…。『キル・ビル』を観た時にも感じましたが、タランティーノ監督は本当に幸せ者だと思います。


本作においては、監督好みのB級映画のテイストが満載です。その軸となるのは女、暴力、カーチェイス。言い変えれば、女、暴力、カーチェイスだけの映画とも言えますが、数多くのB級映画と決定的に違うのは監督のずば抜けたセンスです。


本作は、前半と後半でくっきり別れた2部構成となっており、この前後半のコントラストが抜群に効いています。


なんせ、前半の主要キャラクターの若い女達は、スタントマン・マイク(カート・ラッセル)の暴走運転によって、全員が悲惨な死を遂げるわけです。それに対し、カーチェイスで魅せる後半の爽快感よ!


カーチェイスはアクション映画において昔からよく用いられていますが、個人的にはそこまで興奮しないことも多いです。それが、本作はどうでしょう。ストーリーの盛り上がりも相まって、大興奮のカーチェイスになっています。


スタントウーマンのゾーイ(本人)が、売りに出ている憧れの1970年型ダッジ・チャレンジャーに試乗させてもらうと言い出し、しかもそれでシップマスト(走る車のボンネットに乗るスタント)をやりたいと言います。これにより、来たるべきカーチェイスへのお膳立てがされます。この時点で、こちらはもうワクワクです。


そして満を持してのカーチェイス。ゾーイをボンネットに乗せて走るダッジ・チャレンジャーに、マイクの乗るダッジ・チャージャーが迫ります。ボンネットに人が乗っているという緊張感が、普通のカーチェイスとは一味違う興奮を生み出しています。


女達を怖がらせ満足気に笑うマイクに対し、キムが銃を発砲するところで形成逆転。ここからは、攻守を入れ替えたカーチェイスが始まります。彼女達自身の復讐であることに加え、観客としては前半で犠牲になった子達の復讐という視点も加わりますから、気持ちが乗るわ乗るわ。


借り物の車であることなんてもはやどうでもよく、マイクに車体をぶつけまくる気持ち良さ!この疾走感!もう最高!


ラスト、3人にボコボコにされたカート・ラッセルが仰向けに倒れ、3人のガッツポーズのストップモーションで“The End”。これには、思わず笑ってしまいましたね。

 

 

 

前半の陰鬱な幕切れに対する後半の爽快感。前後半の陰と陽のコントラストはこれにとどまりません。

 

前半は大部分が夜のシーンで構成され、時には大雨も降るのに対し、後半は昼間の晴天の下、見晴らしの良いロケーションで構成されています。これに加えて、フォード・マスタングの黄色や、衣装の黄色やピンクなど、後半は色使いも鮮やか。このように、画面作りにおいてもコントラストが効いています。


後半はモノクロで始まり、やがて突然カラーになり、上述の鮮やかな色彩が明らかになります。コントラストを際立たせるいい演出です。


加えて言うなら、キャストも前後半でコントラストが効いています。失礼ながら前半のキャストは少し地味な印象でB級映画感が強め(シドニー・ポワチエのご息女もいますね)。それが後半になると、キュートなメアリー・エリザベス・ウィンステッド、存在感抜群のゾーイ・ベル、この中では実績一番のロザリオ・ドーソン、貫禄たっぷりにドライバーを務めたトレイシー・トムズ。いわゆるスターでこそないですが、華やかなキャストです。『レント』好きの私としては、ロザリオ・ドーソンとトレイシー・トムズの共演にテンションが上がります。

 

さて、コントラストの話以外もしておきましょう。

 

本作は、タランティーノ作品らしい与太話も健在で、古いファンには喜ばしいポイントでしょう。ただ、私は『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』ほどには、本作の与太話に面白味は感じませんでした。タランティーノにガールズ・トークは無理があったか、それとも単に私の好みの問題か…


また、『パルプ・フィクション』に出てきたビッグ・カフーナ・バーガーが出てきたり、アバナシーの携帯の着信音が『キル・ビル』のダリル・ハンナの口笛の曲(オリジナルは『密室の恐怖実験』)だったり、こうした遊び心は楽しいですね。

 

 

最後に

今回は映画『デス・プルーフ in グラインドハウス』の解説&感想でした。とにかく前後半の陰と陽のコントラストが抜群に決まっていて、大興奮の映画です。


本作の中で言及される、『バニシング・ポイント』とか『トラック野郎!B・J』とか、本作がオマージュを捧げているであろうB級映画達は未見。この辺も見ているともっと楽しめるんでしょうね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

多趣味を活かしていろいろ発信しておりますので、興味のあるカテゴリーがございましたら他の記事ものぞいていただけると嬉しいです!

はてなブログの方は、読者登録もお願いします!

 

↓ 他の映画の解説&感想もぜひご覧ください!

 

----この映画が好きな人におすすめ----

↓ 本作同様、タランティーノの趣味全開の作品

↓ 与太話も楽しいタランティーノ初期の傑作