どうも、たきじです。
今回は2023年公開の英米合作映画『テトリス』の解説&感想です。本作は、Apple TV+のオリジナル作品です。
作品情報
タイトル:テトリス
原題 :Tetris
製作年 :2023年
製作国 :イギリス、アメリカ
監督 :ジョン・S・ベアード
出演 :タロン・エガートン
ニキータ・エフレーモフ
ソフィア・レベデヴァ
アンソニー・ボイル
トビー・ジョーンズ
上映時間:118分
解説&感想(ネタバレあり)
ゲーム「テトリス」は、1980年代にソ連で生まれ世界に広がったゲーム。私自身、子供の頃はゲームボーイなどでたくさんプレイしました。ロシア民謡「コロブチカ」がBGMに使われていて、何となくソ連生まれのゲームということは知っていましたが、それをなぜ任天堂が販売しているのかは知らず。子供ながらに、何となく気になっていました。
当時はインターネットなんてありませんから、調べることもできず、結局よく分からないままでしたが、本作を観て30年越しに謎が解けました(笑)。本作は、「テトリス」が世界中で遊ばれるようになる過程で、その背後にあった国際的なビジネスドラマを描きます。
主人公はヘンク・B・ロジャース(タロン・エガートン)。ヘンクは、世界的に注目を浴びつつあるテトリスの販売権を得るために奔走します。
映画序盤は、ヘンクの後ろ盾となる任天堂との交渉が描かれるのが興味深いところです。マリオやゼルダを引用しながらの山内社長との交渉や、開発中のゲームボーイの登場など、ゲームの歴史の1ページを垣間見るようで面白いです。
映画が中盤に差し掛かるまでは、テレビゲームのようなドット絵を織り交ぜながら、実録のビジネスドラマをポップに描いています。テトリスを象徴する「コロブチカ」のモチーフが何度も流れるのもいいですね。
そのポップな雰囲気が、中盤からは随分と変わっていきます。
テトリスの権利を持つソ連の国営企業から権利を得るため、鉄のカーテンを越えてソ連を訪れるヘンク。そこからは、映画は共産主義国家を舞台にしたサスペンスに変容。KGBによる監視、ヘンクやテトリス開発者のアレクセイの家族への脅迫など、スリリングな展開にぐいぐい引き込まれていきます。
終盤には唐突なカーチェイスも。ここはやや過剰演出ですが、これは確信犯でしょうね。このシーンでは、車がぶつかった時に実写にドット絵が混ざるなど、ポップな演出が復活します。
本作は、最後にはすべてが丸く収まるのが実に心地よいですね。紆余曲折あり契約は締結でき、KGBの悪役は懲らしめられ、家庭もうまくいき、アレクセイの問題もうまく収まります。
とりわけ、アレクセイがアメリカに渡り、ヘンクと共に会社を立ち上げるという結末はいいですね。劇中でも同じプログラマーとして通じ合う様子が上手く描かれていましたが、2人の友情も本作のテーマの一つでしょう(テトリスの4列消しが誕生する瞬間は印象的)。
劇中、ヘンクはテトリスのことをこう語ります。
「まるで詩ですよ。芸術と数学がシンクロしてる」
テトリスというゲームに対する感動と、それを開発したアレクセイへの敬意が感じられる印象的な台詞でした。
最後に
今回は映画『テトリス』の解説&感想でした。実際は映画以上にライセンス関係が複雑だったようですが、実話を元にうまく脚色し一本の映画に仕上げられていました。「テトリス」が普及する背景にあるビジネスドラマとしても、共産主義国家におけるサスペンスとしても、ヘンクもアレクセイの友情ドラマとしても、見どころの多い作品でした。
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