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映画『英国王のスピーチ』解説&感想 困難に立ち向かう英国王の姿を描いた感動作

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『英国王のスピーチ』の解説&感想です。アカデミー賞では12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(コリン・ファース)、脚本賞と、主要4部門をきっちり受賞した名作です。

 

 

作品情報

タイトル:英国王のスピーチ

原題  :The King's Speech

製作年 :2010年

製作国 :イギリス、オーストラリア、アメリカ

監督  :トム・フーパー

出演  :コリン・ファース

     ヘレナ・ボナム=カーター

     ジェフリー・ラッシュ

     ガイ・ピアース

     ティモシー・スポール

     デレク・ジャコビ

     ジェニファー・イーリー

     マイケル・ガンボン

 上映時間:118分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ジョージ6世の苦悩と努力を描く

ある人には簡単なことが、ある人には難しい——。みんな簡単にやっているのに、なぜ自分にはできないのか?そんな風に思い悩むことは誰しも経験があるのではないでしょうか?


本作の主人公アルバート(コリン・ファース)もその1人。彼は後にジョージ6世として英国の王となるイギリスの王子です。王族として国民に語りかける場面が多い立場にありながら、吃音症のため人前で話すことを苦手にしています。


本作はそんなアルバート王子が英国王ジョージ6世として即位し、第二次世界大戦の開戦時の国民に向けたスピーチに挑むまでの軌跡を描いた作品です。


クライマックスで素晴らしいスピーチをすることはおおよそ分かっているわけですから、そこに至るまでの苦悩や努力が描かれる最中も、クライマックスを想像して先走って感動してしまいます(笑)。

 


秀逸な脚本

かと言って、この筋書きで映画を撮れば必ず素晴らしい作品になったかというとそんなことはないと思います。本作がこれほど評価される作品になったのは、素晴らしい脚本と演技あってのことだと思います。


無駄のない登場人物と無駄のないエピソードで自然に観客を引き込む脚本は極めて秀逸。アルバートの苦悩や努力の描き方一つとってもそれは見えてきます。あるシークエンスでは、ローグ(ジェフリー・ラッシュ)との訓練の様子と実演の様子をカッティングで交互に繋いだモンタージュでテンポ良く描きます。またあるシークエンスでは、アルバートの生い立ちや精神的なトラウマなどにフォーカスし、彼の内面に切り込むようにじっくりと描きます。決して一本調子にならず、適度な緩急をつけてしっかりと描いているのです。


また、終盤ではニュース映画の映像でアドルフ・ヒトラーが登場します。ここでは演説が抜群にうまいドイツの総統を、演説が苦手な英国の王と対比的に登場させ、そこから一気に第二次世界大戦の開戦へとストーリーを展開させています。この辺りも秀逸ですね。


コリン・ファースの名演

そして演技。コリン・ファースの演技は単なる吃音症のモノマネには終わりません。彼が言葉を詰まらせる裏には、恐怖や不安、あるいは怒りといった複雑な感情が見え隠れします。


国王としての重責を背負いながら、吃音症とも闘うジョージ6世。彼が妻に心境を吐露し、涙するシーンは、コリン・ファースの名演があってこそ説得力を持ちます。

 


クライマックスの感動

そんな素晴らしい脚本と演技が共に最高潮を迎えるクライマックスにはやはり胸を打たれます。


衝突を乗り越えて、硬い信頼関係で結ばれたジョージ6世とローグ。2人だけの部屋で、ジョージ6世はラジオ演説に臨みます。

 

頭をカラにして私に向かって言うんだ。私だけに、友達として


ローグのその言葉を胸に、ゆっくりと丁寧に、力を込めて、一言一言を発するジョージ6世。その言葉は、それぞれの場所でラジオに耳を傾ける英国国民に届き、第二次世界大戦に直面した国民を勇気づけます。


ジョージ6世がやったこと、それは用意された原稿を読み上げただけと言えば、そうなのかもしれません。しかし、冒頭述べたように、ある人にとっては簡単なことが、ある人にとっては難しいこと。ジョージ6世にとっては、スピーチは"難しいこと"でした。


そのスピーチを本当に重要な局面で成功させたこと、そこに至るまでの苦悩と努力、そしてスピーチ自体の素晴らしさ。これらが、映画を見る我々を心の底から感動させます。


本作ほどエキサイティングなクライマックスには、たとえアクション映画でもそうそう出会えるものではないとさえ思います。


ここで描かれている人物は英国の王という特異な立場の人物だとしても、本作が描くのは、誰もが直面する苦悩と努力、そして困難を乗り越える姿です。感情移入できないわけがないですよね。


そう言えば、劇中、多くの場面で画面の中心からずれた位置に登場人物を配置したショットが用いられていました。どこかチグハグな印象を与え、不安になるようなショットですよね。それが最後のスピーチでは、これとは対照的に、ジョージ6世を画面中央にどっしりと映し出しています。


こうした撮影の他、編集、音楽も、このクライマックスの感動に一役買っていることは言うまでもありません。

 

最後に

今回は映画『英国王のスピーチ』の解説&感想でした。秀逸な脚本とコリン・ファースの名演によって、素晴らしい作品に仕上がった名作。それらが最高潮を迎えるクライマックスには強く胸を打たれました。これぞ名画だと確信しながら映画を見られることほど映画ファンにとって幸せなことはありませんが、本作はそんな気持ちにさせてくれる作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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