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映画『告白』解説&感想 陰鬱とカタルシス

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どうも、たきじです。

 

今回は2010年公開の日本映画『告白』の解説&感想です。湊かなえの同名小説の映画化作品です。

 

 

作品情報

タイトル:告白

製作年 :2010年

製作国 :日本

監督  :中島哲也

出演  :松たか子
     岡田将生
     木村佳乃
     西井幸人
     橋本愛
     藤原薫
     芦田愛菜

上映時間:106分

 

解説&感想(ネタバレあり)

本作は何とも胸糞悪いシーンの多い映画です。幼い子供の死、陰湿ないじめ、精神崩壊、家庭崩壊、母殺し、児童虐待、離婚、別離、友人殺し…。終始陰鬱な空気の中で展開される物語であり、二度は見ない映画でしょうが、これは見事な作品です——。それが本作初見時の私の感想です。

 

それから十数年、細かい内容を忘れてきた頃に、結局二度目の鑑賞。そして、二度目なのになのにのめり込んで観てしまいました。やはり素晴らしい作品です。

 

本作は中学校教師の森口(松たか子)の娘・愛美(芦田愛菜)が殺された事件を軸とした物語。この事件の関係者らが、自身の胸中を告白するという構成になっています。告白者が告白したいことを告白し、告白者によって違う側面が見え、またそれらすべてが真実とは限らないというのは、黒澤明監督の『羅生門』(あるいはその原作である小説『藪の中』/芥川龍之介)を思い起こさせます。

 

それぞれの告白により、それぞれが抱える複雑な過去、複雑な感情が明らかになっていきます。それが物語としてのシンプルな面白さを生み出すのみならず、コトの複雑さを炙り出していきます。物語を俯瞰してみると、子を殺された母による復讐劇ですが、それぞれの内面を描きこむことで複雑な感情が絡み合うドラマとして成立しています。

 

こうした物語の巧みさは原作(未読)によるところが大きいのでしょうが、映画的な表現においても印象に残るものは少なくありません。一例を挙げるなら、森口と美月(橋本愛)がファミレスで会話するシーンと、美月が修哉(西井幸人)に殺されるシーンをカットバックで描くような編集の妙味は随所で光っていました。

 

レディオヘッドの「ラスト・フラワーズ」を主題歌(挿入歌)に採用したのも大正解。トム・ヨークの唯一無二の歌声が、作品の雰囲気にうまくハマっています。

 

さて、上述の通り、本作は復讐劇であると同時に、複雑な感情が絡み合うドラマ。それ故に、復讐が決まるラストシーンも、単純に痛快なシーンにはなり得ません。

 

陰鬱とカタルシス。この矛盾するような二つが同居しています。ラストカットの森口の表情は、怒りと悲しみ、達成感とやるせなさ、複雑な感情が溢れています。松たか子さんの凄まじい芝居でした。

 

最後に

今回は映画『告白』の解説&感想でした。復讐劇であると同時に、複雑な感情が絡み合うドラマ。終始陰鬱な空気の中で展開される物語ながら、巧みな物語の構成と映画的演出の妙味によって、ぐいぐい引き込まれていく作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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