どうも、たきじです。
今回は1995年公開のアメリカ映画『セブン』の解説&感想です。
作品情報
タイトル:セブン
原題 :Se7en
製作年 :1995年
製作国 :アメリカ
監督 :デヴィッド・フィンチャー
出演 :ブラッド・ピット
モーガン・フリーマン
グウィネス・パルトロー
R・リー・アーメイ
ケヴィン・スペイシー
上映時間:127分
解説&感想(ネタバレあり)
サイコサスペンスの傑作として名高い本作。私は、本作の最大の魅力は脚本にあると思っています。
2人の刑事が、カトリックにおける「七つの大罪」になぞらえた連続殺人を追うというプロットがまず面白いです。七つの大罪、すなわち、暴食、強欲、怠惰、肉欲、高慢、嫉妬、憤怒に沿って殺人が行われるわけですから、「次はどの罪で、どんな風に殺されるのか?」という関心が観客を引っ張ります(もちろん現実にこんな殺人が起きれば、楽しめるものではないですが)。
そして、それを裏切るように、「嫉妬」と「憤怒」を残したまま、自ら出頭してくる犯人(ケヴィン・スペイシー)。最後には、誰も予期しなかった形で七つの大罪が出揃い、連続殺人が完結します。明らかにバッドエンドながら、ある種のカタルシスを感じる見事な結末です。
また、本作は主にサマセット(モーガン・フリーマン)の主観で物語が進行しますが、サマセットのキャラクターは、脚本による細かな味付けによって描き込まれています。
例えば、彼が部屋に置いている睡眠導入のためのメトロノーム。映画終盤で、眠りにつけない彼は、これを部屋に放り投げます。そして、壁に掛けたダーツの的を目掛けてナイフを投げつけます。冷静で洞察力に長けたサマセットですが、精神的に何らかの問題を抱えていることがさらりと描写されています。
あるいは、トレイシー(グウィネス・パルトロー)の相談を受けるシーン。このひどい街で子供ができたことに悩むトレイシーに対し、サマセットは自身の経験を語ります。サマセットもかつて関係を持っていた女性が妊娠したことがありました。その時、トレイシーと同様、こんな世界に子供を産むのかと悩み、産まない決断をしたというのです。
そして語ります。
I can tell you now that I know that I mean, I'm positive that I made the right decision.
今考えてみても、私は正しい決断をしたと言い切れる。
But there's not a day that passes that I don't wish that I had made a different choice.
それでも、違う決断をしてればと思わない日はない。
If you don't keep the baby - I mean, if that's your decision - don't ever tell him that you were pregnant.
もし子供を産まないのなら…それが君の決断なら…妊娠は内緒にしろ。
But if you choose to have this baby, you spoil that kid every chance you get.
たが子供を産むことを選ぶなら、精一杯甘やかして育てるんだ。
彼の言葉からは、過去の経験に対する複雑な感情、心の傷が見て取れます。同時に、トレイシーに対する深い思いやりも見て取れます(上記の台詞の最後の部分を聞いた途端、感情が一気に込み上げるトレイシーの表情が印象的です)。
こうした脚本による味付け、キャラクターの描き込みが、作品にさらなる深みをもたらしています。
連続殺人が七つの大罪になぞらえられていることに気付くことからも分かるように、サマセットは博学で、文学の知識も豊富です。劇中、ミルトンの『失楽園』、ダンテの『神曲』、チョーサーの『カンタベリー物語』、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』などが言及されます。
そんなサマセットによる映画最後のモノローグは抜群に決まっています。
Ernest Hemingway once wrote, "The world is a fine place and worth fighting for." I agree with the second part.
アーネスト・ヘミングウェイが書いていた。「この世界は素晴らしく、戦う価値がある」と。後の部分には賛成だ。
最後に
今回は映画『セブン』の解説&感想でした。プロットはもちろん、キャラクターの描き込みも巧みな脚本が光る、サイコサスペンスの傑作です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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