どうも、たきじです。
今回は1953年公開のフランス映画『恐怖の報酬』の感想です。カンヌ映画祭のパルム・ドール(当時は"グランプリ")、ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞するなど、欧州で輝かしい評価を得たサスペンス映画。1977年にはウィリアム・フリードキン監督によってアメリカでリメイクされています。
作品情報
タイトル:恐怖の報酬
原題 :Le Salaire de la peur
製作年 :1953年
製作国 :フランス
監督 :アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演 :イヴ・モンタン
シャルル・ヴァネル
フォルコ・ルリ
ペーター・ファン・アイク
上映時間:131分
感想(ネタバレあり)
舞台は中米。油田で火災が発生し、ニトログリセリンによる爆風で消火することに。振動で爆発する危険なニトログリセリンを積んだトラックで、4人の男達が悪路を進み油田を目指す物語です。
前半はとにかく退屈でした。前半は、後半にニトログリセリンを運ぶことになる4人の背景や性格を描き込むパートのはず。しかしながら、個々のエピソード自体もあまり面白くないし、後半につながる人物描写の掘り下げもいまいちです。4人のうちの1人のビンバに至っては、ほとんど描写がありません。全体的に状況説明もあまりスマートではなく、ストレスの溜まる前半でした。
後半に入り、ニトログリセリンを運び始めると、そのストレスが発散される、なら良かったのですが、それも今ひとつ。基本的にクズっぽいキャラクターが多いので感情移入できないのが致命的。ニトログリセリンが爆発してしまっても、こいつらならまあいいか(言い過ぎ?)、なんて思ってしまうと、緊張感など生まれるはずがありません。
ニトログリセリンを運ぶ道中、ボロボロの木製の足場での切り返しを余儀なくされたり、巨大な岩に道を塞がれていたり、石油の沼に道を阻まれたりと、次々に障害が現れるのは良いです。ただ、この辺りも全体的にもっと緊張感を高める演出ができたんじゃないかと、少し物足りなく感じてしまいました。すごく淡々としてるんですよね。
ということで、世間的には評価されている割には、私としてはあまりハマらない作品でした。そんな中、手放しで賞賛したいのはラストシーンです。
命懸けの危険な仕事をやり遂げたマリオは、帰り道に浮かれすぎて蛇行運転し、単独事故で死亡するのです。フランス映画らしい不条理なバッドエンドですね。
マリオが無事という一報に踊る酒場の人々の回転と、蛇行運転するトラックのハンドルやタイヤの回転を重ねるかのような編集も決まっています。バッドエンドながら、ある種のカタルシスを感じる結末でした。
最後に
今回は映画『恐怖の報酬』の感想でした。世間的には評価されているのに今ひとつハマらないというのは、期待していた分すごく残念。ラストシーンは良かったものの、終わりよければすべてよし、とまでは言えませんでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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